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グラフェンのバンド構造 (2)

K点(ディラック点)付近での群速度を求めてみます。
解析式を微分しても求まるかもしれませんが、面倒なので、
前回のグラフから求めます。

こちらがK点付近を拡大したグラフ。
graphene-band-vg.png

横軸は前回は kx で書いたが、
今回は、Γ点からK点に至る直線上の k の値でプロットしている。

傾きをフィッティングで求めると、\[
\frac{dE}{dk} = 4.5 ({\rm eV} \cdot a)
\]
変な単位だが、C-Cの原子間距離 a = 1.42Å を長さの単位量としている。
これを eV・m に変換すると、\[
\frac{dE}{dk} = 4.5 \times 1.42 \times 10^{-10} = 6.4 \times 10^{-10} ({\rm eV \cdot m})
\]
群速度を求めるには、\[
v_g = \frac{d\omega}{dk} = \frac{1}{\hbar} \frac{dE}{dk}
\tag{1}
\]を用いればよくて、$\hbar = 6.58 \times 10^{-16}$ (eV s) だから、\[
v_g = \frac{6.4 \times 10^{-10}}{6.58 \times 10^{-16}} \simeq 10^6 ({\rm m/s}) \simeq \frac{c}{300}
\]と計算できる。
確かに非常に高速であるということが分かりました。

ところで、通常のバンドは底の部分で、\[
E = \frac{p^2}{2m^*} = \frac{\hbar^2 k^2}{2m^*}
\tag{2}
\]のような放物線の形をしているため、
有効質量 m* を持つ古典粒子のように考えられる。

ところが、グラフェンのバンド構造は分散が線形になっており、
相対論的粒子\[
E = \sqrt{ {m^*}^2 c^4 + p^2 c^2}
\tag{3}
\]において、質量ゼロ $m^* = 0$ の場合の\[
E = pc = c\hbar k
\tag{4}
\]の状態として考えることができる。

参考文献
[1] A. J. Legett "Graphene: Electronic band structure and Dirac fermions"
http://web.physics.ucsb.edu/~phys123B/w2015/leggett-lecture.pdf
[2] J.- N. Fuchs, M. O. Goerbig, "Introduction to the Physical Properties of Graphene"
http://web.physics.ucsb.edu/~phys123B/w2015/pdf_CoursGraphene2008.pdf
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物理>物性・固体物理 | コメント(0) | 2015/02/25 18:10

グラフェンのバンド構造 (1)

グラフェン、面白いですね。
すっかりハマってしまいました(笑)

前の絵だと分かりにくかったので、別のソフト(Igor)でバンドを描画してみた。

理論式は、前回と違って、文献 [1] の通りに、
a を隣接原子との間隔 a = 1.42 Å としたもの\[
E^\pm = \gamma_0 \sqrt{
1 + 4\cos \frac{3k_x a}{2} \cos \frac{\sqrt{3} k_ya}{2} + 4\cos^2 \frac{\sqrt{3} k_ya}{2} }
\tag{1}
\]を用いて、a = 1 とし、γ0 = 3 (eV) とした。

このソフトだと、上下2つのバンドを同時に表示できないので、一つずつ。

伝導帯 (Conduction Band)
graphene-CB.png
価電子帯(Valence Band)
graphene-VB.png
針のようにとがってるところが、互いにくっついているディラック点と思われる。

2次元濃淡表示で見ると、
graphene-CB2D.png
graphene-VB2D.png

ちゃんと、逆格子が六角形の蜂の巣構造になってますね。
こんな式で、六角形の構造が出てくるのが不思議。
・・・というより、こんな簡単な式でバンドが計算できるのも不思議。
(もちろん、近似してるからではありますが・・・)

図中、b1, b2 が逆格子ベクトル。
六角形がちょうど、ブリルアンゾーンになっている。
六角形の頂点にあたるのが、K点とK'点らしい。

Γ点とK, K'を結ぶ線で切った断面をグラフにしてみた。
graphene-band-gamma-K.png

K点とK'点で2つのバンドがくっついていて、ディラックコーンを形成しているのが分かる。

ここでの傾きがキャリアの群速度を表していて、
とてつもなく速く、106 m/s (光速の1/300) にもなるらしいですね。
次回、計算してみようと思っています。

ところで、話が変わりますが、
[3] の解説資料は、グラフェンの光物性についての概略が
とても分かりやすくまとめられていて、すごく参考になりました。


数式はほとんど使わず、言葉だけで説明されていて、
グラフェンに限らない一般的な光物性に関する知識を得るのに
とても役立ちます。
おすすめです!

参考文献
[1] A. J. Legett "Graphene: Electronic band structure and Dirac fermions"
http://web.physics.ucsb.edu/~phys123B/w2015/leggett-lecture.pdf
[2] J.- N. Fuchs, M. O. Goerbig, "Introduction to the Physical Properties of Graphene"
http://web.physics.ucsb.edu/~phys123B/w2015/pdf_CoursGraphene2008.pdf
[3] 齋藤 理一郎 「グラフェンの光電子物性」
http://flex.phys.tohoku.ac.jp/~rsaito/Kaisetu/graphene12.pdf


ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>物性・固体物理 | コメント(2) | 2015/02/20 18:28

逆格子と双対基底

グラフェンの勉強をしていて、ふと気づいてしまいました。

「逆格子」って、数学でいうところの「双対基底」だったんですね!

双対基底というのは、以前にテンソルのところで散々やったやつ。

双対基底は、基底 ${\bf e}_i$ に対して、\[
{\bf e}_i \cdot {\bf e}^j = \delta_i^j
\tag{1}
\]となるような基底 ${\bf e}^j$。

一方、逆格子ベクトルは、格子のベクトル ${\bf a}_i$ に対して、\[
{\bf a}_i \cdot {\bf b}_j = 2\pi \delta_{ij}
\tag{2}
\]となるようなベクトルの組 ${\bf b}_j$ 。

2πの差があるだけで、同じではないですか!
なるほど・・・

そういえば、テンソルの勉強に使っていた洋書 [1] では、
双対基底のことを reciprocal basis と書いてありました。
(「双対基底」自体の訳語は、dual basis)
逆格子は、reciprocal lattice
その時点で気づくべきでしたね(汗)

ということは、逆格子空間は双対空間なわけですね。

逆格子空間というと、波数空間だから、フーリエ空間のイメージなので、
フーリエ空間は双対空間だったわけですか。
確かにそんな気がしますね(笑)

参考文献
[1] A. I. Borisenko, I. E. Tarapov, "Vector and Tensor Analysis with Applications"
[2] 花村栄一 「固体物理学」
物理>物性・固体物理 | コメント(0) | 2015/02/19 08:01

グラフェン

固体物理は(も?)あまり詳しくないのですが、
なぜか、グラフェンの勉強をしています(笑)

とりあえず、何も分かっていないものの・・・
論文 [1] に載っているπ結合バンド構造の近似式\[
E^\pm (k_x, k_y) = \pm \gamma_0
\sqrt{ 1 + 4\cos \frac{\sqrt{3}k_x a}{2} \cos \frac{k_y a}{2}
+ 4\cos^2 \frac{k_y a}{2} }
\tag{1}
\]を Maxima でプロットしてみた(Maxima は便利!)
graphene-band01.png
コマンドはこちら。
wxplot3d([-sqrt(1+4*cos(sqrt(3)*x/2)*cos(y/2) + 4*(cos(y/2))^2),
sqrt(1+4*cos(sqrt(3)*x/2)*cos(y/2) + 4*(cos(y/2))^2), [x,-5,5], [y,-5,5]])$


形だけが見たいので、γ0 や a は1にした。
横軸の x, y はもちろん kx, ky (逆格子空間)の意味で、縦軸は E。

よく見るバンド構造の絵になりましたね。
(たとえば、文献 [2] にあるような絵)

上下のバンドは途中、K点というところで、
完全にくっついているらしいのですが、
これではギャップがあるように見えますね。
描き方の問題でしょうか?

この理論式の導出は、 [3]のサイトに詳しく載っているみたいなので、
そのうち、勉強してみます。

あと、お手軽にグラフェンを作る方法として、
グラファイトからスコッチテープで一層を剥離する「スコッチテープ法」
呼ばれる方法があるのですが、作り方動画がアップされてました!
便利な世の中ですね!
今度、作ってみよ。。。(笑)



ついでに、CVDで作成する方法もアップされてるみたいです。



参考文献
[1] F. Bonaccorso, Z. Sun, T. Hasan, A. C. Ferrari, "Graphene photonics and optoelectronics," Nature Photonics 4, 611 (2010).
[2] 青木秀夫 講義資料 「ディラック電子」
http://cms.phys.s.u-tokyo.ac.jp/pdf/Aoki_SSP2010.pdf
[3] ときわ台学 「グラフェンシートの電子構造(計算)」
http://www.f-denshi.com/000okite/500metal/nanotube01.html
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>物性・固体物理 | コメント(0) | 2015/02/17 12:52

ネーターの定理 (2)

例1:並進対称性
デカルト座標系 x, y, z で考える。
ポテンシャル V が x によらないとすると(つまり、x 軸方向に力が働かない)、
ラグランジアンは\[
L = \frac{m}{2}(\dot{x}^2 + \dot{y}^2 + \dot{z}^2) - V(y,z)
\tag{1}
\]となり、x 軸方向の無限小並進変換\[
x' = x + \varepsilon \\
y' = y \\
z' = z
\tag{2}
\]に対して不変である。
このとき、$S_x = 1$、$S_y = S_z = 0$ であるから、ネーターの保存量は、\[
X = \frac{\partial L}{\partial \dot{x}} S_x = m\dot{x} = p_x
\tag{3}
\]となり、運動量の x 成分の保存則が導かれる。

例2:平面内の回転対称性
平面内の極座標 r, θで考える。
ポテンシャルが θ によらない(つまり中心力場)と仮定すると、
ラグランジアンは、\[
L = \frac{m}{2} (\dot{r}^2 + r^2 \dot{\theta}^2 ) - V(r)
\tag{4}
\]となり、無限小回転変換\[
r' = r\\
\theta' = \theta + \varepsilon
\tag{5}
\]に対して不変である。

$S_r = 0$、$S_\theta = 1$ だから、
ネーターの保存量は、\[
X = \frac{\partial L}{\partial \dot{\theta}} S_\theta = mr^2 \dot{\theta} = l
\tag{6}
\]となり、角運動量保存則が導かれる。

・・・と、ここまでは分かりやすいのですが、
時間も無限小変化させたバージョンのネーターの定理があって、
それが難しくて、理解できない。。。
でも、これが場の量子論には必要なようです。
(場の量子論は、基本的に4元形式で記述されるから・・・)

参考文献
[1] 大貫義郎 「解析力学」 (岩波物理テキストシリーズ)
物理>古典力学 | コメント(0) | 2015/02/10 23:48
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