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電磁ポテンシャルに対するマックスウェル方程式 (2)

前回記事で、電磁ポテンシャルに対するマックスウェル方程式を導きました。
今回は、ゲージ変換の自由度を使って、条件を加えて、式を簡単にしていきます。

まずは、前回得られた結果から。
\[
-\nabla^2\phi - k_3\frac{\partial}{\partial t}(\nabla\cdot{\bf A}) = 4\pi k_1\rho
\tag{1.1}
\]\[
\Box {\bf A} + \nabla \left( \nabla\cdot{\bf A} + \frac{\alpha}{c^2}\frac{\partial\phi}{\partial t} \right)
= 4\pi k_2\alpha {\bf j}
\tag{1.2}
\]

クーロンゲージ

以下の条件を課したものがクーロンゲージ
\[
\nabla \cdot {\bf A} = 0
\tag{2}
\]

マックスウェル方程式は、
\[
-\nabla^2\phi = 4\pi k_1\rho
\tag{3.1}
\]\[
\Box {\bf A} + \frac{\alpha}{c^2} \nabla \frac{\partial\phi}{\partial t}
= 4\pi k_2\alpha {\bf j}
\tag{3.2}
\]
となります。

式(3.1)から、φがクーロンの法則を満たしていることがわかります。


ローレンツゲージ

以下の条件を課したものがローレンツゲージ
\[
\nabla \cdot {\bf A} + \frac{\alpha}{c^2}\frac{\partial\phi}{\partial t} = 0
\tag{4}
\]

マックスウェル方程式は、
\[
\Box \phi = 4\pi k_1\rho
\tag{5.1}
\]\[
\Box {\bf A} = 4\pi k_2\alpha {\bf j}
\tag{5.2}
\]
となります。
ここで、$k_3 \alpha = 1$の関係式を利用しました。

こちらは、ローレンツ共変性を満たしますが、
それはこれから、相対論形式に書き改めていく過程で確認していきたいと思います。

これで、ようやく相対論的な4元形式に入る準備が整ったかなあ・・・
次回から、相対論的電磁気学に入りたいと思います。
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2013/10/15 18:21

電磁ポテンシャルに対するマックスウェル方程式 (1)

続いて、電磁ポテンシャルに対するマックスウェル方程式について。

電磁場に対するマックスウェル方程式は、こちらの記事の通り、
このようになります。
\[
\nabla \cdot {\bf E} = 4\pi k_1 \rho
\tag{1.1}
\]\[
\nabla \times {\bf B} - \frac{k_2\alpha}{k_1} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = 4\pi k_2\alpha {\bf j}
\tag{1.2}
\]\[
\nabla \cdot {\bf B} = 0
\tag{1.3}
\]\[
\nabla \times {\bf E} + k_3\frac{\partial {\bf B}}{\partial t} = 0
\tag{1.4}
\]

これを電磁場ではなく、電磁ポテンシャルに対する方程式に書き換える
というのが本日の目標!

電磁場の電磁ポテンシャルによる表現は、以下の通り。
\[
{\bf E} = -\nabla \phi- k_3\frac{\partial {\bf A}}{\partial t}
\tag{2.1}
\]\[
{\bf B} = \nabla \times {\bf A}
\tag{2.2}
\]

上記の記事での導出から明らかなように、
電磁ポテンシャルで表現された電磁場を用いると、
マックスウェル方程式の下の2式 (1.3) (1.4) は自動的に満足されます。

そこで、上の2式 (1.1) (1.2) だけを考えて、
(2.1)、(2.2)を代入すると、
電磁ポテンシャルに対するマックスウェル方程式が得られます。

\[
-\nabla^2\phi - k_3\frac{\partial}{\partial t}(\nabla\cdot{\bf A}) = 4\pi k_1\rho
\tag{3.1}
\]\[
\Box {\bf A} + \nabla \left( \nabla\cdot{\bf A} + \frac{\alpha}{c^2}\frac{\partial\phi}{\partial t} \right)
= 4\pi k_2\alpha {\bf j}
\tag{3.2}
\]

ここで、ベクトル解析の公式
\[
\nabla\times\nabla\times{\bf A} = \nabla(\nabla\cdot{\bf A}) - \nabla^2{\bf A}
\]
と $k_1 = c^2 k_2$の関係を使いました。

$\Box$は、ダランベール演算子で、
\[
\Box \equiv \frac{1}{c^2}\frac{\partial^2}{\partial t^2} - \nabla^2
\]
と定義されます。
逆符号で定義される場合がありますが(過去記事では逆符号にしていたこともあったかも・・・)
ミンコフスキー計量の符号との対応を考えて、これからはこの符号で定義したいと思います。

次回は、クーロンゲージとローレンツゲージに対して、
マックスウェル方程式を記述します。
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2013/10/11 13:33

ゲージ変換

単位系に依存しないマックスウェル方程式が記述できましたので、
今後、相対論的な4元形式(ローレンツ共変形)に書き換えていこうと思うのですが、
その前に、いくつか書き忘れていたことを。

まずは、ゲージ変換について。

電磁場は、電磁ポテンシャルを用いて、以下のように表せました。
\[
{\bf E} = -\nabla \phi- k_3\frac{\partial {\bf A}}{\partial t}
\tag{1.1}
\]\[
{\bf B} = \nabla \times {\bf A}
\tag{1.2}
\]

それでは、
ある電磁場を与えると、電磁ポテンシャルは一意に決まるのでしょうか?
答えは、Noです!

電磁場を変えないようにして、ポテンシャルだけを変える変換が存在します。
それがゲージ変換

まず、磁場の方の式 (1.2) に着目すると、
ベクトル解析の恒等式
\[
\nabla \times \nabla \psi = 0
\tag{2}
\]
を考えれば、ベクトルポテンシャル A に任意の関数χの勾配 ∇χ を加えても、
磁場は変化しません。

つまり、
\[
{\bf A}' = {\bf A} + \nabla \chi
\tag{3}
\]
という変換が許されます。

ところが、電場の式 (1.1) にも A は含まれているから、
電場の方が変化してしまっては困ります。
そこで、スカラーポテンシャル φ の方も同時に変換してしまって、
その変化を相殺してしまおうと考えます。
φをどのように変換すればよいでしょうか?

それを見るために、変換後のφをφ' と書くことにして、
変換後の電場を見てみます。
\[
{\bf E}' = -\nabla \phi' - k_3\frac{\partial {\bf A}'}{\partial t}
\tag{4}
\]

これに、(3)を代入して整理すると、
\[
{\bf E}' = -\nabla \left( \phi' + k_3\frac{\partial \chi}{\partial t} \right)
- k_3\frac{\partial {\bf A}}{\partial t}
\]

この()の中がφに等しければ、
\[
{\bf E}' = -\nabla \phi- k_3\frac{\partial {\bf A}}{\partial t} = {\bf E}
\]
となり、電場も変化しないことになるので、結局、
\[
\phi' + k_3\frac{\partial \chi}{\partial t} = \phi
\]
すなわち、求めるゲージ変換は、
\[
\phi' = \phi - k_3\frac{\partial \chi}{\partial t}
\tag{5}
\]

というわけで、φ と A 両方のゲージ変換をまとめておくと、
以下のようになります。
\[
\phi' = \phi - k_3\frac{\partial \chi}{\partial t}
\tag{6.1}
\]\[
{\bf A}' = {\bf A} + \nabla \chi
\tag{6.2}
\]

HL、CGSガウスの場合( $k_3 = 1/c$ )
\[
\phi' = \phi - \frac{1}{c}\frac{\partial \chi}{\partial t}
\tag{7.1}
\]\[
{\bf A}' = {\bf A} + \nabla \chi
\tag{7.2}
\]

SI(MKSA)の場合( $k_3 = 1$ )
\[
\phi' = \phi - \frac{\partial \chi}{\partial t}
\tag{8.1}
\]\[
{\bf A}' = {\bf A} + \nabla \chi
\tag{8.2}
\]
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物理>電磁気学 | コメント(0) | 2013/10/10 12:27

ヘヴィサイド・ローレンツの美しさ

いよいよ、お待ちかね。
ヘヴィサイド・ローレンツ単位系の美しさに酔いしれようではありませんか!?(笑)

\[
\nabla\cdot{\bf E} = \rho
\tag{1.1}
\]\[
\nabla\times{\bf B} - \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = \frac{\bf j}{c}
\tag{1.2}
\]\[
\nabla\cdot{\bf B} = 0
\tag{1.3}
\]\[
\nabla\times{\bf E} + \frac{1}{c} \frac{\partial{\bf B}}{\partial t} = 0
\tag{1.4}
\]
え?なんとも感じませんか?
それでは、とりあえず、色を変えてみましょう!
\[
\nabla\cdot{\bf E} = \rho
\tag{1.1}
\]
\[
\nabla\times{\bf B} - \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = \frac{\bf j}{c}
\tag{1.2}
\]
\[
\nabla\cdot{\bf B} = 0
\tag{1.3}
\]
\[
\nabla\times{\bf E} + \frac{1}{c} \frac{\partial{\bf B}}{\partial t} = 0
\tag{1.4}
\]

こうやって眺めると、赤いペアと青いペアが
E と B に関して、きれいに対称的になっているのが分かると思います。
特に左辺は、時間微分の項の符号を除いて、完全に対称になってますね。
それに対して、右辺はあんまりきれいじゃありません。

下の2つの式の右辺が0になっているのは、
単磁荷(モノポール)は存在しないとされているからです。

もし、単磁荷なるものが存在したとして、それを$\rho_m$とすると、
磁荷の流れである磁流なるものも存在することになり、それを${\bf j}_m$とすると、
マックスウェル方程式は以下のようになります。
\[
\nabla\cdot{\bf E} = \rho
\tag{2.1}
\]
\[
\nabla\times{\bf B} - \frac{1}{c} \frac{\partial {\bf E}}{\partial t} = \frac{\bf j}{c}
\tag{2.2}
\]
\[
\nabla\cdot{\bf B} = \rho_m
\tag{2.3}
\]
\[
\nabla\times{\bf E} + \frac{1}{c} \frac{\partial{\bf B}}{\partial t} = -\frac{{\bf j}_m}{c}
\tag{2.4}
\]


こうやってみると、いかがですか?
見事に対称的ですよね!

ただ、単磁荷が存在して、右辺が0でなくなると、
ベクトルポテンシャルが定義できなくなって、それはそれで困るので、
単磁荷はない方がいいのかもしれませんが、
難しいことは僕には分かりません(汗)

とにかく、このHL単位系の美しい式を見てはじめて、
マックスウェル方程式が理解しやすく感じました(笑)
MKSA単位系では、真空の誘電率やら透磁率などがごちゃごちゃ入ってきて、
こんなに美しくは書けないんですよね。

ところで、参考文献のJJサクライ[1]では、
なぜか(2.4)の方の右辺の jm についている 1/c が抜けているのですが、
なぜでしょう?
これがないと、連続の方程式が満たされない気がするのですが、
単なる誤植なんだろうか。
それとも、磁流の定義のしかたの違いなのかも。

参考文献
[1] J.J.Sakurai "Advanced Quantum Mechanics"
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2013/10/08 00:07

正準交換関係

前回の正準量子化で交換関係を実際に計算するために、
正準変数どうしの交換関係を使います。

質点系では、交換関係は
\[
[ q_i, p_j ] = i\hbar \delta_{ij}
\tag{1.1}
\]\[
[ q_i, q_j ] = [ p_i, p_j ] = 0
\tag{1.2}
\]
でした。

これとのアナロジーで、場の場合の交換関係は、
\[
[ \psi({\bf r}, t), \pi({\bf r}', t) ] = i\hbar \delta({\bf r}-{\bf r}')
\tag{2.1}
\]\[
[ \psi({\bf r}, t), \psi({\bf r}', t) ] = [ \pi({\bf r}, t), \pi({\bf r}', t) ] = 0
\tag{2.2}
\]
となる。
時刻 t は、同時刻で考える。

ということで、もともとのラグランジュ形式やハミルトン形式の運動方程式の形が
全く一緒なのだから、こうなることにそれほど違和感はないのですが、
数学的にどのように導けるのかは、よくわかりません。

ちなみに、シッフ[1]では、空間を離散的な細胞に分けて、
質点系の結果を使って、最後に細胞のサイズを無限小にして、
場に持っていくという方法で説明していますが、
もともと場と質点の対応が数学的にどうなっているのかわからないので、
あんまりすっきりとはしないんですよね・・・

質点系の方の交換関係(1)は、JJサクライ[2]によると、
運動量が無限小並進変換の生成子になっていることから、
並進演算子と運動量演算子を関連付けることによって、
自然に導出しています。

場の場合も同様の考え方で導けるのだろうか?
また、何かわかったら記事にしてみます。

というわけで、ようやく
以前の記事で述べた場の量子化の概観の説明が終わりました!
(ふーっ、長かった!)

次回からは、初めの応用例として、
非相対論的シュレディンガー方程式の量子化に入っていきます。


参考文献
[1] シッフ「量子力学」(下)
[2] J.J.Sakurai "Modern Quantum Mechanics"

ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>場の量子論 | コメント(0) | 2013/10/01 13:17
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