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行列の階数と正則性

n 次正方行列 A に対して、以下は同値である。
(a) A は正則である。
(b) r(A) = n


(証明)
(a) ⇒ (b)
ある正則行列 P, Q を用いて、PAQ = F(r) とできる。
A は正則であるから、F(r) も正則であり、r(A) = n でなければならない。

(b) ⇒ (a)
r(A) = n であれば、F(r) = E (E は n 次単位行列)。
ある正則行列 P, Q を用いて、PAQ = E とできる。
よって、$A = P^{-1} Q^{-1}$ となり、A は正則である。
(証明終了)


任意の正則行列は、基本行列の積で表される。

(証明)
任意の正則行列 A に対して、上記より r(A) = n であるから、
ある基本行列の積 P, Q を用いて、 PAQ = E とできる。
よって、 $A = P^{-1} Q^{-1}$ と表すことができ、
$P^{-1}$、$Q^{-1}$ は基本行列の積であるから、題意は証明された。
(証明終了)


参考文献
[1] 斎藤正彦 「線型代数入門」(東大出版会)
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数学>線形代数 | コメント(0) | 2015/05/30 11:56

行列の階数

行列の階数(定義)

行列 A に対して、適当な左右基本変形を繰り返し施せば、\[
PAQ = F(r) \equiv \left[
\begin{array}{cc}
E_r & O \\ O & O
\end{array}
\right]
\tag{1}
\]と変形できる。このとき、r を行列 A の階数(rank)と呼び、
rank A または、r(A) と表記する。
ここで、$E_r$ は r 次単位行列、P と Q はそれぞれ左右の基本行列の積。

このように変形可能なことは、基本変形を繰り返して、
掃き出していけばよいだけなので、自明であるが、
気になるのは、階数の一意性
階数が well-defined であるためには、一意的でなければならない。

以下、変形の手順によらず、階数が一意的であることを示す。

(一意性の証明)
異なる基本変形を施して、F(r) と F(s) になったとして、r = s を示す。
ここで、r ≦ s を仮定しても、一般性を失わない。

基本変形は可逆なので、F(r) と F(s) は互いに基本変形で結ばれる。
すなわち、ある正則行列 P と Q を用いて、\[
PF(r)Q = F(s)
\tag{2}
\]とできる。

r 行 r 列で区分して、
\[
P = \left[
\begin{array}{cc}
P_{11} & P_{12} \\ P_{21} & P_{22}
\end{array}
\right]
\hspace{5em}
Q = \left[
\begin{array}{cc}
Q_{11} & Q_{12} \\ Q_{21} & Q_{22}
\end{array}
\right]
\tag{3}
\]と書くことにすると、\[
PF(r)Q = \left[
\begin{array}{cc}
P_{11} Q_{11} & P_{11} Q_{12} \\ P_{21} Q_{11} & P_{21} Q_{12}
\end{array}
\right]
\tag{4}
\]となるから、(2) より ( r ≦ s )\[
P_{11} Q_{11} = E_r \\
P_{11} Q_{12} = O \\
P_{21} Q_{11} = O
\tag{5}
\]となる。

(5) の第一式より、$P_{11}$、$Q_{11}$ は正則であるから(こちらの記事参照)、
第二式、第三式より、$Q_{12} = P_{21} = O$ が得られ、
(4) の区分行列における4つ目の成分は、$P_{21} Q_{12} = O$ となる。

これより、F(r) = F(s) すなわち、r = s が言える。
(証明終了)

参考文献
[1] 斎藤正彦 「線型代数入門」(東大出版会)
数学>線形代数 | コメント(0) | 2015/05/29 07:34

次元の一意性 (2)

前回、議論したように、次の定理を文献 [1] の方法で、線形空間の公理から示します。

定理
ある基底が n 個のベクトルから構成されるならば、
任意に選んだ n+1 個以上のベクトルは線形従属である。


まず、前段階として、以下の補題を示すことにする。

補題
有限集合 S が n 個のベクトルからなる極大線形独立系を持つならば、
S の任意の n+1 個以上のベクトルは線形従属である。


極大線形独立系とは、線形独立なベクトルの組で、
集合の任意の元がそれらの線形結合で表せるようなもの。
(たぶん、基底と同じだけど、全体の集合が線形空間でなくてもよい)

補題が定理と異なるのは、有限個の元を持つ集合だということ。
これにより、元の個数に関して数学的帰納法が使える。

(補題の証明)
S の元の個数 k に関する数学的帰納法を用いる。
k-1 で成立するとする。

極大線形独立系を $E = \{ e_1, \cdots, e_n \}$ として、
m 個の線形独立な S の元の集合 $F = \{f_1, \cdots, f_m \}$ を考える。
$F \subset E$ ならば、明らかに、m ≦ n 。

$F \subset E$ でないとすると、
E には含まれない F の元が存在し、それを $f_m$ とする。

F から $f_m$ を取り除いたものを $F' = \{ f_1, \cdots, f_{m-1} \}$ とし、
S から $f_m$ を取り除いたものを S' とすると、S' の元の個数は k-1 であるため、
帰納法の仮定により、S' については補題が成立。

E は S' の極大線形独立系でもあるから、
m-1 ≦ n すなわち、m ≦ n+1 である。

そこで、m ≠ n+1 を示せば、補題は示される。
m = n+1 と仮定して、矛盾を導くことにする。

この時、F' の元は n 個となるから、F' は S' の極大線形独立系である。
なぜなら、S' に対しては補題が成立しているので、
n+1 個のベクトルは必ず、線形従属である。
F' に含まれない S' の任意の元と F' のすべての元を合わせたものは
n+1 個となるので、線形従属である。
つまり、S' の任意の元は、F' の元の線形結合で表されることになるからである。

$E \subset S'$ であるから、E の元は、F' の元の線形結合で表される。
一方、E は S の極大線形独立系であるから、
$f_m \in S$ は E の元の線形結合で表され、その結果、F' の元の線形結合で表される。

このことは、$f_1, \cdots, f_m$ が線形従属であることを示し、矛盾である。
(証明終了)

次に、補題を用いて、定理を示す。

(定理の証明)
基底を $E = \langle e_1, \cdots, e_n \rangle$ として、
線形独立な m 個のベクトルの集合 $F= \{ f_1, \cdots, f_m \}$ を考える。

集合 $S = E \cup F$ を考えると、S は有限集合であるから、
補題が成立し、m ≦ n である。
(証明終了)


いやあ、トリッキーですよね!
一個一個の論理は理解できますが、
全体的には煙に巻かれた気にしかなりませんね・・・

線形独立関係の証明はどれもこういう煙に巻かれる感じのものが多いですよね・・・(^^:A


参考文献
[1] 斎藤正彦 「線型代数入門」(東大出版会)
数学>線形代数 | コメント(0) | 2015/05/27 07:04

次元の一意性 (1)

実は、解析だけでなく、線形代数も基礎から細々と復習しております。
といっても、全部細かく記事にしていくつもりはなくて、
気になったものだけポイント的に記事にしていこうかと。

基底を構成するベクトルの数を次元と呼ぶが、
次元がwell-definedであるためには、
基底を構成するベクトルの数が基底の選び方によらず、一意的でなければならない。

これを示すためには、以下が言えればよい。

定理
ある基底が n 個のベクトルから構成されるならば、
任意に選んだ n+1 個以上のベクトルは線型従属である。


実際、これが示されれば、
他に m 個のベクトルから成る基底が存在したとすると、
m 個は線形独立であるから、m ≦ n である。
逆に、m 個のベクトルから成る基底を基準に考えると、
元の基底の n 個は線形独立であるから、n ≦ m である。
結局、m = n でなければならない。

というわけで、上の定理を示せばよいことになる。

この定理は、自明のように思ってましたが、
考えてみると、そんなに自明でもないような気もします。

体 K 上の n 次数ベクトル空間 $K^n$ との同型性を使えば、
$K^n$ における連立方程式論を使って理解できます。
しかし、線形空間の公理だけから純粋に示した方がすっきりしますね。

まずは、愚直に示そうとして、
基底を $\langle e_1, \cdots, e_n \rangle$ として、
m 個のベクトル $a_1, \cdots, a_m$ を\[
a_1 = c_{11} e_1 + c_{12} e_2 + \cdots + c_{1n} e_n \\
\cdots \\
a_m = c_{m1} e_1 + c_{m2} e_2 + \cdots + c_{mn} e_n
\]などと展開してやろうとすると、
結局は、連立方程式論と同じになってしまうようですね(汗)

線形空間の公理から証明する方法が文献 [1] に載ってましたので、
フォローしてみたいと思います。
かなりトリッキーですが、なるほど・・・という感じです。

長くなってしまったので、証明自体は次回へ。


参考文献
[1] 斎藤正彦 「線型代数入門」(東大出版会)
数学>線形代数 | コメント(0) | 2015/05/26 07:00
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