スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | --/--/-- --:--

電磁場の運動量

続いて、電磁場の運動量について。

運動量については、真空中で考えることにする。

当初、媒質中での式を導きたくて、D や H の勉強をしていたのですが、
運動量の場合は、媒質内部での電子一つ一つの微視的な運動がかかわってくるので、
平均化した巨視的な量で考えるのは少々、厄介なようです。
扱う方法がないわけではなさそうですが、わざわざ深入りしないことにします。

電磁場がローレンツ力を介して、電荷に与える運動量変化を考える。\[
\frac{d{\bf p}}{dt} = q\left({\bf E} + \frac{1}{c}{\bf v}\times{\bf B} \right)
\tag{1}
\]連続分布に拡張すると、\[
\frac{d{\bf p}}{dt} = \int \left(\rho {\bf E} + \frac{1}{c}{\bf j}\times{\bf B} \right) d^3x
\tag{2}
\]となる。マックスウェル方程式\[
\rho = \nabla\cdot{\bf E}
\tag{3}
\]\[
{\bf j} = c\nabla\times{\bf B} - \frac{\partial {\bf E}}{\partial t}
\tag{4}
\]を代入すると、\[
\frac{d{\bf p}}{dt} = \int \left[ {\bf E}(\nabla\cdot{\bf E})
- \frac{1}{c}\frac{\partial{\bf E}}{\partial t} \times {\bf B}
+ (\nabla\times{\bf B}) \times {\bf B}
\right] d^3x
\tag{5}
\]となる。ここで、\[
\frac{\partial {\bf E}}{\partial t}\times{\bf B}
= \frac{\partial}{\partial t} ({\bf E}\times{\bf B})
- {\bf E} \times \frac{\partial {\bf B}}{\partial t}
\tag{6}
\]であり、さらにマックスウェル方程式\[
\frac{1}{c}\frac{\partial{\bf B}}{\partial t} = -\nabla\times{\bf E}
\tag{7}
\]\[
\nabla\cdot{\bf B} = 0
\tag{8}
\]を利用すると、(5)は\[
\frac{d{\bf p}}{dt} = \int \left[
{\bf E}(\nabla\cdot{\bf E}) + {\bf B}(\nabla\cdot{\bf B})
- {\bf E} \times (\nabla\times {\bf E}) - {\bf B} \times (\nabla\times {\bf B})\\
-\frac{1}{c}\frac{\partial}{\partial t}({\bf E}\times{\bf B})
\right] d^3x
\tag{9}
\]という対称性の良い形に変形できる。

ここで、

\[
{\bf g} = \frac{1}{c}({\bf E}\times{\bf B})
\tag{10}
\]

と定義することにすると、\[
\frac{d{\bf p}}{dt} + \frac{d}{dt}\int {\bf g} d^3x \\
= \int \left[
{\bf E}(\nabla\cdot{\bf E}) + {\bf B}(\nabla\cdot{\bf B})
- {\bf E} \times (\nabla\times {\bf E}) - {\bf B} \times (\nabla\times {\bf B})
\right] d^3x
\tag{11}
\]と書ける。

右辺については、まず、${\bf E}(\nabla\cdot{\bf E})-{\bf E} \times (\nabla\times {\bf E})$ のx成分を考えると、\[
E_x (\partial_x E_x + \partial_y E_y + \partial_z E_z)
- E_y (\partial_x E_y - \partial_y E_x)
+ E_z (\partial_z E_x - \partial_x E_z) \\
= \partial_x(E_x^2) + \partial_y(E_xE_y) + \partial_z(E_xE_z)
-\frac{1}{2}\partial_x(E_x^2 + E_y^2 + E_z^2)
\tag{12}
\]と変形でき、一般に、α成分は\[
[{\bf E}(\nabla\cdot{\bf E})-{\bf E} \times (\nabla\times {\bf E})]_\alpha
= \sum_\beta \frac{\partial}{\partial x_\beta} \left( E_\alpha E_\beta -\frac{1}{2} {\bf E}^2 \delta_{\alpha\beta} \right)
\tag{13}
\]B についても同様であるから、(11)の右辺は、\[
\int \sum_\beta\frac{\partial}{\partial x_\beta} T_{\alpha\beta} d^3x
\tag{14}
\]と書ける。ただし、

\[
T_{\alpha\beta} = E_\alpha E_\beta + B_\alpha B_\beta - \frac{1}{2} ({\bf E}^2 + {\bf B}^2) \delta_{\alpha\beta}
\tag{15}
\]

と定義した。ガウスの定理を用いると、表面積分に書き換えられて、結局、(11) は

\[
\frac{d{\bf p}}{dt} + \frac{d}{dt}\int {\bf g} d^3x
= \int_S T_{\alpha\beta} n_\beta dA
\tag{16}
\]

と書ける(n は表面Sの外向き法線ベクトル)

g を電磁場の運動量密度
$T_{\alpha\beta}$ をマックスウェルの応力テンソルと呼ぶと、
この式は、マックスウェルの応力により、電磁場の運動量が変化することを表している。

電磁場の運動量は

\[
{\bf p}_{\rm em} = \int {\bf g} d^3x = \frac{1}{c} \int ({\bf E} \times {\bf B}) d^3x
\tag{17}
\]

と表される。

MKSA単位系では、以下となる。

\[
{\bf g} = \varepsilon_0 {\bf E} \times {\bf B}
= \frac{1}{c^2}({\bf E} \times {\bf H})
\tag{18}
\]\[
T_{\alpha\beta} = \varepsilon_0 \left( E_\alpha E_\beta - \frac{1}{2}{\bf E}^2 \delta_{\alpha\beta} \right)
+ \frac{1}{\mu_0} \left( B_\alpha B_\beta - \frac{1}{2}{\bf B}^2 \delta_{\alpha\beta} \right)
\]



参考文献
[1] J.D.Jackson "Classical Electrodynamics"
[2] 砂川重信 岩波物理テキストシリーズ「電磁気学」
スポンサーサイト
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2017/01/06 13:17

電磁場のエネルギー(再)

電磁場のエネルギーについては以前にも書きましたが、
導出過程が分かりにくかったので、再度まとめておきます。
単位系は、HLを用います。

電磁場がローレンツ力を介して電荷に行う仕事率は、$P = q{\bf E}\cdot{\bf v}$ であるから、
これを連続分布で考えると、

\[
P = \int {\bf E}\cdot{\bf j} d^3x
\tag{1}
\]

と書ける。磁場は常に運動と直交する方向に力を与えるので仕事をしないことに注意。

マックスウェル方程式\[
{\bf j} = c\nabla\times{\bf H} - \frac{\partial {\bf D}}{\partial t}
\tag{2}
\]を代入して、\[
P = \int \left[
c {\bf E}\cdot(\nabla\times{\bf H}) - {\bf E}\cdot \frac{\partial {\bf D}}{\partial t}
\right] d^3x
\tag{3}
\]となる。

ここで、恒等式\[
{\bf E} \cdot (\nabla \times {\bf H}) = {\bf H} \cdot (\nabla \times {\bf E}) - \nabla \cdot ({\bf E} \times {\bf H})
\tag{4}
\]とそれに続いて、マックスウェル方程式\[
\nabla \times {\bf E} = -\frac{1}{c} \frac{\partial {\bf B}}{\partial t}
\tag{5}
\]を用いると、\[
P = \int \left[
- {\bf E}\cdot \frac{\partial {\bf D}}{\partial t}
- {\bf H}\cdot \frac{\partial {\bf B}}{\partial t}
- c\nabla \cdot ({\bf E} \times {\bf H})
\right] d^3x
\tag{6}
\]と書き換えられる。

媒質の応答が線形で、${\bf D} = \varepsilon {\bf E}$、${\bf B} = \mu{\bf H}$ なる関係で表せると仮定し、
また、第3項についてはガウスの定理を用いると、\[
P = -\frac{d}{dt} \int \frac{1}{2}({\bf E}\cdot{\bf D} + {\bf B}\cdot{\bf H}) d^3x
-\int_S c({\bf E} \times {\bf H}) \cdot d{\bf A}
\tag{7}
\]と書き直せる。

ここで、

\[
u = \frac{1}{2}({\bf E}\cdot{\bf D} + {\bf B}\cdot{\bf H})
\tag{8}
\]\[
{\bf S} = c ({\bf E} \times {\bf H})
\tag{9}
\]

なる量を定義すると、(7)は

\[
P = -\frac{d}{dt} \int u d^3x - \int_S {\bf S}\cdot d{\bf A}
\tag{10}
\]

と書き表され、
u は電磁場のエネルギー密度(単位体積あたり蓄積されたエネルギー)、
S はポインティングベクトル(単位面積あたり流出するエネルギーの流れ)
を表すことが分かる。

微分形のまま表記すると、

\[
{\bf E}\cdot{\bf j} = -\frac{\partial u}{\partial t} - \nabla \cdot {\bf S}
\tag{11}
\]

である。

MKSA単位系の場合は、マックスウェル方程式 (2) と (5) において、c が不要であるため、
ポインティングベクトルの c も不要である。

\[
u = \frac{1}{2}({\bf E}\cdot{\bf D} + {\bf B}\cdot{\bf H})
\tag{13}
\]\[
{\bf S} = {\bf E} \times {\bf H}
\tag{14}
\]



参考文献
[1] J.D.Jackson "Classical Electrodynamics"
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2016/08/26 22:30

E と D、B と H の関係

E と D、B と H の関係については、これまでずっと、
MKSA単位系で次のように丸暗記していました。

\[
{\bf D} = \varepsilon_0 {\bf E} + {\bf P} \tag{1.1}
\]\[
{\bf B} = \mu_0 {\bf H} + {\bf M} \tag{1.2}
\]


同様の方が多いと思いますが、
実際の電場と磁場は E と B であり、
媒質内の効果を式の上で見かけ上なくした電場と磁場が D と H であるから、
E と B、D と H が対応するわけで、
上の式の表記だと、対応がおかしなことになっています。

前記事で導出しましたが、実際には以下のように書くべきなんですね!

\[
{\bf D} = \varepsilon_0 {\bf E} + {\bf P} \tag{2.1}
\]\[
{\bf H} = \frac{\bf B}{\mu_0} - {\bf M} \tag{2.2}
\]



問題は符号が逆符号になってることで、
これは単に、P と M の符号の定義が
歴史的な経緯でそうなってしまっただけのようです。

どうにも分かりにくいのはそのあたりが原因なんでしょうね。

参考文献
[1] 砂川重信 「電磁気学」 (岩波物理テキストシリーズ4)
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2016/08/25 20:07

媒質中のマックスウェル方程式 (2) MKSA

前記事に続いて、媒質(誘電体・磁性体)中におけるマックスウェル方程式を
MKSA単位系の場合について求めます。

真空中のマックスウェル方程式は以下の通り。

\[
\nabla\cdot{\bf E} = \frac{\rho}{\varepsilon_0} \tag{1.1}
\]\[
\nabla\times{\bf B} - \frac{1}{c^2} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = \mu_0 {\bf j} \tag{1.2}
\]\[
\nabla\cdot{\bf B} = 0 \tag{1.3}
\]\[
\nabla\times{\bf E} + \frac{\partial{\bf B}}{\partial t} = 0 \tag{1.4}
\]



(1.1)について、分極電荷は同じく $\rho' = -\nabla\cdot{\bf P}$ であるから、\[
\nabla\cdot{\bf E} = \frac{1}{\varepsilon_0}(\rho - \nabla\cdot{\bf P})
\tag{2}
\]となる。ここで、\[
{\bf D} = \varepsilon_0{\bf E} + {\bf P}
\tag{3}
\]と定義すれば、\[
\nabla\cdot{\bf D} = \rho
\tag{4}
\]と書き換えられる。

(1.2)については、MKSA単位系では磁荷電流は ${\bf j}' = \nabla\times{\bf M}$ となるため、\[
\nabla\times{\bf B} - \frac{1}{c^2} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = \mu_0 ({\bf j} + \nabla\times{\bf M})
\tag{5}
\]と置き換わる。ここで、\[
{\bf H} = \frac{\bf B}{\mu_0} - {\bf M}
\tag{6}
\]と定義すると、\[
\nabla\times{\bf H} - \varepsilon_0 \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = {\bf j}
\tag{7}
\]と書き換えられる。
さらに、$\nabla\cdot\nabla\times{\bf H} = 0$ と電荷保存則 $\nabla\cdot{\bf j} + \partial\rho/\partial t = 0$ の両立から\[
\nabla\times{\bf H} - \frac{\partial {\bf D}}{\partial t} = {\bf j}
\tag{8}
\]と書き換えられる。
最後の2式は電荷・電流とからまないので、変更なし。

以上をまとめると、媒質中のマックスウェル方程式は以下の通り。

\[
\nabla\cdot{\bf D} = \rho \tag{9.1}
\]\[
\nabla\times{\bf H} - \frac{\partial {\bf D}}{\partial t} = {\bf j} \tag{9.2}
\]\[
\nabla\cdot{\bf B} = 0 \tag{9.3}
\]\[
\nabla\times{\bf E} + \frac{\partial{\bf B}}{\partial t} = 0 \tag{9.4}
\]


新たに導入した物理量の定義は以下の通り。

\[
{\bf D} = \varepsilon_0{\bf E} + {\bf P} \tag{10.1}
\]\[
{\bf H} = \frac{\bf B}{\mu_0} - {\bf M} \tag{10.2}
\]



しかし、こうやって眺めてみると、これまでHL単位系推しでしたが、
媒質中の場合は、MKSA単位系の方が c が入ってなくて、スッキリしてますね。
意外な発見!(笑)

参考文献
[1] J.D.Jackson "Classical Electrodynamics"
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2016/08/25 19:46

媒質中のマックスウェル方程式 (1) へヴィサイド・ローレンツ

媒質(誘電体・磁性体)中におけるマックスウェル方程式について、まとめておきます。

真空中の時と同様、単位系に依存しない形にまとめられないだろうかと思ったのですが、
難しいようですね。
やむをえないので、主に使おうと思っている HL と MKSA の2つの単位系で
個別に導きたいと思います。

まずは、HL単位系の場合。

真空中のマックスウェル方程式は以下の通り。

\[
\nabla\cdot{\bf E} = \rho
\tag{1.1}
\]\[
\nabla\times{\bf B} - \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = \frac{\bf j}{c}
\tag{1.2}
\]\[
\nabla\cdot{\bf B} = 0
\tag{1.3}
\]\[
\nabla\times{\bf E} + \frac{1}{c} \frac{\partial{\bf B}}{\partial t} = 0
\tag{1.4}
\]


まず、(1.1)は、誘電体中では電荷に分極電荷 $\rho' = -\nabla\cdot {\bf P}$ が追加されるため、
\[
\nabla \cdot {\bf E} = \rho - \nabla \cdot {\bf P}
\tag{2}
\]に置き換わる。ここで、\[
{\bf D} = {\bf E} + {\bf P}
\tag{3}
\]と定義すると、(2)式は\[
\nabla \cdot {\bf D} = \rho
\tag{4}
\]と書き換えられる。

次に、(1.2)は磁性体中では電流に磁化電流 ${\bf j}' = c\nabla \times {\bf M}$ が追加されるため、
\[
\nabla\times{\bf B} - \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = \frac{\bf j}{c} + \nabla\times{\bf M}
\tag{5}
\]に変わる。ここで、\[
{\bf H} = {\bf B} - {\bf M}
\tag{6}
\]を定義すると、\[
\nabla\times{\bf H} - \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = \frac{\bf j}{c}
\tag{7}
\]と書き換えられる。
さらに、$\nabla\cdot\nabla\times{\bf H} = 0$ と電荷保存則 $\nabla\cdot {\bf j} + \partial \rho/\partial t = 0$ が両立するために、\[
\nabla\times{\bf H} - \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf D}}{\partial t} = \frac{\bf j}{c}
\tag{8}
\]と書き換えられる。
残りの2式は電荷も電流もからまないので、変更なし。

以上をまとめると、マックスウェル方程式は、以下のようになる。

\[
\nabla \cdot {\bf D} = \rho
\tag{9.1}
\]\[
\nabla\times{\bf H} - \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf D}}{\partial t} = \frac{\bf j}{c}
\tag{9.2}
\]\[
\nabla\cdot{\bf B} = 0
\tag{9.3}
\]\[
\nabla\times{\bf E} + \frac{1}{c} \frac{\partial{\bf B}}{\partial t} = 0
\tag{9.4}
\]

新たに導入された物理量の定義は以下の通り。

\[
{\bf D} = {\bf E} + {\bf P}
\tag{10.1}
\]\[
{\bf H} = {\bf B} - {\bf M}
\tag{10.2}
\]



参考文献
[1] J.D.Jackson "Classical Electrodynamics"
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2016/08/24 22:00

誘電分極 (2)

前回誘電分極についての疑問が解けました!
だいたい困った時にはJackson [1] を見るのですが、
今回も Jackson が教えてくれました。

いや、いい本ですね!
一度初めからきっちりと読んだ方がいいんでしょうけど、
やはり読む気がしない^^;

というわけで、Jackson [1] の説明に従って、記事にしていきます。

まずは、静電ポテンシャルの多重極展開を考える。
x' にある電荷密度が点 x に作るポテンシャルΦ(x) は、\[
\phi({\bf x}) = \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \left[
\frac{q}{r} + \frac{{\bf p}\cdot{\bf r}}{r^3} + \cdots
\right]
\tag{1}
\]と表せる。
ここで、${\bf r} = {\bf x}-{\bf x'}$ で、
q は電荷\[
q = \int \rho({\bf x'}) d^3{\bf x'}
\tag{2}
\]p は双極子\[
{\bf p} = \int {\bf x'} \rho({\bf x'}) d^3{\bf x'}
\tag{3}
\]を表す。
・・・の部分は四重極子以降の高次の多重極による寄与。

この式については見覚えある気がするのですが、確認してません。
球面調和関数で展開するか、1/r をそのままテーラー展開して
導けるそうなのですが、後日確認することにして、先へ進みます。

ここで重要なのは、多重極の寄与がない、または無視できるような状況であれば、
r が近い距離でも・・・の部分は落として構わないということ。

というわけで、落として、\[
\phi({\bf x}) = \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \left[
\frac{q}{r} + \frac{{\bf p}\cdot{\bf r}}{r^3}
\right]
\tag{4}
\]と考える。

(以降、めんどくさいので、x や x' などの太字は省略する)

さて、ここで巨視的には十分微小でかつ微視的にはある程度平均化されているような
微小体積 $d^3x'$ を考える。

恐らく、ここが前記事のコメントでいもむしさんが悩まれていた箇所だと思うのですが、
僕はわりとざっくりで気になりません(笑)
そういう意味ではいもむしさんの高度な悩みの解決にはなってないですね・・・^^;

この微小体積の中では体積密度として N 個の微視的双極子 p が存在しているとして、\[
{\bf P}(x') = N(x') \langle {\bf p}(x') \rangle
\tag{5}
\]とする(< > は平均化操作を示す)。

これは前記事の (7) 式で与えた微視的描像ですね。
ここから前記事の (4) 式\[
{\bf D} = \varepsilon_0 {\bf E} + {\bf P}
\tag{6}
\]の巨視的描像を導いていきます。

このような微小体積を仮定すると、(4) 式は\[
\phi(x) = \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \int \left[
\frac{\rho(x')}{r} + \frac{{\bf P}(x') \cdot{\bf r}}{r^3}
\right] d^3x'
\tag{7}
\]と書きなおせる。
第二項は、\[
\frac{\bf r}{r^3} = - \nabla \frac{1}{r} = \nabla' \frac{1}{r}
\tag{8}
\]を用いて、\[
{\bf P}(x') \cdot \nabla' \frac{1}{r}
\]となるので、さらに部分積分を用いて ∇' を P の方に持っていくと、(7) は\[
\phi(x) = \frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \int
\frac{\rho(x') - \nabla' \cdot {\bf P}(x')}{r} d^3x'
\tag{9}
\]と変形できる。
これを見ると、$-\nabla'\cdot {\bf P}$ が分極電荷を表していることが分かる。

ここからは、以前に静電場の記事でやったのと同じ。\[
\nabla \cdot {\bf E} = -\nabla^2 \phi
\tag{10}
\]と\[
\nabla^2 \frac{1}{r} = -4\pi \delta^3 ({\bf r})
\tag{11}
\]を用いると(∇は x' には作用しないことに注意)、デルタ関数の効果で積分が外れて、\[
\nabla\cdot{\bf E}(x) = \frac{\rho(x) - \nabla \cdot {\bf P}(x)}{\varepsilon_0}
\tag{12}
\]となり、\[
\nabla \cdot [ \varepsilon_0 {\bf E}(x) + {\bf P}(x) ] = \rho(x)
\tag{13}
\]を得て、(6) の巨視的描像が導かれる。

というわけで、長年の謎が解けて、すっきりです!^^

こういう分極の説明、他書では見ないんですよね。
やっぱ、Jackson すごい!

参考文献
[1] J. D. Jackson "Classical Electrodynamics"
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>電磁気学 | コメント(2) | 2015/08/10 19:18

誘電分極 (1)

「細かいことが気になってしまう・・・僕の悪い癖!」とは、
「相棒」の杉下右京さんの口癖ですが、
右京さんが物理やったら大変なことになりそうですね。
物理は細かいこと気にしてたら、いつまでたっても先に進みませんから(笑)

さて、昔から、誘電分極がちゃんと理解できずにいます。
問題は、微視的な描像と巨視的な描像のつながりなのですが、
まずは、巨視的観点で、よく行われる説明をフォローしてみます。

dielectric-polarization-01.png

ある誘電体中(水色の部分)に、正の電荷 +q があると仮定する。
電荷からは、赤の矢印ような電場が発生する。

その電場によって、誘電体中の分子が分極して、
電荷の周りに-、反対側に+の帯電が起きる。
微視的に見れば、無数の小さな分子が分極しているのであるが、
途中の分は正負キャンセルするので、結果的に、
表面にだけ現れているかのように見える。

この分極電荷によって、与えられた電場とは逆方向に電場(青矢印)が生成される。
その結果、合成電場は、下図の緑のように元の電場より少し弱められたものになる。
(矢印の長さの書き方が悪かったですが、
赤と青をベクトル的に足すと、緑になるという意味)

dielectric-polarization-02.png

ここで、仮想的に、赤い点線のような閉曲面 S を考える。
この閉曲面 S を横切って、外側に出た分の電荷を q' とする。
この図では、周りにいる+を全部集めたものが q' である。

さらにここで、Sを横切って外に出た単位面積あたりの電荷をベクトル P で表し、
分極ベクトルと呼ぶことにする。
つまり、\[
q' = \int_S {\bf P} \cdot d{\bf S}
\tag{1}
\]となるように、P を決める。
任意の閉曲面でこうなるように決めるというべきでしょうか・・・
(このあたりから怪しくなってきます・・・汗)

そうすると、S の内部にある分極電荷は、
外部と合わせてゼロにならなければならないから、
当然、-q' となる。

さて、S に対して、ガウスの法則を適用する。
S の内部にある電荷の総量は、q - q' であるから、\[
\int_S {\bf E} \cdot d{\bf S} = \frac{q-q'}{\varepsilon_0}
\tag{2}
\]
ここでいう、E は合成された最終的な実際の電場(緑)である。

(1) を用いて、(2) を変形すると、\[
\int_S (\varepsilon_0 {\bf E} + {\bf P}) \cdot d{\bf S} = q
\tag{3}
\]
電束密度なる量\[
{\bf D} \equiv \varepsilon_0 {\bf E} + {\bf P}
\tag{4}
\]を定義すると、ガウスの法則は\[
\int_S {\bf D} \cdot d{\bf S} = q
\tag{5}
\]と簡単に記述することができ、真空の場合の電束密度を\[
{\bf D} = \varepsilon_0 {\bf E}
\tag{6}
\]と決めれば、
誘電体の有無にかかわらず、誘電分極による分極電荷のことを一切考えずに、
実電荷のみでガウスの法則を扱うことが可能となる。


と、ここまでが巨視的描像による説明。

問題はここから。
いろいろな本によると、
この分極ベクトル P なるものが微視的には、双極子モーメント p の数密度 N を用いて、\[
{\bf P} = N {\bf p}
\tag{7}
\]と表されるようです。
ここでいう双極子モーメント p とは、
単純に点電荷のモデルで言うと、正負の点電荷 -q と q が距離 x を隔てて存在する場合、
-q から q へ向かうベクトルを x として、
\[
{\bf p} = q {\bf x}
\tag{8}
\]もっと一般には、電荷密度で表すことになるのですが、
今回は単純な点電荷モデルで考えます。

この微視的な表現と巨視的な表現が同じものを表している
ということがどうにも釈然としないのです。

疑問が解決したわけではないので、次回記事があるかどうか分かりませんが、
一応、タイトルは (1) にしておきます(笑)
物理>電磁気学 | コメント(6) | 2015/07/22 07:52

自由電磁場のハミルトニアン (2)

前記事で、自由電磁場のハミルトニアン密度を得た。\[
\mathscr{H} = \frac{1}{2}c^2{\bf P}^2 + \frac{1}{2}(\nabla \times {\bf A})^2 - c{\bf P}\cdot \nabla \phi
\tag{1}
\]
一方で、Φは正準変数になりえないので、
ハミルトニアンから消去しなければならないという要請があった。

以下、ハミルトニアンにΦが現れないことを示す。\[
H = \int \mathscr{H} d^3r
\tag{2}
\]ここで、Φの項は、部分積分を用いて、\[
c \int {\bf P} \cdot \nabla \phi d^3r
= c \int_{S_\infty} {\bf P} \phi dS - c \int \phi \nabla \cdot {\bf P} d^3r
\tag{3}
\]となる。第1項の無限遠での表面積分は0となり、第2項は、\[
\nabla \cdot {\bf P} = -\frac{1}{c} \nabla \cdot {\bf E} = 0
\tag{4}
\]であるから、Φの項は消える。

うまくいくものですね・・・
今回は、たまたまうまくいったのか?
必ずうまくいくものなのか?
これがうまくいかない場合、どうすればよいのだろうか?
このあたりの一般論がよくわかりません。

結局、自由電磁場のハミルトニアンは、\[
H = \frac{1}{2} \int \left[ c^2 {\bf P}^2 + (\nabla \times {\bf A})^2 \right] d^3r
\tag{5}
\]となる。
電磁場 E、B で表すと、\[
H = \frac{1}{2} \left[ {\bf E}^2 + {\bf B}^2 \right]
\tag{6}
\]となり、予想通り、電磁場のエネルギーの表式と一致する。

ところで、電磁場の量子化について書かれているいろんな本を読みましたが、
ハミルトニアンに行き着くまでに、このように論理展開してくれる本は、
このシッフ[1] と サクライ[2] 以外にほとんどありませんでした。

まあ、読んだ本が場の量子論メインの本じゃないものが多かったのですが・・・
(ちゃんとした場の量子論の本だと、他でもきっとちゃんと書いてあるのでしょう)

ほとんどの本では、あっさり、エネルギーの表示 (6) からスタートして、
そのままハミルトニアンとみなしてしまうものばかり。
それだと、場の変数として何を選べばよいのかがわからないんですよね。

もちろん、ハミルトン形式は本来、ラグランジュ形式を経由する必要はないのですが、
それにしても、最低限、ハミルトンの運動方程式がちゃんとマックスウェル方程式に
なってることを確認する必要はありますよね。

いずれにせよ、このシッフ[1] は非常にとっつきにくいですが、
名著と言われるだけあって、噛めば噛むほど味が出るスルメのような教科書ですね(笑)


参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
[2] J. J. Sakurai "Advanced Quantum Mechanics"
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2015/01/05 22:56

自由電磁場のハミルトニアン (1)

ラグランジアンが分かったので、続いて、ハミルトニアンを導きます。

前記事により、ラグランジアン密度は\[
\mathscr{L} = \frac{1}{2} \left[
\left( \nabla \phi + \frac{\dot{\bf A}}{c} \right)^2
- (\nabla \times {\bf A} )^2 \right]
\tag{1}
\]
A に正準共役な運動量は\[
{\bf P} = \left(
\frac{\partial \mathscr{L}}{\partial \dot{A_x}},
\frac{\partial \mathscr{L}}{\partial \dot{A_y}},
\frac{\partial \mathscr{L}}{\partial \dot{A_z}}
\right)
\tag{2}
\]であり、これらを計算すると、\[
{\bf P} = \frac{1}{c} \left( \nabla \phi + \frac{\dot{\bf A}}{c} \right)
\tag{3}
\]となる。

一方、ラグランジアン密度 (1) は $\dot{\phi}$ を含まないから、
Φに正準共役な運動量は恒等的に0となり、正準変数として使えない。
非相対論的シュレディンガー方程式の量子化をした時と同様、
Φは、ハミルトニアンから消去しなければならない。

このあたりはよく理解できていません。
一般に、正準運動量が恒等的に0になった場合に、
必ず、ハミルトニアンから消去できるのか?
それとも、何らかの方法を見つけて、消去しなければならないのか?
今後の宿題にしておいて、先に進みます。

ラグランジアン密度からハミルトニアン密度を導く手続きを思い出しておく。\[
\mathscr{H} = {\bf P} \cdot \dot{\bf A} - \mathscr{L}
\tag{4}
\]
(1), (3) を用いて、実際に計算していく。(3) より\[
\dot{\bf A} = c( c{\bf P} - \nabla \phi)
\tag{5}
\]となることを用いて、$\dot{\bf A}$ を消去して、ハミルトニアン密度は、\[
\mathscr{H} = \frac{1}{2}c^2{\bf P}^2 + \frac{1}{2}(\nabla \times {\bf A})^2 - c{\bf P}\cdot \nabla \phi
\tag{6}
\]となる。
これから、ハミルトンの運動方程式を導くことができる。
たとえば、正準変数 $(A_x, P_x)$ の組に関しては、\[
\dot{A_x} = \frac{\delta H}{\delta P_x} \\
\dot{P_x} = - \frac{\delta H}{\delta A_x}
\tag{7}
\] となる(y, z 成分についても同様)。
H はハミルトニアン密度ではなく、ハミルトニアンそのもの。\[
H = \int \mathscr{H} d^3r
\tag{8}
\]汎関数微分については、ハミルトニアン密度を用いて、\[
\frac{\delta H}{\delta \psi}
= \frac{\partial \mathscr{H}}{\partial \psi}
- \sum_{x,y,z} \frac{\partial}{\partial x} \frac{\partial \mathscr{H}}{\partial(\partial_x \psi)}
\tag{9}
\]のように計算する。実際に (7) の計算を行ってみると、第一式は、\[
\dot{\bf A} = c^2 {\bf P} - c\nabla\phi
\tag{10}
\]これより、 (3) と同じ ${\bf P}$ と $\dot{\bf A}$ の関係式が得られる。

このことはきっと、通常の力学におけるハミルトニアン
$H = p^2/2m + V(x)$ から
運動方程式の一つ $\dot{x} = \partial H/\partial p$ を解いて、
$p = m\dot{x}$ という p と $\dot{x}$ の関係式が得られるのと同じ事情。

第二式については、前記事の途中経過を再利用して計算すると、\[
\dot{\bf P} = -\nabla \times \nabla \times {\bf A}
\tag{11}
\]となる。

(10)、すなわち (3) から\[
{\bf P} = \frac{1}{c} \left(
\nabla\phi + \frac{\dot{\bf A}}{c} \right)
= -\frac{\bf E}{c}
\tag{12}
\]また、${\bf B} = \nabla \times {\bf A}$ より、(11) はマックスウェル方程式の一つ\[
\nabla \times {\bf B} - \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = 0
\tag{13}
\]に帰着する。

残りのマックスウェルのうち2つは、電磁ポテンシャルの定義から自動的に成立するので、
導かれていないマックスウェル方程式は、\[
\nabla\cdot {\bf E} = 0
\tag{14}
\]のみ。
ラグランジュ形式では導かれたのに、ハミルトン形式では導かれないのは、
たぶん、Φが正準変数になりえなかったからだと思う。

実はこのことは問題ないらしい。
というのは、(13) の発散を取ると、\[
\frac{\partial}{\partial t} (\nabla \cdot {\bf E}) = 0
\tag{15}
\]となる。初期条件として、(14) を満たす解のみを扱うことにすると、
常に (14) が成立することになるというわけである。

きっと、この話は、砂川 [3] に載っていたこの話のことですね!

今回の話は分かったような分からんような・・・
あんまりすっきりとはしませんが、とりあえず、先へ進みます。


参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
[2] J. J. Sakurai "Advanced Quantum Mechanics"
[3] 砂川重信「電磁気学」(岩波物理テキストシリーズ)
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2015/01/03 11:28

自由電磁場のラグランジアン (2)

あけましておめでとうございます。
昨年中は、ご訪問いただき、ありがとうございました。
本年もよろしくお願いします。

今年は特に、抱負とか書きません(笑)

いろいろ、勉強したい方向性はたくさんあるのですが、
やりたいことをやれるだけ、マイペースでやってみるだけ
(仕事を除いて・・・仕事はそうはいきませんから・・・笑)

というわけで、さっそく本題に。

自由な電磁場のラグランジアン密度は以下で与えられる。\[
\mathscr{L} = \frac{1}{2} ( {\bf E}^2 - {\bf B}^2 )
\tag{1}
\]
いきなり、天下りだが(汗)、変分原理によるEL方程式が
マックスウェル方程式に帰着される
ことを確認すればよい。

ここで、場の変数は、E と B ではなく、A と Φ である。
(1) の具体的な形は、\[
\mathscr{L} = \frac{1}{2} \left[
\left( \nabla \phi + \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf A}}{\partial t} \right)^2
- (\nabla \times {\bf A} )^2
\right]
\tag{2}
\]となる。
$A_x$, $A_y$, $A_z$, $\phi$ の4つの場の変数に対して、
変分を考えた場合のEL方程式がマックスウェル方程式になることを確認する。

ここで、一般の場の場合のEL方程式の作り方を思い出しておく。
詳細はこちらを参照。\[
\frac{\partial \mathscr{L}}{\partial \psi} - \sum_{x,y,z} \frac{\partial}{\partial x} \frac{\partial \mathscr{L}}{\partial (\partial\psi/\partial x)} - \frac{\partial}{\partial t} \frac{\partial \mathscr{L}}{\partial \dot{\psi}} = 0
\tag{3}
\]
まずは、$A_x$ を場の変数とした時の EL方程式を作ってみる。\[
\frac{\partial \mathscr{L}}{\partial A_x}
- \frac{\partial}{\partial x} \frac{\partial \mathscr{L}}{\partial (\partial_x A_x)}
- \frac{\partial}{\partial y} \frac{\partial \mathscr{L}}{\partial (\partial_y A_x)}
- \frac{\partial}{\partial z} \frac{\partial \mathscr{L}}{\partial (\partial_z A_x)}
- \frac{\partial}{\partial t} \frac{\partial \mathscr{L}}{\partial \dot{A_x}} = 0
\tag{4}
\]
(2) のラグランジアンの中の\[
\begin{array}{l}
(\nabla \times {\bf A})^2 \\
= (\partial_y A_z - \partial_z A_y)^2
+ (\partial_z A_x - \partial_x A_z)^2
+ (\partial_x A_y - \partial_y A_x)^2
\end{array}
\]に注意して計算すると、\[
- \frac{\partial}{\partial y}(\partial_x A_y - \partial_y A_x)
+ \frac{\partial}{\partial z}(\partial_z A_x - \partial_x A_z)
- \frac{1}{c} \frac{\partial}{\partial t} \left( \nabla \phi + \frac{1}{c}\dot{A_x} \right)
= 0
\]となり、\[
(\nabla \times {\bf B})_x - \frac{1}{c} \frac{\partial E_x}{\partial t} = 0
\tag{5}
\]となる。
$A_y$, $A_z$ についても同様に計算すると、\[
\nabla \times {\bf B} - \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = 0
\tag{6}
\]となり、マックスウェル方程式の一つ(前記事の (1.2) 式) が得られる。

あと、残りの場 Φ について、EL 方程式を計算してみる。\[
\frac{\partial \mathscr{L}}{\partial \phi}
- \frac{\partial}{\partial x} \frac{\partial \mathscr{L}}{\partial (\partial_x \phi)}
- \frac{\partial}{\partial y} \frac{\partial \mathscr{L}}{\partial (\partial_y \phi)}
- \frac{\partial}{\partial z} \frac{\partial \mathscr{L}}{\partial (\partial_z \phi)}
- \frac{\partial}{\partial t} \frac{\partial \mathscr{L}}{\partial \dot{\phi}} = 0
\tag{7}
\]ラグランジアン (2) について計算すると、\[
\partial_x \left(\partial_x \phi + \frac{1}{c}\dot{A_x} \right)
+ \partial_y \left(\partial_y \phi + \frac{1}{c}\dot{A_y} \right)
+ \partial_z \left(\partial_z \phi + \frac{1}{c}\dot{A_z} \right)
= 0
\]となり、\[
\partial_x E_x + \partial_y E_y + \partial_z E_z = 0
\tag{8}
\]となる。
こうして、マックスウェル方程式の一つ(前記事の (1.1)式)\[
\nabla \cdot {\bf E} = 0
\tag{9}
\]が得られることが確かめられた。

残りの2つのマックスウェル方程式(前記事の (1.3), (1.4) 式)は、
電磁ポテンシャルの定義から自動的に成立する。

というわけで、(1) ないし (2) で与えられたラグランジアンが
自由な電磁場を記述するラグランジアンであることが確認できた。


参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
[2] J. J. Sakurai "Advanced Quantum Mechanics"


物理>電磁気学 | コメント(0) | 2015/01/01 14:58
 | HOME | Next »

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。