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相対論的な非弾性衝突の思考実験 (2)

非弾性衝突の話。
relativistic-collision-01.png

この衝突を右側の粒子 B と一緒に動く座標系から見てみます。

relativistic-collision-02.png

まず、質量はローレンツ不変量なので、前回の結果と変わらず、\[
M = 2\gamma m
\tag{1}
\]となる。

左側の粒子 A の速度 $v'$ と衝突後の速度 $V'$ を速度の合成則を用いて、求める。
以後、計算を見やすくするために、光速との比
$\beta = v/c$, $\beta' = v'/c$, $B' = V'/c$ などを用いることにする。
\[
\beta' = \frac{2\beta}{1+ \beta^2} \\
B' = \beta
\tag{2}
\]これをもとに、4元運動量を記述すると、\[
{p'_A}^\mu = ( \gamma' mc, \gamma' mc\beta' ) \\
{p'_B}^\mu = ( mc, 0 ) \\
{P'}^\mu = ( \gamma Mc, \gamma Mc\beta )
\tag{3}
\]ここで、\[
\gamma = ( 1 - \beta^2 )^{-1/2} \\
\gamma' = ( 1 - \beta'^2 )^{-1/2}
\tag{4}
\](2) より、\[
1 - \beta'^2 = \left( \frac{1-\beta^2}{1+\beta^2} \right)^2
\]だから、(4) を用いると、\[
\gamma' = \frac{1+\beta^2}{1-\beta^2} = \gamma^2(1 + \beta^2)
\tag{5}
\]これと (2) を (3) の第一式に代入して、\[
{p'_A}^\mu = \left( \gamma^2 mc (1+\beta^2), 2\gamma^2 mc \beta \right) \\
{p'_B}^\mu = ( mc, 0 ) \\
{P'}^\mu = ( \gamma Mc, \gamma Mc\beta )
\tag{6}
\]となる。

今度は見方を変えて、元の座標系における4元運動量をそのままローレンツ変換してみる。
前回記事より、元の座標系における4元運動量は、\[
p_A^\mu = ( \gamma mc, \gamma mc\beta) \\
p_B^\mu = ( \gamma mc, -\gamma mc\beta) \\
P^\mu = (2\gamma mc, 0)
\tag{7}
\]これを機械的に速度 $-v$ の座標系にローレンツ変換する。
\[
{p'_A}^\mu = \left[
\begin{array}{cc}
\gamma & \gamma \beta \\
\gamma\beta & \gamma
\end{array}
\right]
\left[
\begin{array}{c}
\gamma mc \\
\gamma mc\beta
\end{array}
\right]
= \left[
\begin{array}{c}
\gamma^2 mc (1+\beta^2) \\
2\gamma^2 mc\beta
\end{array}
\right]
\tag{8.1}
\]\[
{p'_B}^\mu = \left[
\begin{array}{cc}
\gamma & \gamma \beta \\
\gamma\beta & \gamma
\end{array}
\right]
\left[
\begin{array}{c}
\gamma mc \\
-\gamma mc\beta
\end{array}
\right]
= \left[
\begin{array}{c}
\gamma^2 mc (1-\beta^2) \\
0
\end{array}
\right]
= \left[
\begin{array}{c}
mc \\
0
\end{array}
\right]
\tag{8.2}
\]\[
{P'}^\mu = \left[
\begin{array}{cc}
\gamma & \gamma \beta \\
\gamma\beta & \gamma
\end{array}
\right]
\left[
\begin{array}{c}
2\gamma mc \\
0
\end{array}
\right]
= \left[
\begin{array}{c}
2\gamma^2 mc \\
2\gamma^2 mc\beta
\end{array}
\right]
= \left[
\begin{array}{c}
\gamma Mc \\
\gamma Mc\beta
\end{array}
\right]
\tag{8.3}
\]
すると、(6) と同じ結果が得られる。

もちろん、もともと、速度の合成則もローレンツ変換によって得たものだから、
結果が一致するのは数学的には当たり前の話なのですが、
このように運動量の時間成分にエネルギーを与えて、4元ベクトルにすることによって、
他の座標系から見ても、ローレンツ変換によって説明できるということが
この例を考えると、よくわかるんじゃないかと思います。


参考文献
[1] 前野昌弘 相対論2010年度講義録
http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/rel2010/tokushu.pdf
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物理>特殊相対論 | コメント(0) | 2014/10/15 19:30

相対論的な非弾性衝突の思考実験 (1)

$E=mc^2$ の面白いところを理解するために、
非弾性衝突の思考実験を考えます。
relativistic-collision-01.png

同じ質量 m の2つの粒子 A(左) と B(右) が反対方向から速度 v で衝突する状況を考える。
衝突後、一体となってしまううような完全非弾性衝突を仮定する。

この時、非相対論的には運動量保存から、
衝突後、一体となった粒子の速度はゼロ。
当然のことながら、質量も単純な和となり\[
M = m + m = 2m
\tag{1}
\]である。

衝突後は運動エネルギーはゼロになってしまうので、
もともと持っていた運動エネルギーは熱エネルギーに変換されたと考えられ、
力学的エネルギーは保存されない。

次に、この状況を相対論的に考えると・・・
相対論においても、作用反作用の法則は成立するので、運動量は保存される。

相対論では、エネルギーは4元運動量の時間成分となっているため、
他の座標系から見ると、ローレンツ変換によって、
運動量の一部はエネルギーに見え、エネルギーの一部は運動量に見える
ということが起こりうる。

そのため、運動量は保存するが、エネルギーは保存しないということが許されない。
4元運動量のすべての成分が保存されなければならない。

いま、空間成分としては衝突方向の成分のみを考えることにして、
4元運動量の時間成分と空間成分を記述すると、
衝突前の各粒子の4元運動量は\[
p_A^\mu = ( \gamma mc, \gamma mv) \\
p_B^\mu = ( \gamma mc, -\gamma mv)
\tag{2}
\]衝突後の4元運動量は、\[
P^\mu = (\Gamma Mc, \Gamma MV)
\tag{3}
\]と書くことができる。ただし、\[
\gamma = 1/\sqrt{1- (v/c)^2} \\
\Gamma = 1/\sqrt{1-(V/c)^2}
\tag{4}
\]である(γを大文字で書いた例は見たことがないですが・・・)

ここで、4元運動量の保存則\[
p_A^\mu + p_B^\mu = P^\mu
\tag{5}
\]の空間成分は、\[
\gamma mv - \gamma mv = \Gamma MV
\tag{6}
\]となり、$V = 0$ が得られ、やはり相対論においても、
衝突後は静止することが分かる。
(このことは、左右の対称性を考えても、自明)
さらに、(4) より、$\Gamma = 1$ である。

さて、次に保存則 (5) の時間成分を見てみる。\[
\gamma mc + \gamma mc = Mc
\tag{7}
\]すなわち、\[
M = 2\gamma m
\tag{8}
\]$\gamma > 1$ だから、この式は、
衝突後の質量が各粒子の質量の和よりも大きくなっていることを示している。
これは、熱エネルギーに変換された分、質量が増加したと解釈できる。

このように考えることで、別の座標系から見てもつじつまの合った結果が得られる、
すなわち、ローレンツ変換しても保存則が成立していることを
次回、見ていこうと思います。

参考文献
[1] 前野昌弘 相対論2010年度講義録
http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/rel2010/tokushu.pdf
物理>特殊相対論 | コメント(0) | 2014/10/15 12:45

エネルギーと運動量の関係

久しぶりに、特殊相対論。

前回、$E=mc^2$ を導出し、その後、その面白さを見るために、
衝突の思考実験を考えると書いてましたが、
その前に、よく登場するエネルギーと運動量の重要な関係式を導いておきます。

前回の結果から、4元運動量ベクトルは、\[
p^\mu = ( E/c, {\bf p} )
\tag{1}
\]と書ける。
ここで、${\bf p}$ は、4元運動量の空間成分のみを取り出したものを表し、\[
{\bf p} = \gamma m {\bf v}
\tag{2}
\]である(γがついているため、ニュートン的な運動量ではない)。

4元運動量のノルムを計算してみると、\[
p^\mu p_\mu = m^2 u^\mu u_\mu = m^2 c^2
\tag{3}
\]であるから、(1) の成分表示を用いると、\[
\frac{E^2}{c^2} - p^2 = m^2 c^2
\tag{4}
\]となる。これを書き直せば、\[
E^2 = p^2 c^2 + m^2 c^4
\tag{5}
\]という重要な関係式が得られる。
ただし、$p^2$ は、4元運動量の空間部分のみの大きさを表している。

非相対論的極限 $p^2 \ll (mc)^2$ を考えると、(5) は、\[
E = mc^2 \sqrt{ 1 + \frac{p^2}{m^2c^2}} \simeq mc^2 + \frac{p^2}{2m}
\tag{6}
\]と近似され、ニュートン的な運動エネルギーに静止エネルギーが付加された形に
なっていることが確認できる。
物理>特殊相対論 | コメント(0) | 2014/10/03 19:35

E = mc^2

めんどくさい計算ばかりやってて、少々疲れたので、
久しぶりに、特殊相対論の続きを。

えっと、どこまでやったかな?
頭がなかなか切り替わりませんね(笑)

相対論的な運動方程式を導いたところでしたね。
\[
\frac{dp^i}{dt} = F^i
\tag{1}
\]

ここから、おなじみの $E=mc^2$ へと進もうと思います。

まず、4元加速度と4元速度は直交するというところから。
(これは、4元速度のノルムが一定であるという性質からくる)
\[
a^\mu u_\mu = 0
\tag{2}
\]
書き直すと、
\[
\frac{du^\mu}{d\tau} \frac{dx_\mu}{d\tau} = 0
\tag{3}
\]
m を乗じると、
\[
\frac{dp^\mu}{d\tau} \frac{dx_\mu}{d\tau} = 0
\tag{4}
\]
この式は微小時刻(固有時で) dτ だけ経過後の微小変化が
\[
dp^\mu dx_\mu = 0
\tag{5}
\]
となっていることを意味する。
時間成分と空間成分に分離して表記すると、
\[
c dp^0 dt = \sum_i dp^i dx^i
\tag{6}
\]
(時間と空間を分けた時点で、 i の上下に意味はない)
さらに、
\[
d(cp^0) = \sum_i \frac{dp^i}{dt} dx^i
\tag{7}
\]
と変形して、ここで、運動方程式 (1) を用いる。
\[
d(cp^0) = \sum_i F^i dx^i
\tag{8}
\]
ここまでくると、式の意味が分かりやすくなって、
右辺は、外力 F によって与えられた仕事を表す。

ということは、左辺はエネルギーの変化と見ることができて、
\[
E = cp^0 + {\rm Const.}
\tag{9}
\]
と考えることができる。

4元運動量の成分は、
\[
p^\mu = ( \gamma mc, \gamma m{\bf v})
\tag{10}
\]
だったから、
\[
E = \gamma mc^2 + {\rm Const.}
\tag{11}
\]
となる。

ここで、ニュートン的な運動エネルギーとの関係を調べるために、
光速に比べてゆっくりな場合 (v << c) を考えてみる。
\[
\gamma = \left( 1 - \frac{v^2}{c^2} \right)^{-1/2} \sim 1 + \frac{1}{2}\frac{v^2}{c^2}
\tag{12}
\]
と近似できるから、
\[
E = mc^2 + \frac{1}{2}mv^2 + {\rm Const.}
\tag{13}
\]
となる。

第2項に、ニュートン的な運動エネルギーの項が現れている。

一方、第1項は、静止していても現れる項であり、静止エネルギーと呼ばれる。

エネルギー原点の Const.の部分は、ゼロとおけば、(9)より
\[
p^0 = \frac{E}{c}
\tag{14}
\]
となり、エネルギーを c で割ったものが4元運動量の時間成分になり、
エネルギーを運動量と合わせて、ローレンツ共変な4元ベクトルとして表せるので、
大変、都合がよい。
そこで、Const.=0 とおくと、
\[
E = \gamma mc^2
\tag{15}
\]
となる。
光速に比べてゆっくりな場合は、
\[
E = mc^2 + \frac{1}{2}mv^2
\tag{16}
\]
となり、静止していても、
\[
E = mc^2
\tag{17}
\]
の静止エネルギーが存在することになる。
というわけで、おなじみの式が導けました!

ただし、前野先生のテキスト[2]によれば、ここまでは単に、
エネルギー原点をかさ上げしただけのことで、
本当に面白いのは、「どんなエネルギーも質量と関係してくる」
というところなんだそうです。

確かに、エネルギーの原点なんて任意に決められるわけで、
位置エネルギーの原点を地表面に決めたら、
我々のエネルギーはほぼゼロだけど、
モホロビチッチ不連続面(地殻とマントルの境界)に決めれば、
地表面にいるだけで、莫大な位置エネルギーを有することになるわけで、
エネルギー原点をどこに取るかはそんなに意味がないですね。

むしろ、エネルギーが増えれば、質量も増える
エネルギーが減れば、質量も減る
というところが面白いんですね。

このことは、前野先生のテキストに従って、
非弾性衝突の思考実験を考えると、分かりやすいので、
次回、これについて考えてみたいと思います。

ところで、なんとなく、久しぶりに特殊相対論の記事を書きましたが、
これを書いていた3月14日は、奇しくもアインシュタインの誕生日でしたね!


参考文献
[1] 内山龍雄「相対性理論」(岩波物理テキストシリーズ)
[2] 前野昌弘 相対論2010年度講義録
  http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/rel2010/tokushu.pdf
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>特殊相対論 | コメント(0) | 2014/03/13 19:29

光速の壁

修正された運動方程式の意味を考えていくことにします。

ニュートンの運動方程式は、
\[
\frac{dP^i}{dt} = F^i
\tag{1}
\]

修正された相対論的運動方程式(空間成分)は、
\[
\frac{dp^i}{dt} = F^i
\tag{2}
\]

違いは、3次元運動量 P か4元運動量 p かの違いだけ!

この違いは何かというと、
\[
{\bf P} = m{\bf v}
\tag{3}
\]\[
{\bf p} = \gamma m{\bf v} = \frac{m{\bf v}}{\sqrt{1-(v/c)^2}}
\tag{4}
\]
だから、4元運動量にはγが掛かっているというだけの違い。

運動方程式の意味を考えると、
\[
dP^i = F^i dt
\tag{5}
\]
と変形してみると分かる通り、
運動量の変化 = 力積
ということを表している。
つまり、力を与えると、その力積(=力×時間)の分だけ運動量が変化していく。

ここで、運動量と速度の関係をグラフにしてみると、
3次元運動量は、このようになる。
Graph-3Dmomentum.jpg

速度が上がると、運動量は比例して増加していく。
力をずっと与え続けると、運動量はどんどん増加して行き、
そのうち光速を超えてしまう。

一方、4元運動量は、このようになる。
Graph-4Dmomentum.jpg

光速に近づくと、γの効果で無限大に発散してしまう。
つまり、光速に達するには、無限の運動量増加が必要となり、
有限の力では、光速に到達することはできない!

こうやってグラフを眺めると、
ほんとに光速のところに壁が立ちはだかっていて、
光速に達するのを阻んでいるのが視覚的に分かりやすいですね!

次からは、時間成分に着目して、
かの有名な E = mc2 の世界に入っていきたいと思っています。
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>特殊相対論 | コメント(2) | 2014/02/14 12:52

相対論的運動方程式 (4)

前回得られた4元力の関係を使って、相対論的な運動方程式
\[
m \frac{d^2x^\mu}{d\tau^2} = f^\mu
\tag{1}
\]
を書き換えていきます。

まず、4元運動量
\[
p^\mu = mu^\mu = m\frac{dx^\mu}{d\tau}
\tag{2}
\]
を用いて、運動方程式 (1) は、
\[
\frac{dp^\mu}{d\tau} = f^\mu
\tag{3}
\]
と書き換えられる。
空間成分だけ考えると、i = 1,2,3 として、
\[
\frac{dp^i}{d\tau} = f^i
\tag{4}
\]
4元力とニュートン的な力の関係
\[
f^i = \gamma F^i
\tag{5}
\]
を適用すると、
\[
\frac{dp^i}{d\tau} = \gamma F^i
\tag{6}
\]
ここで、
\[
\gamma d\tau = dt
\tag{7}
\]
であることに注意すると、(6)式は
\[
\frac{dp^i}{dt} = F^i
\tag{8}
\]
と書ける。

ここまで来ると、分かりやすくなってきましたね。
ニュートンの運動方程式は、
\[
\frac{dP^i}{dt} = F^i
\tag{9}
\]
です。
相対論的な式との違いは、唯一、
4元運動量 p と3次元的な運動量 P の違いだけ。

この微妙な違いが大きな差異を生みます。
ということで、続きはその意味を考えていくことに・・・
(どこぞの民放番組みたいに引っ張りますね・・・笑)

参考文献
[1] 内山龍雄「相対性理論」(岩波物理テキストシリーズ)
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>特殊相対論 | コメント(0) | 2014/02/07 12:21

相対論的運動方程式 (3)

前記事で予告した通り、
S' 系で静止している電荷に電場からローレンツ力が働いている状況を考えます。

ローレンツ力は、
\[
{\bf F}' = q{\bf E}'
\tag{1}
\]
であるから、4元力は、
\[
f'^\mu = F'^\mu = (0, q{\bf E}')
\tag{2}
\]
と書ける。
これを電磁場テンソルを用いて表すと(HL単位系)
\[
f'^\mu = qf'^{\mu 0}
\tag{3}
\]
同じ文字 f を使ってしまったので、少々ややこしいですが、
添え字が1つのものは、4元力、
添え字が2つのものは、電磁場テンソル
という分かりにくい仕様で恐縮です(汗)

さて、これを S 系に持っていくと、どうなるか。

両辺の f がともに、1階の反変ベクトルであれば、
プライム記号を除いて、f ' を f に変えるだけでOK!
つまり、
\[
f^\mu = qf^{\mu 0}
\tag{4}
\]

しかし、今回は、右辺の f は、2階の反変テンソル。
単純にプライムを除くだけだと、2回分ローレンツ逆変換の係数をかけちゃうことになって、
一回分余計にやりすぎることになるため、これではダメなんですね。
さらに、一回分、ローレンツ変換係数をかけて、戻してやる必要があります。

このことを念頭に置いたうえで、次のように考えてみます。

4元力ベクトルと電磁場テンソルのローレンツ変換の関係式
\[
f'^\mu = a^\mu{}_\nu f^\nu
\tag{5}
\]\[
f'^{\mu\lambda} = a^\mu{}_\nu a^\lambda{}_\rho f^{\nu\rho}
\]
を(3)式にぶちこんで、
\[
a^\mu{}_\nu f^\nu = a^\mu{}_\nu ( q a^0{}_\rho f^{\nu\rho})
\tag{6}
\]
ここで、両辺をローレンツ逆変換すると、\(a^\mu{}_\nu\)が消えて、
\[
f^\nu = q a^0{}_\rho f^{\nu\rho}
\tag{7}
\]
これが S 系から見た4元力の正体!
・・・と言ったって、これじゃなんのこっちゃ分からんですね~(笑)

空間成分に着目して、ν=1,2,3 の場合を考えてみます。
\[
f^1 = q \gamma E_x
\tag{8}
\]\[
f^2 = q (\gamma E_y - \gamma\beta B_z)
\]\[
f^3 = q (\gamma E_z + \gamma\beta B_y)
\]

3次元的にまとめると、
\[
{\bf f} = \gamma q \left( {\bf E} + \frac{\bf v}{c}\times{\bf B} \right)
\tag{9}
\]

こうやって見ると、分かりやすくなりました。
ニュートン力学的なローレンツ力は、
\[
{\bf F} = q \left( {\bf E} + \frac{\bf v}{c}\times{\bf B} \right)
\tag{10}
\]
と書けるから、4元力の空間成分は、ニュートン的な力と
\[
f^i = \gamma F^i
\tag{11}
\]
という関係で結ばれていることになります。

つまり、

4元力 = ニュートン的な力 × γ

という関係になっているわけです。

今回はローレンツ力に限って導き出した結果ですが、
この関係が一般的に成立すると仮定します。

というのは、実は、どの教科書に書いてるわけでもなくて(汗)、
内山先生の教科書に、
ローレンツ力の関係を思い出すと、一般にこう考えられるというようなことが
一行ほどでさらっと書かれてるだけなんですよね。

これ、結構、重要なポイントだと思うんですが・・・
とりあえず、この方針で進めていきます。

v=0 の時は、γ=1 ですから、静止系では、
「4元力はニュートン的な力に一致する」という要請も満たしています。

次回、この関係をもとに、
修正された相対論的運動方程式の意味を考えていきたいと思います。

参考文献
[1] 内山龍雄「相対性理論」(岩波物理テキストシリーズ)
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>特殊相対論 | コメント(0) | 2014/02/05 19:16

相対論的運動方程式 (2)

S' 系(質点が静止して見える系)で立てた運動方程式
\[
m\frac{d^2x'^\mu}{d\tau^2} = F'^\mu
\tag{1}
\]
を S 系(質点が v で運動して見える系)から見ると、
つまりローレンツ変換すると、どうなるか考えていきます。

ここで、x は反変ベクトルだから、
ローレンツ変換によって反変的に振る舞う。

m,τはスカラーだから、ローレンツ変換によって不変。

F は、もともとニュートン方程式に入っていた F を
形式的に、4元に拡張したものなので、
ローレンツ変換でどうなるかは不明。

そこで、一応、ニュートン的な力 F と区別するために、
反変性を示す4元力 fμ を導入する。

この4元力は、静止系 S' においては、F と等しくなるとする。
( v→0 の極限でニュートン力学に帰着するという要請から)

というわけで、上の S' 系の式 (1) の F' を f' に変えることができて、
\[
m\frac{d^2x'^\mu}{d\tau^2} = f'^\mu
\tag{2}
\]
これで、両辺ともに反変ベクトルになったので、
S 系では、ローレンツ逆変換を行って、
\[
m\frac{d^2x^\mu}{d\tau^2} = f^\mu
\tag{3}
\]
となる。

これが一般の慣性系で成立するように修正された
相対論的な運動方程式です。

・・・と言われても、まったくイメージわきませんよね

というのも、「4元力」というのがいったい何者なのか
これではさっぱり分かりません!

そこで、4元力とはどういうものなのか、具体的に考えてみることにします。

S' 系では、普通のニュートン的な力に時間成分0を無理やり加えたものと
等しいわけだから、それをローレンツ変換してみればよいわけです。

で、普通の力を・・・とはじめは思ったのですが、

「普通の力」って何だ?ってことになりました(笑)

現代の物理理論では、力には、
電磁力と重力、強い力、弱い力の4種類しかないそうですね。

このうち、重力は一般相対論ではじめて理解できるような変わった力だし、
強い力と弱い力はどちらも核力で、原子核内部でしか働かないような特殊な力。

というわけで、結局、電磁力を考えるのが一番無難そうです(笑)

電磁力の基盤となる電磁気学は、これまでの記事で見てきたとおり、
相対論的に扱えることが分かっているので、
とりあえず、ローレンツ力を考えてみるのがよさそうということになります。

次回は、S' 系で静止している電荷に電場からローレンツ力が働いている状況から
スタートして、ローレンツ変換を行ってみたいと思います。

参考文献
[1] 内山龍雄「相対性理論」(岩波物理テキストシリーズ)
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>特殊相対論 | コメント(0) | 2014/02/04 12:47

相対論的運動方程式 (1)

テンプレートを変えましたが、このテンプレート、
シンプルなデザインでありながら、
勉強してるって雰囲気もありありで、いいじゃないですか!
ほんと素敵で惚れ惚れします(笑)

さて、お膳立てが揃ったので、いよいよ、
運動方程式を相対論的に修正していきたいと思います!

ここからは、ちょっと難しいんです。
計算が難しいわけではなくて、論理をどのように展開していくかが難しい。

まだ、完全に飲みこめたわけじゃないのですが、
とりあえず、内山先生の本が一番分かりやすかったので、
それに沿って、すすめていこうと思います。

行間を我流で埋めていますので、
内山先生の意図とは異なっている箇所も多々あるかもしれません。
間違いがあるときは、ご容赦ください。

・・・とお断りを入れておきまして、さっそく始めます。

まずは、ニュートンの運動方程式からスタート。
\[
m\frac{d^2 x^i}{dt^2} = F^i
\tag{1}
\]

ここで、i = 1, 2, 3。
以後は、英文字の添え字は、空間的な 1,2,3 のみを表すものとし、
ギリシャ文字の添え字は、時間・空間の4元形式を表すものとする。
(以前、テンソルの記事で使っていたこの流儀とは違うので、要注意!)

もう一つ、添え字について補足。
i を上に書いているのは、特に意味はない。
空間成分だけでは、共変も反変も考えようがないので、
反変形式に合わせて形式的に上に書いているだけ。

これを相対論的に修正していこうというのが目標。

原理なので、どんな修正を行おうとも、
実験結果をうまく説明しさえすればよいわけですが、
なるべく自然な論理で修正したいというわけです。

もう一つ、重要な観点として、
速度が光速に比べて非常に小さい場合、
すなわち、v → 0 の極限では、
ニュートンの運動方程式 (1) に帰着しなければならない

という制約のもとで修正を行わなければならない。

そこで、慣性系 S に対して、速度 v で運動する質点を考える。
これを質点が静止して見えるような慣性系 S' から見てみる。
(つまり、S' は S に対して、速度 v で動いている系)

質点は S' に対しては静止しているのだから、
S' においては、ニュートンの運動方程式が成立しているはずである。
\[
m\frac{d^2 x'^i}{dt'^2} = F'^i
\tag{2}
\]

静止系においては、
\[
dt' = d\tau
\tag{3}
\]
であるから、dt' を固有時 dτ に置き換えることが可能である。
\[
m\frac{d^2 x'^i}{d\tau^2} = F'^i
\tag{4}
\]

これをさらに4元形式に拡張してみる( i をμに変えるだけ)
\[
m\frac{d^2 x'^\mu}{d\tau} = F'^\mu
\tag{5}
\]

この時、新たに追加することになった時間成分を見てみることにする。
\[
m\frac{d^2 x'^0}{d\tau^2} = F'^0
\]
は、
\[
m\frac{d^2 (ct')}{dt'^2} = F'^0
\]
となるから、明らかに
\[
F'^0 = 0
\tag{6}
\]
でなければ、成立しない。
というわけで、静止系 S' から見た場合の力 F' は、
3次元的な力 F' に時間成分として、0を付け加えたものにすればよい。
\[
F'^\mu = ( 0, {\bf F}')
\tag{7}
\]

・・と、ここまではずっと S' 系で考えてきましたが、
これを S 系に持っていくとどうなるでしょうか?

今回は論理展開に注意を払いながらやってるので、
じっくりと行きます。
というわけで、次回(笑)

参考文献
[1] 内山龍雄「相対性理論」(岩波物理テキストシリーズ)
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>特殊相対論 | コメント(0) | 2014/02/03 19:25

4元運動量

次は、運動量を考えます。

運動量 = 質量 × 速度

ですから、4元運動量は、

4元運動量 = 質量 × 4元速度

と定義します。

つまり、
\[
p^\mu = m u^\mu = m\frac{dx^\mu}{d\tau}
\tag{1}
\]
と定義。

ここで、質量はローレンツ不変量と考えるので、
4元運動量も4元(反変)ベクトルである。

以前は、質量は速度に応じて増大すると考えることが多かったようですが、
(子供の頃、読んだブルーバックスではそうなっていた)
最近は、質量はローレンツ不変と考えるのが主流のようです。

時間成分と空間成分は、
\[
p^\mu = (\gamma mc, \gamma m{\bf v}) = (\gamma mc, \gamma {\bf P})
\tag{2}
\]
となる。

\({\bf P} = m{\bf v} \) は、ニュートン力学における3次元的な運動量。

4元速度と同様、γが掛かっているために、
光速に近づくにつれ、4元運動量の各成分も無限大に発散する。

このことが、後に、いくら加速しても光速の壁を破ることができない!
ということに関連していきます。



参考文献
[1] 内山龍雄「相対性理論」(岩波物理テキストシリーズ)
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>特殊相対論 | コメント(0) | 2014/01/31 13:04
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