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球面調和関数 (6)

前回の微分方程式の証明はやや煩雑でしたので、
もっとシンプルに直接、球面調和関数の定義を代入して成り立つことを確認しておきます。
微分方程式があらかじめ分かっている場合はこちらの方が分かりやすいですね。

微分方程式

球面調和関数は以下の微分方程式の解である。\[
\left[\frac{1}{\sin\theta} \frac{\partial}{\partial \theta} \left( \sin\theta \frac{\partial}{\partial \theta} \right)
+ \frac{1}{\sin^2\theta} \frac{\partial^2}{\partial \phi^2} + l(l+1)
\right] Y_{lm}(\theta,\phi) = 0
\tag{1}
\]

(証明)
球面調和関数の定義から\[
Y_{lm} = P_l^m(\cos\theta) e^{im\phi}
\tag{2}
\]この微分方程式は線形なので、係数は意味がないため、省略した。
以下、添字も l m しか登場しないので、省略する。
微分方程式 (1) の左辺に代入すると、\[
e^{im\phi} \left[\frac{1}{\sin\theta} \frac{d}{d\theta} \left( \sin\theta \frac{d}{d\theta} \right)
- \frac{m^2}{\sin^2\theta} + l(l+1)
\right] P(\cos\theta)
\tag{3}
\]となる。θに関する微分は、\[
\frac{dP}{d\theta} = -\sin\theta P'(\cos\theta)
\]となるから、\[
\frac{1}{\sin\theta} \frac{d}{d\theta} \left( \sin\theta \frac{dP}{d\theta} \right)
= \sin^2\theta P'' - 2\cos\theta P'
\]となり、(3) は、\[
e^{im\phi} \left[\sin^2\theta P'' - 2\cos\theta P'
- \frac{m^2}{\sin^2\theta}P + l(l+1)P
\right]
\]と計算できる。

ここで、ルジャンドルの陪関数は微分方程式\[
\left[ (1-x^2) \frac{d^2}{dx^2} - 2x \frac{d}{dx} + l(l+1) - \frac{m^2}{1-x^2} \right] P_l^m(x) = 0
\tag{4}
\]を満たすから、これに $x=\cos\theta$ を代入すると、\[
\left[ \sin^2\theta P'' - 2\cos\theta P' + l(l+1)P - \frac{m^2}{\sin^2\theta}P \right] = 0
\tag{5}
\]となる。
これより、(3) はゼロとなることが分かり、微分方程式 (1) は成立する。
(証明終了)
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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
球面調和関数 | コメント(0) | 2016/05/11 22:25

球面調和関数 (5)

微分方程式

球面調和関数は以下の微分方程式の解である。\[
\left[\frac{1}{\sin\theta} \frac{\partial}{\partial \theta} \left( \sin\theta \frac{\partial}{\partial \theta} \right)
+ \frac{1}{\sin^2\theta} \frac{\partial^2}{\partial \phi^2} + l(l+1)
\right] Y_{lm}(\theta,\phi) = 0
\tag{1}
\]

(証明)前記事の漸化式
\[
e^{i\phi} (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{lm} = \sqrt{(l-m)(l+m+1)} Y_{l,m+1}
\tag{2}
\]\[
e^{-i\phi} (-\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{lm} = \sqrt{(l+m)(l-m+1)} Y_{l,m-1}
\tag{3}
\]を用いる。(3) のインデックス m を1増やすと、\[
e^{-i\phi} (-\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{l,m+1} = \sqrt{(l+m+1)(l-m)} Y_{l,m}
\tag{4}
\](2) より $Y_{l,m+1}$ について解いた式を代入すると、\[
e^{-i\phi} (-\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) e^{i\phi} (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{lm}
= (l-m)(l+m+1) Y_{lm}
\tag{5}
\]左辺を整理する。\[ \left[
-\partial_\theta (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi)
+ i\cot\theta e^{-i\phi}\partial_\phi e^{i\phi} (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi)
\right] Y_{lm}
\tag{6}
\]このうち第一項は、\[
-\partial^2_\theta + \frac{i}{\sin^2\theta} \partial_\phi - i\cot\theta \partial_\theta \partial_\phi
\]第二項の $\partial_\phi$ 以降は、\[
ie^{i\phi} (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi)
+ e^{i\phi} \partial_\theta \partial_\phi
+ ie^{i\phi} \cot\theta \partial_\phi^2
\]となり、(6) は\[ \left[
-\partial^2_\theta + \frac{i}{\sin^2\theta} \partial_\phi - i\cot\theta \partial_\theta \partial_\phi \\
+i\cot\theta \left\{
i (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi)
+ \partial_\theta \partial_\phi
+ i\cot\theta \partial_\phi^2
\right\}
\right] Y_{lm}
\]となり、さらに、\[
\left[ -\partial^2_\theta - \cot\theta \partial_\theta + i\partial_\phi - \cot^2\theta \partial^2_\phi \right] Y_{lm}
\tag{7}
\]と変形できる。
ここで、恒等式\[
\partial^2_\theta + \cot\theta \partial_\theta = \frac{1}{\sin\theta} \partial_\theta (\sin\theta \partial_\theta)
\tag{8}
\]を利用すると、(7) は\[
\left[ -\frac{1}{\sin\theta}(\sin\theta \partial_\theta) + i\partial_\phi - \cot^2\theta \partial^2_\phi \right] Y_{lm}
\tag{9}
\]と整理される。

一方、(5) の右辺を展開すると、\[
[l(l+1) - m^2 - m] Y_lm
\tag{10}
\]となり、球面調和関数の性質\[
\partial_\phi Y_{lm} = im Y_{lm}
\tag{11}
\]を利用すると、\[
\left[ l(l+1) + \partial^2_\phi + i\partial_\phi \right] Y_{lm}
\tag{12}
\]とできるので、結局、(5) は、\[
\left[ -\frac{1}{\sin\theta}(\sin\theta \partial_\theta) + i\partial_\phi - \cot^2\theta \partial^2_\phi \right] Y_{lm}
= \left[ l(l+1) + \partial^2_\phi + i\partial_\phi \right] Y_{lm}
\tag{13}
\]となる。
これを整理すると、(1) を得る。
(証明終了)

なんだか、ごちゃごちゃしてますね。
もうちょっとすっきりと証明できそうな気もするのですが・・・

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
球面調和関数 | コメント(0) | 2016/05/11 22:24

球面調和関数 (4)

漸化式

\[
e^{i\phi} (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{lm} = \sqrt{(l-m)(l+m+1)} Y_{l,m+1}
\tag{1}
\]\[
e^{-i\phi} (-\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{lm} = \sqrt{(l+m)(l-m+1)} Y_{l,m-1}
\tag{2}
\]

(証明)ルジャンドルの陪関数の漸化式
\[
\left[ (1- x^2)\frac{d}{dx} + mx \right] P_l^m(x) = \sqrt{1-x^2} P_l^{m+1}(x)
\tag{3}
\]\[
\left[ (1- x^2)\frac{d}{dx} - mx \right] P_l^m(x) = -(l+m)(l-m+1) \sqrt{1-x^2} P_l^{m-1}(x)
\tag{4}
\]を用いる。
簡単のために、$Y_{lm}$ の係数を $a_{lm}$ と書くことにして、
(1) の左辺の微分を計算していく。\[
\partial_\theta Y_{lm} = - a_{lm} {P_l^m}'(\cos\theta) \sin\theta e^{im\phi}
\]\[
\partial_\phi Y_{lm} = im a_{lm} P_l^m(\cos\theta) e^{im\phi}
\](1) の左辺は、\[
- a_{lm} [ \sin\theta {P_l^m}'(\cos\theta) + m\cot\theta P_l^m(\cos\theta) ] e^{i(m+1)\phi}
\tag{5}
\]となる。一方、(3) において、$x=\cos\theta (0\leq\theta\leq\pi)$ とおくと、\[
\sin^2\theta {P_l^m}'(\cos\theta) + m\cos\theta P_l^m(\cos\theta) = \sin\theta P_l^{m+1}(\cos\theta)
\]であるから、(5) は、\[
- a_{lm} P_l^{m+1}(\cos\theta) e^{i(m+1)\phi}
\]となり、\[
a_{lm} = -\sqrt{(l-m)(l+m+1)} a_{l,m+1}
\]であるから、(1) の右辺に帰する。

同様に、(2) の左辺は、\[
a_{lm} [ \sin\theta {P_l^m}'(\cos\theta) - m\cot\theta P_l^m(\cos\theta) ] e^{i(m-1)\phi}
\tag{6}
\]となり、(4) からは\[
\sin^2\theta {P_l^m}'(\cos\theta) - m\cos\theta P_l^m(\cos\theta) = -(l+m)(l-m+1)\sin\theta P_l^{m-1}(\cos\theta)
\]が得られるから、(6) は\[
-a_{lm} (l+m)(l-m+1) P_l^{m-1}(\cos\theta) e^{i(m-1)\phi}
\]となる。ここで、\[
a_{lm} = -\frac{a_{l,m-1}}{\sqrt{(l+m)(l-m+1)}}
\]であるから、(2) の右辺を得る。
(証明終了)

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
球面調和関数 | コメント(0) | 2016/04/24 23:12

球面調和関数 (3)

直交性

全立体角にわたる積分において直交性を示す。\[
\int Y_{lm}(\theta,\phi)^* Y_{l'm'}(\theta,\phi) d\Omega \\
= \int_0^\pi \sin\theta d\theta \int_0^{2\pi} d\phi Y_{lm}(\theta,\phi)^* Y_{l'm'}(\theta,\phi) = \delta_{ll'}\delta_{mm'}
\tag{1}
\]

(証明)まず、Φに依存する因子は、$e^{im\phi}$ のみであるから、
Φについての積分の因子だけを取り出すと、\[
\int_0^{2\pi} e^{i(m'-m)\phi} d\phi = 2\pi\delta_{mm'}
\tag{2}
\]となり、$m\neq m'$ の時は、l の値によらずに、全体の積分も 0 になる。
以降、m = m' の時のみを考えればよい。
θに関しては、$\cos\theta = x$ とおくと、\[
\int_0^\pi \sin\theta d\theta = \int_{-1}^1 dx
\tag{3}
\]と置き換えられる。ここで、ルジャンドル陪関数の l に対する直交性\[
\int_{-1}^1 P_l^m(x) P_{l'}^m(x) dx = \frac{2}{2l+1} \frac{(l+m)!}{(l-m)!} \delta_{l l'}
\tag{4}
\]を用いると、m=m' の時の積分の値は $\delta_{ll'}$ となる。
$m \neq m'$ の場合と合わせて、(1) となる。
(証明終了)

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
球面調和関数 | コメント(0) | 2016/04/21 00:00

球面調和関数 (2)

久しぶりに、球面調和関数の続き。

\[
Y_{lm}(\theta,\phi) = (-1)^m \sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l-m)!}{(l+m)!} } P_l^m(\cos\theta) e^{im\phi}
\tag{1}
\]


$Y_{lm}$ と $Y_{l,-m}$ の関係

\[
Y_{l,-m}(\theta,\phi) = (-1)^m Y_{lm}(\theta,\phi)^*
\tag{2}
\]

(証明)
(1) の定義式より\[
Y_{l,-m} = (-1)^m \sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l+m)!}{(l-m)!} } P_l^{-m}(\cos\theta) e^{-im\phi}
\tag{3}
\]ルジャンドル陪関数の関係式\[
P_l^{-m}(x) = (-1)^m \frac{(l-m)!}{(l+m)!} P_l^m(x)
\tag{4}
\]を用いると、\[
Y_{l,-m} = (-1)^m(-1)^m \sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l-m)!}{(l+m)!} } P_l^m(\cos\theta) e^{-im\phi}
\tag{5}
\]となり、(2) が得られる。
(証明終了)

空間反転のパリティ

\[
Y_{lm}(\pi-\theta, \phi+\pi) = (-1)^l Y_{lm}(\theta,\phi)
\tag{6}
\]

(証明)
ルジャンドル陪関数の性質から、$\cos\theta$ の符号反転に対して、
$P_l^m(\cos\theta)$ の部分は、$(-1)^{l+m}$ のパリティを持つ。
$e^{im\phi}$ の部分は、$(-1)^m$ のパリティを持つ。
以上より、全体では、$(-1)^l$ のパリティを持つ。
(証明終了)

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
球面調和関数 | コメント(0) | 2016/04/19 22:11

球面調和関数 (1)

延々とルジャンドルをやってきたのも主にこのため!
球面調和関数がやりたかったのです。
ようやく入れます^^

定義\[
Y_{lm}(\theta,\phi) = (-1)^m
\sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l-m)!}{(l+m)!} }
P_l^m(\cos\theta) e^{im\phi}
\tag{1}
\]
文献 [1] の定義はこうなっています。

ところが、Wikipedia [2] や他の文献を見ると、以下の定義をよくみかけます。\[
Y_{lm}(\theta,\phi) = (-1)^{(m+|m|)/2}
\sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l-|m|)!}{(l+|m|)!} }
P_l^{|m|}(\cos\theta) e^{im\phi}
\tag{2}
\]
ダブルスタンダードは困るぞ!!!(怒)
後々、混乱するじゃないか!
やる気もダウンします・・・orz

というわけで、まずは同じものなのかを確認すべし!

(2) 式からスタート。

m ≧0 の場合
|m| = m とおくと、明らかに (1) に一致する。

m < 0 の場合
|m| = -m だから、(2) 式は\[
Y_{lm}(\theta,\phi) =
\sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l+m)!}{(l-m)!} }
P_l^{-m}(\cos\theta) e^{im\phi}
\tag{3}
\]
関係式\[
P_l^{-m}(x) = (-1)^m \frac{(l-m)!}{(l+m)!} P_l^m(x)
\tag{4}
\]を代入すると、(1) となる。

ということで、両方の定義は一致することが確認できた。

いろんな証明を行うには、(1) の方がすっきりしていて使いやすそうですが、
具体的な式の表現を出すときには、(2) の方がやりやすそう。

しばらくは、文献[1] を参考に進めるので、(1) 式を主に使おうと思います。

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
[2] Wikipedia 「球面調和関数」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%83%E9%9D%A2%E8%AA%BF%E5%92%8C%E9%96%A2%E6%95%B0
球面調和関数 | コメント(0) | 2015/04/15 19:42

ルジャンドル陪関数 (5)

直交性
m が同じ場合には、l について直交性が成り立つ。\[
\int_{-1}^1 P_l^m(x) P_{l'}^m(x) dx = \frac{2}{2l+1} \frac{(l+m)!}{(l-m)!} \delta_{l l'}
\tag{1}
\]
証明の前に、m = 0 の場合は、\[
\int_{-1}^1 P_l^0(x) P_{l'}^0(x) dx = \frac{2}{2l+1} \delta_{l l'}
\tag{2}
\]となり、ルジャンドル多項式の直交性に一致することを確認しておく。

証明
関係式\[
P_l^{-m}(x) = (-1)^m \frac{(l-m)!}{(l+m)!} P_l^m(x)
\tag{3}
\]を用いると、(1) の左辺は、\[
\int_{-1}^1 P_l^m(x) P_{l'}^m(x) dx
= (-1)^m \frac{(l+m)!}{(l-m)!} I_m
\tag{4}
\]となる。ただし、\[
I_m \equiv \int_{-1}^1 P_l^{-m} P_{l'}^m dx
\tag{5}
\]とする。

m > 0 としておく。
(m = 0 は証明済、 m < 0 の時は m' = -m とおいて同様に証明可能)
定義式\[
P_l^m(x) \equiv \frac{1}{2^ll!}(1-x^2)^{m/2} \frac{d^{l+m}}{dx^{l+m}}(x^2-1)^l
\tag{6}
\]を代入すると、(以下、d/dx = D と書く)\[
I_m = \frac{1}{2^l l! 2^{l'} l'!} \int_{-1}^1 D^{l-m} (x^2-1)^l \cdot D^{l'+m} (x^2-1)^{l'} dx
\tag{7}
\]部分積分を行って、因子を除いた積分の部分は\[
\left[ D^{l-m} (x^2-1)^l \cdot D^{l'+m-1} (x^2-1)^{l'} \right]_{-1}^1 \\
- \int_{-1}^1 D^{l-(m-1)} (x^2-1)^l \cdot D^{l'+m-1} (x^2-1)^{l'} dx
\tag{8}
\]
m > 0 より、 第一項はゼロ。第二項は、$I_{m-1}$。すなわち、\[
I_m = -I_{m-1} = \cdots = (-1)^m I_0
\tag{9}
\]$I_0$ はルジャンドル多項式の直交性 (2) より、\[
I_0 = \frac{2}{2l+1} \delta_{l l'}
\tag{10}
\]これを (4) に代入すると、(1) を得る。

(証明終了)

よく、こんな証明思いつくなあ・・・

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
ルジャンドル陪関数 | コメント(0) | 2015/04/14 08:10

ルジャンドル陪関数 (4)

微分方程式\[
\left[
(1-x^2) \frac{d^2}{dx^2} - 2x \frac{d}{dx} + l(l+1) - \frac{m^2}{1-x^2}
\right] P_l^m(x) = 0
\tag{1}
\]
証明
以前に示した2つの漸化式\[
\left[ (1- x^2)\frac{d}{dx} + mx \right] P_l^m(x) = \sqrt{1-x^2} P_l^{m+1}(x)
\tag{2}
\]\[
\left[ (1- x^2)\frac{d}{dx} - mx \right] P_l^m(x) = -(l+m)(l-m+1) \sqrt{1-x^2} P_l^{m-1}(x)
\tag{3}
\]を用いて示す。

以下、簡単のため、d/dx を D と書き、P の添え字の l は省略する。

(3) の m を m+1 にすると、\[
\left[ (1- x^2) D - (m+1)x \right] P^{m+1} = -(l+m+1)(l-m) \sqrt{1-x^2} P^m
\tag{4}
\](2) より、-1< x < 1 の範囲で、\[
P^{m+1} = \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} \left[ (1-x^2) D + mx \right] P^m
\tag{5}
\](5) を (4) に代入。
左辺は、\[
\left[ (1- x^2) D - (m+1)x \right] \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} \left[ (1-x^2) D + mx \right] P^m \\
= \left[ (1-x^2) D\left( \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} \right)
+ \sqrt{1-x^2} D - (m+1) \frac{x}{\sqrt{1-x^2}} \right] \\
\times \left[ (1-x^2) D + mx \right] P^m
\tag{6}
\]ここで、\[
D\left( \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} \right) = \frac{x}{(1-x^2)^{3/2}}
\tag{7}
\]を用いると、(4) は、\[
\left\{ \left[
D - \frac{mx}{1-x^2}
\right] \left[
(1-x^2)D + mx
\right] \hspace{5em} \\
+ (l+m+1)(l-m) \right\} P^m = 0
\tag{8}
\]となる。さらに、\[
D\left[ (1-x^2) D + mx \right] P^m \hspace{10em} \\
= \left[ (1-x^2)D^2 - 2xD + mxD + m \right] P^m
\tag{9}
\]に注意して展開を進めると、(1) を得る。

(証明終了)

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
ルジャンドル陪関数 | コメント(0) | 2015/04/13 08:27

ルジャンドル多項式で遊ぶ (3)

次に、多項式でない関数を展開してみたい。
とりあえず、なんとなく・・・\[
f(x) = \cos x
\]なる関数を選んでみた。
係数を計算してみる。\[
a_0 = \frac{1}{2} \int \cos x dx = \sin 1
\]積分範囲は[-1,1]。以後も省略。\[
a_1 = \frac{3}{2} \int x\cos x dx = 0
\]奇関数だから、積分するとゼロ。\[
a_2 = \frac{5}{2} \times \frac{1}{2} \int (3x^2-1) \cos x dx
\]これは真面目に計算しないといけない(汗)
部分積分を使うんだろうけど、面倒なので、Maximaでやると、\[
a_2 = \frac{5}{4} (12 \cos 1 - 8 \sin 1)
\]となるようだ。
追記(3/16) ↑Maximaの答をそのまま書きましたが、よく見ると、4で約分できますね・・・

というわけで、2次までの展開では、\[
\cos x \simeq (\sin 1) P_0(x) + \frac{5}{4} (12 \cos 1 - 8 \sin 1) P_2(x)
\tag{1}
\]となることが分かった。

Pn を書き下すと、\[
\cos x \simeq \sin 1 + \frac{5}{8} (12 \cos 1 - 8 \sin 1)(3x^2-1)
\tag{2}
\]グラフにして、厳密な cos x と比較してみると、
LegendreCosExpandN2.png
おお、2次までの展開でもかなり合ってますね!

しかし、予想では、厳密にテーラー展開\[
\cos x \simeq 1 - \frac{1}{2} x^2
\tag{3}
\]に一致するのかと思っていたのだけど、そうはならないらしい・・・

もちろん、当然ですが、
sin 1 や cos 1 の近似値を入れると、近い値にはなるようです。\[
\cos x \simeq 0.99655861483633-0.46526289008529 x^2
\]

2次までの展開と言っても、この場合は、
n > 2 の Pn にも、$x^2$ の項は無限に含まれていくので、
それらの項もすべて足しあわすことができれば、テーラー展開に一致するんでしょうか?

どうやって計算したらいいか分かりませんが・・・

とりあえず、実用的には、直交多項式展開の要領が分かってきた気がします。

ルジャンドル多項式で遊ぶ記事は、ひょっとすると、もう少し続けるかもしれません。
一つ、気になってることがあるので・・・
ルジャンドル多項式 | コメント(0) | 2015/03/10 20:04

ルジャンドル多項式で遊ぶ (2)

関数 $f(x)$ が(規格化されていない)直交多項式 $P_n(x)$ を用いて、\[
f(x) = a_0 P_0(x) + a_1 P_1(x) + a_2 P_2(x) + \cdots
\tag{1}
\]と展開できるとして、$P_n(x)$ との内積を取って、\[
(f, P_n) = a_n (P_n, P_n)
\]より、係数は\[
a_n = \frac{(f, P_n)}{(P_n, P_n)}
\tag{2}
\]と求められる。

Pn がルジャンドル多項式の場合は、\[
a_n = \left(n + \frac{1}{2} \right) (f, P_n)
\tag{3}
\]となる。

まず手始めに、自明な例として、もともとが多項式の場合、\[
f(x) = x^2
\]を展開してみることにする。
この場合は暗算で、\[
f(x) = x^2 = \frac{2}{3} \times \frac{1}{2}(3x^2-1) + \frac{1}{3} \times 1 \\
= \frac{2}{3} P_2(x) + \frac{1}{3} P_0(x)
\tag{4}
\]となりそうである。
ためしに、n=2 までの係数を計算してみると、\[
a_0 = \frac{1}{2} \int x^2 dx = \frac{1}{3} \\
a_1 = \frac{3}{2} \int x^3 dx = 0 \\
a_2 = \frac{5}{2} \times \frac{1}{2} \int x^2 (3x^2 - 1) dx = \frac{2}{3}
\]となり、上記 (4) の展開係数と一致する。
(積分範囲は、-1から1とする。今後も省略する)

高次の展開係数については、(4) より、n > 2 に対して、\[
(f, P_n) = \frac{2}{3} (P_2, P_n) + \frac{1}{3} (P_0, P_n) = 0
\]から、必ず、ゼロとなる。

ルジャンドル多項式 | コメント(0) | 2015/03/10 18:34
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