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球面調和関数 (6)

前回の微分方程式の証明はやや煩雑でしたので、
もっとシンプルに直接、球面調和関数の定義を代入して成り立つことを確認しておきます。
微分方程式があらかじめ分かっている場合はこちらの方が分かりやすいですね。

微分方程式

球面調和関数は以下の微分方程式の解である。\[
\left[\frac{1}{\sin\theta} \frac{\partial}{\partial \theta} \left( \sin\theta \frac{\partial}{\partial \theta} \right)
+ \frac{1}{\sin^2\theta} \frac{\partial^2}{\partial \phi^2} + l(l+1)
\right] Y_{lm}(\theta,\phi) = 0
\tag{1}
\]

(証明)
球面調和関数の定義から\[
Y_{lm} = P_l^m(\cos\theta) e^{im\phi}
\tag{2}
\]この微分方程式は線形なので、係数は意味がないため、省略した。
以下、添字も l m しか登場しないので、省略する。
微分方程式 (1) の左辺に代入すると、\[
e^{im\phi} \left[\frac{1}{\sin\theta} \frac{d}{d\theta} \left( \sin\theta \frac{d}{d\theta} \right)
- \frac{m^2}{\sin^2\theta} + l(l+1)
\right] P(\cos\theta)
\tag{3}
\]となる。θに関する微分は、\[
\frac{dP}{d\theta} = -\sin\theta P'(\cos\theta)
\]となるから、\[
\frac{1}{\sin\theta} \frac{d}{d\theta} \left( \sin\theta \frac{dP}{d\theta} \right)
= \sin^2\theta P'' - 2\cos\theta P'
\]となり、(3) は、\[
e^{im\phi} \left[\sin^2\theta P'' - 2\cos\theta P'
- \frac{m^2}{\sin^2\theta}P + l(l+1)P
\right]
\]と計算できる。

ここで、ルジャンドルの陪関数は微分方程式\[
\left[ (1-x^2) \frac{d^2}{dx^2} - 2x \frac{d}{dx} + l(l+1) - \frac{m^2}{1-x^2} \right] P_l^m(x) = 0
\tag{4}
\]を満たすから、これに $x=\cos\theta$ を代入すると、\[
\left[ \sin^2\theta P'' - 2\cos\theta P' + l(l+1)P - \frac{m^2}{\sin^2\theta}P \right] = 0
\tag{5}
\]となる。
これより、(3) はゼロとなることが分かり、微分方程式 (1) は成立する。
(証明終了)
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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
球面調和関数 | コメント(0) | 2016/05/11 22:25

球面調和関数 (5)

微分方程式

球面調和関数は以下の微分方程式の解である。\[
\left[\frac{1}{\sin\theta} \frac{\partial}{\partial \theta} \left( \sin\theta \frac{\partial}{\partial \theta} \right)
+ \frac{1}{\sin^2\theta} \frac{\partial^2}{\partial \phi^2} + l(l+1)
\right] Y_{lm}(\theta,\phi) = 0
\tag{1}
\]

(証明)前記事の漸化式
\[
e^{i\phi} (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{lm} = \sqrt{(l-m)(l+m+1)} Y_{l,m+1}
\tag{2}
\]\[
e^{-i\phi} (-\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{lm} = \sqrt{(l+m)(l-m+1)} Y_{l,m-1}
\tag{3}
\]を用いる。(3) のインデックス m を1増やすと、\[
e^{-i\phi} (-\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{l,m+1} = \sqrt{(l+m+1)(l-m)} Y_{l,m}
\tag{4}
\](2) より $Y_{l,m+1}$ について解いた式を代入すると、\[
e^{-i\phi} (-\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) e^{i\phi} (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{lm}
= (l-m)(l+m+1) Y_{lm}
\tag{5}
\]左辺を整理する。\[ \left[
-\partial_\theta (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi)
+ i\cot\theta e^{-i\phi}\partial_\phi e^{i\phi} (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi)
\right] Y_{lm}
\tag{6}
\]このうち第一項は、\[
-\partial^2_\theta + \frac{i}{\sin^2\theta} \partial_\phi - i\cot\theta \partial_\theta \partial_\phi
\]第二項の $\partial_\phi$ 以降は、\[
ie^{i\phi} (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi)
+ e^{i\phi} \partial_\theta \partial_\phi
+ ie^{i\phi} \cot\theta \partial_\phi^2
\]となり、(6) は\[ \left[
-\partial^2_\theta + \frac{i}{\sin^2\theta} \partial_\phi - i\cot\theta \partial_\theta \partial_\phi \\
+i\cot\theta \left\{
i (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi)
+ \partial_\theta \partial_\phi
+ i\cot\theta \partial_\phi^2
\right\}
\right] Y_{lm}
\]となり、さらに、\[
\left[ -\partial^2_\theta - \cot\theta \partial_\theta + i\partial_\phi - \cot^2\theta \partial^2_\phi \right] Y_{lm}
\tag{7}
\]と変形できる。
ここで、恒等式\[
\partial^2_\theta + \cot\theta \partial_\theta = \frac{1}{\sin\theta} \partial_\theta (\sin\theta \partial_\theta)
\tag{8}
\]を利用すると、(7) は\[
\left[ -\frac{1}{\sin\theta}(\sin\theta \partial_\theta) + i\partial_\phi - \cot^2\theta \partial^2_\phi \right] Y_{lm}
\tag{9}
\]と整理される。

一方、(5) の右辺を展開すると、\[
[l(l+1) - m^2 - m] Y_lm
\tag{10}
\]となり、球面調和関数の性質\[
\partial_\phi Y_{lm} = im Y_{lm}
\tag{11}
\]を利用すると、\[
\left[ l(l+1) + \partial^2_\phi + i\partial_\phi \right] Y_{lm}
\tag{12}
\]とできるので、結局、(5) は、\[
\left[ -\frac{1}{\sin\theta}(\sin\theta \partial_\theta) + i\partial_\phi - \cot^2\theta \partial^2_\phi \right] Y_{lm}
= \left[ l(l+1) + \partial^2_\phi + i\partial_\phi \right] Y_{lm}
\tag{13}
\]となる。
これを整理すると、(1) を得る。
(証明終了)

なんだか、ごちゃごちゃしてますね。
もうちょっとすっきりと証明できそうな気もするのですが・・・

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
球面調和関数 | コメント(0) | 2016/05/11 22:24

球面調和関数 (4)

漸化式

\[
e^{i\phi} (\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{lm} = \sqrt{(l-m)(l+m+1)} Y_{l,m+1}
\tag{1}
\]\[
e^{-i\phi} (-\partial_\theta + i\cot\theta \partial_\phi) Y_{lm} = \sqrt{(l+m)(l-m+1)} Y_{l,m-1}
\tag{2}
\]

(証明)ルジャンドルの陪関数の漸化式
\[
\left[ (1- x^2)\frac{d}{dx} + mx \right] P_l^m(x) = \sqrt{1-x^2} P_l^{m+1}(x)
\tag{3}
\]\[
\left[ (1- x^2)\frac{d}{dx} - mx \right] P_l^m(x) = -(l+m)(l-m+1) \sqrt{1-x^2} P_l^{m-1}(x)
\tag{4}
\]を用いる。
簡単のために、$Y_{lm}$ の係数を $a_{lm}$ と書くことにして、
(1) の左辺の微分を計算していく。\[
\partial_\theta Y_{lm} = - a_{lm} {P_l^m}'(\cos\theta) \sin\theta e^{im\phi}
\]\[
\partial_\phi Y_{lm} = im a_{lm} P_l^m(\cos\theta) e^{im\phi}
\](1) の左辺は、\[
- a_{lm} [ \sin\theta {P_l^m}'(\cos\theta) + m\cot\theta P_l^m(\cos\theta) ] e^{i(m+1)\phi}
\tag{5}
\]となる。一方、(3) において、$x=\cos\theta (0\leq\theta\leq\pi)$ とおくと、\[
\sin^2\theta {P_l^m}'(\cos\theta) + m\cos\theta P_l^m(\cos\theta) = \sin\theta P_l^{m+1}(\cos\theta)
\]であるから、(5) は、\[
- a_{lm} P_l^{m+1}(\cos\theta) e^{i(m+1)\phi}
\]となり、\[
a_{lm} = -\sqrt{(l-m)(l+m+1)} a_{l,m+1}
\]であるから、(1) の右辺に帰する。

同様に、(2) の左辺は、\[
a_{lm} [ \sin\theta {P_l^m}'(\cos\theta) - m\cot\theta P_l^m(\cos\theta) ] e^{i(m-1)\phi}
\tag{6}
\]となり、(4) からは\[
\sin^2\theta {P_l^m}'(\cos\theta) - m\cos\theta P_l^m(\cos\theta) = -(l+m)(l-m+1)\sin\theta P_l^{m-1}(\cos\theta)
\]が得られるから、(6) は\[
-a_{lm} (l+m)(l-m+1) P_l^{m-1}(\cos\theta) e^{i(m-1)\phi}
\]となる。ここで、\[
a_{lm} = -\frac{a_{l,m-1}}{\sqrt{(l+m)(l-m+1)}}
\]であるから、(2) の右辺を得る。
(証明終了)

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
球面調和関数 | コメント(0) | 2016/04/24 23:12

球面調和関数 (3)

直交性

全立体角にわたる積分において直交性を示す。\[
\int Y_{lm}(\theta,\phi)^* Y_{l'm'}(\theta,\phi) d\Omega \\
= \int_0^\pi \sin\theta d\theta \int_0^{2\pi} d\phi Y_{lm}(\theta,\phi)^* Y_{l'm'}(\theta,\phi) = \delta_{ll'}\delta_{mm'}
\tag{1}
\]

(証明)まず、Φに依存する因子は、$e^{im\phi}$ のみであるから、
Φについての積分の因子だけを取り出すと、\[
\int_0^{2\pi} e^{i(m'-m)\phi} d\phi = 2\pi\delta_{mm'}
\tag{2}
\]となり、$m\neq m'$ の時は、l の値によらずに、全体の積分も 0 になる。
以降、m = m' の時のみを考えればよい。
θに関しては、$\cos\theta = x$ とおくと、\[
\int_0^\pi \sin\theta d\theta = \int_{-1}^1 dx
\tag{3}
\]と置き換えられる。ここで、ルジャンドル陪関数の l に対する直交性\[
\int_{-1}^1 P_l^m(x) P_{l'}^m(x) dx = \frac{2}{2l+1} \frac{(l+m)!}{(l-m)!} \delta_{l l'}
\tag{4}
\]を用いると、m=m' の時の積分の値は $\delta_{ll'}$ となる。
$m \neq m'$ の場合と合わせて、(1) となる。
(証明終了)

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
球面調和関数 | コメント(0) | 2016/04/21 00:00

球面調和関数 (2)

久しぶりに、球面調和関数の続き。

\[
Y_{lm}(\theta,\phi) = (-1)^m \sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l-m)!}{(l+m)!} } P_l^m(\cos\theta) e^{im\phi}
\tag{1}
\]


$Y_{lm}$ と $Y_{l,-m}$ の関係

\[
Y_{l,-m}(\theta,\phi) = (-1)^m Y_{lm}(\theta,\phi)^*
\tag{2}
\]

(証明)
(1) の定義式より\[
Y_{l,-m} = (-1)^m \sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l+m)!}{(l-m)!} } P_l^{-m}(\cos\theta) e^{-im\phi}
\tag{3}
\]ルジャンドル陪関数の関係式\[
P_l^{-m}(x) = (-1)^m \frac{(l-m)!}{(l+m)!} P_l^m(x)
\tag{4}
\]を用いると、\[
Y_{l,-m} = (-1)^m(-1)^m \sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l-m)!}{(l+m)!} } P_l^m(\cos\theta) e^{-im\phi}
\tag{5}
\]となり、(2) が得られる。
(証明終了)

空間反転のパリティ

\[
Y_{lm}(\pi-\theta, \phi+\pi) = (-1)^l Y_{lm}(\theta,\phi)
\tag{6}
\]

(証明)
ルジャンドル陪関数の性質から、$\cos\theta$ の符号反転に対して、
$P_l^m(\cos\theta)$ の部分は、$(-1)^{l+m}$ のパリティを持つ。
$e^{im\phi}$ の部分は、$(-1)^m$ のパリティを持つ。
以上より、全体では、$(-1)^l$ のパリティを持つ。
(証明終了)

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
球面調和関数 | コメント(0) | 2016/04/19 22:11

球面調和関数 (1)

延々とルジャンドルをやってきたのも主にこのため!
球面調和関数がやりたかったのです。
ようやく入れます^^

定義\[
Y_{lm}(\theta,\phi) = (-1)^m
\sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l-m)!}{(l+m)!} }
P_l^m(\cos\theta) e^{im\phi}
\tag{1}
\]
文献 [1] の定義はこうなっています。

ところが、Wikipedia [2] や他の文献を見ると、以下の定義をよくみかけます。\[
Y_{lm}(\theta,\phi) = (-1)^{(m+|m|)/2}
\sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l-|m|)!}{(l+|m|)!} }
P_l^{|m|}(\cos\theta) e^{im\phi}
\tag{2}
\]
ダブルスタンダードは困るぞ!!!(怒)
後々、混乱するじゃないか!
やる気もダウンします・・・orz

というわけで、まずは同じものなのかを確認すべし!

(2) 式からスタート。

m ≧0 の場合
|m| = m とおくと、明らかに (1) に一致する。

m < 0 の場合
|m| = -m だから、(2) 式は\[
Y_{lm}(\theta,\phi) =
\sqrt{\frac{2l+1}{4\pi} \frac{(l+m)!}{(l-m)!} }
P_l^{-m}(\cos\theta) e^{im\phi}
\tag{3}
\]
関係式\[
P_l^{-m}(x) = (-1)^m \frac{(l-m)!}{(l+m)!} P_l^m(x)
\tag{4}
\]を代入すると、(1) となる。

ということで、両方の定義は一致することが確認できた。

いろんな証明を行うには、(1) の方がすっきりしていて使いやすそうですが、
具体的な式の表現を出すときには、(2) の方がやりやすそう。

しばらくは、文献[1] を参考に進めるので、(1) 式を主に使おうと思います。

参考文献
[1] 小野寺嘉孝「物理のための応用数学」
[2] Wikipedia 「球面調和関数」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%83%E9%9D%A2%E8%AA%BF%E5%92%8C%E9%96%A2%E6%95%B0
球面調和関数 | コメント(0) | 2015/04/15 19:42
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