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調和振動子の固有状態の数値計算 (3)

調和振動子の固有状態の数値計算の続き。

予告した通り、無限遠を古典軌道の振幅($\sqrt{E}$)の2倍の点、
すなわち、 $x = 2\sqrt{E}$ のところに設定してみた。

x の刻みは h = 0.01。
偶関数の初期条件 $u(0) = 1$、$u'(0) = 0$ で、
各 E に対して、$x = 2 \sqrt{E}$ の時の u の値 $u_{\rm inf}$ を
4次ルンゲ・クッタで計算して、プロットしたものがこちら。

1DTISEHarmonicOscUinf01.png

E の刻みは、前回よりも細かくして、0.01 刻みにした。
E = 0.5 から 100 までおよそ 10000 個の値に対して計算しているが、
ノートパソコンで数十秒ほどで計算できてしまう(速いね!^^)

見てるウィンドウ |u|≦1 の中にデータ点がほとんど入ってないので、
ダメじゃんって思ったけど、もう少し細かく見てみることにする。
(ちなみに、E > 81 のところでは完全に発散してしまった)

まずは、E = 13 付近を拡大。

1DTISEHarmonicOscUinf02.png

計算したのは、0.01 刻みだが、グラフソフトが線形補間してくれる。
(E = 13.0000000 のところにデータ点がないのは、点を表示する設定を忘れてしまっただけ)

このグラフでゼロクロスしているところが固有値になる。
つまり、E = 13.00000012 が計算された固有値。

意外と、いい精度出てる!!!

真の理論値が E = 13 だから、
ΔE / E = 0.00000012 / 13 ≒ 10-8
8桁の精度が出てることになる。
こんな適当な計算で8桁も出るとはびっくり(笑)

次に、E = 61 の付近を見てみた。
1DTISEHarmonicOscUinf03.png

こちらは先ほどよりは精度が悪くなっているが、それでも7桁近く出ている。
これぐらいなら使えそう。

最後に、前回の無限遠を x = 5 に設定したケースで同じ部分を拡大して比較してみた。
1DTISEHarmonicOscUinf04.png
公平を期すために、こちらも E の刻みを 0.01 刻みで計算し直した。
2 √13 ≒ 7.2 なので、5 とそれほど変わらないけど、それでもだいぶ精度が違うようである。
(もっと E の大きいところで比較してみればよかったなあ・・・)

というわけで、線形補間すれば、結構な精度が出ることが分かった。

次は、線形補間を自動化して、固有値の近似値をすべて一気に計算できるように
プログラミングしてみようと思う。
数値計算>量子力学 | コメント(0) | 2015/01/20 22:35

電磁場の量子化 (2)

$P_x$ についても同様に量子論的な運動方程式を立てる。\[
i\hbar \dot{P_x} = [P_x, H]
\tag{1}
\]ハミルトニアンを再掲すると、\[
H = \frac{1}{2} \int \left[ c^2 {\bf P}^2 + (\nabla \times {\bf A})^2 \right] d^3r
\tag{2}
\]だから、\[
i\hbar \dot{P_x} = \frac{1}{2} \int [P_x, (\nabla' \times {\bf A'})^2 ] d^3r'
\tag{3}
\]今度は交換関係の計算がちょっとめんどくさそうだが、とりあえず、回転の部分を書き下す。
\[
\begin{array}{l} (\nabla \times {\bf A})^2 \\ = (\partial_y A_z - \partial_z A_y)^2 + (\partial_z A_x - \partial_x A_z)^2 + (\partial_x A_y - \partial_y A_x)^2 \end{array}
\tag{4}
\]
ここで、今回は $\partial_x$ や $A_x$ などがすべて演算子だから、
これを普通に展開しちゃって大丈夫か?

と悩んでしまったのですが、考えてみたら、
$A_x$ などは物理量の場としてのハイゼンベルク的な演算子で、
$\partial_x$ などは場の空間依存性に対して作用しているだけの演算子だから、
まったく意味が異なるんですね。

何を言ってるかというと、$(\partial_x A_y)(\partial_y A_x)$みたいな演算で、
一個目の偏微分が2個目の括弧まで作用したりしないのかと心配したわけなのですが、
そこは気にする必要はなさそう。
というわけで、上記の例は、$A_x$ と $A_y$ さえ可換であれば、2つの括弧は可換である。

以上を踏まえて・・・
$P_x$ と非可換なのは、$A_x$ だけだから、(4) のうち、関係する項は、\[
(\partial_z A_x)^2 \\ -2(\partial_z A_x)(\partial_x A_z)\\ (\partial_y A_x)^2\\ -2(\partial_y A_x)(\partial_x A_y)
\tag{5}
\]

一番目のものと $P_x$ の交換関係を考えると、\[
[P_x, (\partial'_z A'_x)^2] = (\partial'_z A'_x)[P_x, \partial'_z A'_x] + [P_x, \partial'_z A'_x](\partial'_z A'_x)
\tag{6}
\]そして、\[
[P_x, \partial'_z A'_x] = \partial'_z [P_x, A'_x] = -i\hbar \partial'_z \delta^3(r-r')
\tag{7}
\]

ここで、かなり持ち時間を消費してしまいましたが、
実はこの後の計算が分からなくて、ずっと悩んでました^^;
掲示板で質問して、ようやく理解できました。
というわけで、残り一手30秒以内で頑張ります(笑)

(7) を (6) に入れると、\[
[P_x, (\partial'_z A'_x)^2] = -2i\hbar (\partial'_z \delta^3(r-r')) (\partial'_z A'_x)
\tag{8}
\]同様に、\[
[P_x, (\partial'_y A'_x)^2] = -2i\hbar (\partial'_y \delta^3(r-r')) (\partial'_y A'_x)
\tag{9}
\]クロスタームの方は $A_x$ に関係ない因子を外に出すだけだから、\[
[P_x, -2(\partial'_z A'_x)(\partial'_x A'_z)] = 2i\hbar (\partial'_z \delta^3(r-r')) (\partial'_x A'_z)
\tag{10}
\]\[
[P_x, -2(\partial'_y A'_x)(\partial'_x A'_y)] = 2i\hbar (\partial'_y \delta^3(r-r')) (\partial'_x A'_y)
\tag{11}
\]
これらを全部足し合わせると、\[
[P_x, (\nabla' \times {\bf A}')^2]
= 2i\hbar \left[ (\nabla' \delta^3) \cdot (\partial'_x {\bf A}') - (\nabla' \delta^3) \cdot (\nabla' A'_x) \right]
\tag{12}
\]とまとめることができる。

ここからどうすればよいのか分からなかったのですが、
部分積分(グリーンの定理)を使うんですね。

たとえば、第一項については、\[
(\nabla' \delta^3) (\partial'_x {\bf A}')
= \nabla' \cdot (\delta^3 \partial'_x {\bf A}' ) - \delta^3 (\nabla' \cdot \partial'_x {\bf A}')
\tag{13}
\]を用いて、さらにこの右辺第一項は積分するとガウスの定理より表面積分に変わる。
デルタ関数は無限遠でゼロであるから表面積分は消えて、
結局、(12) の第一項の空間積分は、\[
-2i\hbar \int \delta^3 (\nabla' \cdot \partial'_x {\bf A}') d^3r'
\tag{14}
\]となり、\[
-2i\hbar \nabla \cdot \partial_x {\bf A}
\tag{15}
\]となる。さらに、微分を入れ替えて、\[
-2i\hbar \partial_x (\nabla \cdot {\bf A})
\tag{16}
\]
第二項についても、全く同様に積分を行うと、\[
2i\hbar \nabla^2 A_x
\tag{17}
\]となる。これらを (12) に代入して、ベクトル解析の公式\[
\nabla \times \nabla \times {\bf A} = \nabla (\nabla \cdot {\bf A}) - \nabla^2 {\bf A}
\tag{18}
\]を用いると、(3) の運動方程式は、\[
\dot{\bf P} = - \nabla \times \nabla \times {\bf A}
\tag{19}
\]となり、マックスウェル方程式のもう一つの式に一致する。

というわけで、
ハミルトニアンから出発して、古典論的な運動方程式と量子論的な運動方程式の
いずれからも、マックスウェル方程式が導かれる
ことが分かった。

参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
[2] 井上 健 監修、三枝 寿勝・瀬藤 憲昭 著 「量子力学演習(シッフの問題解説)」
電磁場の量子化 | コメント(0) | 2015/01/07 00:17

電磁場の量子化 (1)

ついに、本丸の電磁場の量子化に突入でございます!

シッフ[1] を先読みしたのですが、ここからがかなり険しい道になりそう(汗)

とりあえず、やる宣言です!!!

これからも電荷・電流のない自由電磁場を仮定する。

まずは、場の(正準)量子化の基本的手続きを思い出しておく。

場の変数 $\psi_s$ (s は場の変数が複数あった時の添字)と、
その正準共役な運動量 $\pi_s$ があったとすると、
それに以下の正準交換関係を適用する。\[
[ \psi_s (r,t), \pi_{s'} (r',t) ] = i\hbar \delta_{ss'} \delta^3(r-r')
\tag{1.1}
\]\[
[ \psi_s (r,t), \psi_{s'} (r',t) ] = [\pi_s (r,t), \pi_{s'}(r',t) ] = 0
\tag{1.2}
\]
場は、それ自身の共役なものとだけ非可換であって、
それ以外はすべて可換。
粒子系において、$x$ と $p_x$、 $y$ と $p_y$ などだけが非可換で
それ以外はすべて可換というのと同じなので、分かりやすい。

今回は、場の変数としては $A_x$, $A_y$, $A_z$ の3つ。
$A_x$ と $P_x$, $A_y$ と $P_y$, $A_z$ と $P_z$ のみが非可換で、
それ以外はすべて可換ということになる。

Φは場の変数として使えないので、 $\phi = 0$ となるようにゲージを選んでおく。
自由電磁場の場合は、一般性を失わずに、$\phi = 0$ とできることは
以前に確認した(こちらの記事こちらの記事を参照)

交換関係は、\[
[ A_x, P'_x ] = [ A_y, P'_y ] = [ A_z, P'_z ] = i\hbar \delta^3 (r-r')
\tag{2}
\]ここで、$A_x = A_x(r,t)$、$P'_x = P_x(r',t)$ などと略記した。
これ以外の関係はすべて可換。

$A_x$ に対して、量子論的な運動方程式を立てると、\[
i\hbar \dot{A_x} = [ A_x, H ]
\tag{3}
\]
前記事で得たハミルトニアンの具体的な表式\[
H = \frac{1}{2} \int \left[ c^2 {\bf P}^2 + (\nabla \times {\bf A})^2 \right] d^3r
\tag{4}
\]を用いて、(3) の計算を実行すると、\[
i\hbar \dot{A_x} = \frac{c^2}{2} \int [A_x, {P'_x}^2 ] d^3r'
\tag{5}
\]となる。積分の中にある交換関係は、\[
[A_x, {P'_x}^2 ] = P'_x [A_x, P'_x] + [A_x, P'_x] P'_x = 2i\hbar P'_x \delta^3(r-r')
\tag{6}
\]と計算できて、結局、(5) は\[
\dot{A_x} = c^2 P_x
\tag{7}
\]となる。他の成分も同様で、\[
\dot{\bf A} = c^2 {\bf P}
\tag{8}
\]となり、古典論で得られた式(前記事の (10) )\[
\dot{\bf A} = c^2 {\bf P} - c\nabla\phi
\tag{9}
\]で $\phi = 0$ としたものに一致する。

次に、$P_x$ についても同様にやればよいのですが、
どうやら結構、面倒らしいので、次の記事にします。


参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
電磁場の量子化 | コメント(0) | 2015/01/05 23:47

自由電磁場のハミルトニアン (2)

前記事で、自由電磁場のハミルトニアン密度を得た。\[
\mathscr{H} = \frac{1}{2}c^2{\bf P}^2 + \frac{1}{2}(\nabla \times {\bf A})^2 - c{\bf P}\cdot \nabla \phi
\tag{1}
\]
一方で、Φは正準変数になりえないので、
ハミルトニアンから消去しなければならないという要請があった。

以下、ハミルトニアンにΦが現れないことを示す。\[
H = \int \mathscr{H} d^3r
\tag{2}
\]ここで、Φの項は、部分積分を用いて、\[
c \int {\bf P} \cdot \nabla \phi d^3r
= c \int_{S_\infty} {\bf P} \phi dS - c \int \phi \nabla \cdot {\bf P} d^3r
\tag{3}
\]となる。第1項の無限遠での表面積分は0となり、第2項は、\[
\nabla \cdot {\bf P} = -\frac{1}{c} \nabla \cdot {\bf E} = 0
\tag{4}
\]であるから、Φの項は消える。

うまくいくものですね・・・
今回は、たまたまうまくいったのか?
必ずうまくいくものなのか?
これがうまくいかない場合、どうすればよいのだろうか?
このあたりの一般論がよくわかりません。

結局、自由電磁場のハミルトニアンは、\[
H = \frac{1}{2} \int \left[ c^2 {\bf P}^2 + (\nabla \times {\bf A})^2 \right] d^3r
\tag{5}
\]となる。
電磁場 E、B で表すと、\[
H = \frac{1}{2} \left[ {\bf E}^2 + {\bf B}^2 \right]
\tag{6}
\]となり、予想通り、電磁場のエネルギーの表式と一致する。

ところで、電磁場の量子化について書かれているいろんな本を読みましたが、
ハミルトニアンに行き着くまでに、このように論理展開してくれる本は、
このシッフ[1] と サクライ[2] 以外にほとんどありませんでした。

まあ、読んだ本が場の量子論メインの本じゃないものが多かったのですが・・・
(ちゃんとした場の量子論の本だと、他でもきっとちゃんと書いてあるのでしょう)

ほとんどの本では、あっさり、エネルギーの表示 (6) からスタートして、
そのままハミルトニアンとみなしてしまうものばかり。
それだと、場の変数として何を選べばよいのかがわからないんですよね。

もちろん、ハミルトン形式は本来、ラグランジュ形式を経由する必要はないのですが、
それにしても、最低限、ハミルトンの運動方程式がちゃんとマックスウェル方程式に
なってることを確認する必要はありますよね。

いずれにせよ、このシッフ[1] は非常にとっつきにくいですが、
名著と言われるだけあって、噛めば噛むほど味が出るスルメのような教科書ですね(笑)


参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
[2] J. J. Sakurai "Advanced Quantum Mechanics"
物理>電磁気学 | コメント(0) | 2015/01/05 22:56

「宇宙は何でできているのか」(村山 斉)

以前言っていたこの本をようやく読み終えました!

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東大数物連携宇宙研究機構(IPMU)の村山先生による読み物系の本。

数式も出てこないし、そんなに読みにくい本ではないのですが、
こんなに時間がかかったのは、単に読みかけで放置していただけです^^;

素粒子のクォークが出てくるあたり(後半)から
さすがに理解はできなくなりましたが、
標準模型からさらに現在の未解決事項まで、
さらっと概観的な知識を得るのに役立ちました。

なんとか分かりやすくしようと、いろいろなたとえを駆使して下さるので、
非常に取っつきやすい。
まあ、内容が高度なので、それでも雰囲気しか分かりませんけどね(笑)

日頃、あんまりこういう最先端物理の読み物を読まないので、
知らなかったこともたくさんありました。

宇宙が加速膨張していることが分かったのがつい10年ほど前のことで、
暗黒物質や暗黒エネルギーというのも
まだまったくその正体が分かってないんですね。

「弱い力」は、右巻きと左巻きのスピンに対する対称性が崩れているそうです。
左右の対称性がない現象があるとは知りませんでした。
(確かに、他の本でも、「弱い力」は特に直感的には不可解なふるまいをすると書かれていたような・・・)
「CP対称性」という言葉はよく聞きましたが、これに関する話だったんですね。

このあたりも勉強して、理解できるようになりたいものです。

実はもう一冊、義父から村山先生の本を借りているので、
それも読んでみたいと思います。
主に、ニュートリノに関するもののようです。

それから、同じく IPMUの研究員でいらっしゃる大栗先生の本は分かりやすいと
定評があるので、いつか読んでみたいですね。
物理>雑感 | コメント(0) | 2015/01/05 00:16
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