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電磁場の量子化 (7)

下準備が長かったですが、ようやく佳境へ!

以前の記事で見たように、ここではクーロンゲージを仮定しているので、\[
\nabla\cdot {\bf A} = 0
\tag{1}
\]また、クーロン則(電荷なし)\[
\nabla\cdot{\bf P} = 0
\tag{2}
\]も自然に成立している。

そこで以下のような横波の平面波の基底を導入する。\[
{\bf u}_{k\lambda}(r) = L^{-3/2} {\bf \varepsilon}_{k\lambda} e^{i {\bf k}\cdot {\bf r}}
\tag{3}
\]ε(λ=1, 2) は2つの直交する偏光方向の単位ベクトル。
$\varepsilon_{k1}$, $\varepsilon_{k2}$, k が右手系をなすように取る。

また、周期的境界条件を仮定して、長さ L の箱で正規直交性を示すようにしておく。\[
\int {\bf u}_{k\lambda}^* \cdot {\bf u}_{k'\lambda'} d^3r = \delta_{kk'} \delta_{\lambda\lambda'}
\tag{4}
\]A および P を上記基底で展開する。

\[
{\bf A}(r,t) = \sum_{k\lambda}
[ q_{k\lambda}(t) {\bf u}_{k\lambda}(r) + q_{k\lambda}^\dagger(t) {\bf u}_{k\lambda}^*(r) ]
\tag{5.1}
\]\[
{\bf P}(r,t) = \sum_{k\lambda}
[ p_{k\lambda}(t) {\bf u}_{k\lambda}(r) + p_{k\lambda}^\dagger(t) {\bf u}_{k\lambda}^*(r) ]
\tag{5.2}
\]

$u_{k\lambda}^* = u_{-k\lambda}$であるから、k の和は k 空間の半分のみで行うこととして、
係数はA, P がエルミートになるように配慮している。

ここで、q と p の間の交換関係を以下のように決める。

\[
[q_{k\lambda}(t), p_{k'\lambda'}^\dagger(t)]
= i\hbar \delta_{kk'} \delta_{\lambda\lambda'}
\tag{6.1}
\]\[
[q_{k\lambda}^\dagger(t), p_{k'\lambda'}(t)]
= i\hbar \delta_{kk'} \delta_{\lambda\lambda'}
\tag{6.2}
\]


これ以外の組み合わせはすべて可換であるとする。
(6.2) は (6.1) のエルミート共役を取ると、自動的に成立。

このように決めると、以前に決めた A と P の交換関係

\[
[A_s, P'_{s'}] = i\hbar \delta_{ss'} \delta^3(r-r')
- \frac{i\hbar}{4\pi} \partial_{r_s} \partial_{r'_{s'}} \left( \frac{1}{|r-r'|} \right)
\tag{7}
\]

が導けることをこれから示していく。

明らかに、A 同士、 P 同士は可換。
A と P については、\[
[A_s, P'_{s'}] = \sum_{k\lambda} \sum_{k'\lambda'}
\left\{
[q_{k\lambda}, p_{k'\lambda'}^\dagger] u_{k\lambda,s} {u'}_{k'\lambda',s'}^*
+ [q_{k\lambda}^\dagger, p_{k',\lambda'}] u_{k\lambda,s}^* u'_{k'\lambda',s'}
\right\}
\tag{8}
\]P' や u' などのプライム記号は、座標 r' の関数であることを表す。
(6.1) と (6.2) を使うと、\[
[A_s, P'_{s'}] = i\hbar L^{-3} \sum_{k\lambda}
\varepsilon_{k\lambda,s} \varepsilon_{k\lambda,s'} \exp \{ i{\bf k} \cdot({\bf r-r'}) \}
\tag{9}
\]となる。
ただし、和は u と u* の項を合わせて、k 空間全体にわたって取るものとした。

便宜上、$\varepsilon_{k3} = {\bf k}/k$ を加えると、
λ=1,2,3 の ε は互いに直交するので、$(\varepsilon_{k1}, \varepsilon_{k2}, \varepsilon_{k3})$ は直交行列をなす。
これを転置したものも直交行列となるから、\[
\sum_{\lambda=1}^3 \varepsilon_{k\lambda,s} \varepsilon_{k\lambda,s'} = \delta_{ss'}
\tag{10}
\]となる。よって、λ=1, 2 に対する和は\[
\sum_{\lambda=1}^2 \varepsilon_{k\lambda,s} \varepsilon_{k\lambda,s'}
= \delta_{ss'} - \frac{k_s k_{s'}}{k^2}
\tag{11}
\]と表される。さらに、\[
k_s k_{s'} \exp\{i{\bf k}\cdot({\bf r-r'})\} = \partial_{r_s} \partial_{r'_{s'}} \exp\{i{\bf k}\cdot({\bf r-r'})\}
\tag{12}
\]および L → ∞ で\[
L^{-3} \sum_{k} \simeq (2\pi)^{-3} \int d^3k
\tag{13}
\]の関係を使って、(9)を計算すると、\[
[A_s, P'_{s'}] = i\hbar (2\pi)^{-3} \delta_{ss'} \int \exp\{ i{\bf k}\cdot({\bf r-r'}) \} d^3k \\
- i\hbar (2\pi)^{-3} \partial_{r_s} \partial_{r'_{s'}} \int \frac{1}{k^2} \exp\{ i{\bf k}\cdot({\bf r-r'}) \} d^3k
\tag{14}
\]
ここで、\[
(2\pi)^{-3} \int \exp\{ i{\bf k}\cdot({\bf r-r'}) \} d^3k = \delta^3({\bf r-r'})
\tag{15}
\]\[
(2\pi)^{-3} \int \frac{1}{k^2} \exp\{ i{\bf k}\cdot({\bf r-r'}) \} d^3k = \frac{1}{4\pi |{\bf r-r'}|}
\tag{16}
\]であるから、(7) の交換関係が得られる。

(15) は分かりますが、(16) はまだ確認していません。
後ほど、確認してみます。

参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
電磁場の量子化 | コメント(0) | 2015/10/14 19:20

電磁場の量子化 (6)

久しぶりに、電磁場の量子化の続き。

これまで、A と P を場の変数とみなして、
ハミルトニアンから正準量子化した運動方程式を導いて、
マックスウェル方程式に一致することを確認した。
そして、A と P の交換関係から、E と B の交換関係を導いた。

今度は、E と B を場の変数とみなして、
正準量子化した運動方程式を導いても、
やはりマックスウェル方程式を導くことができることを確認する。

E と B の交換関係

(1) 電場同士、磁場同士は可換。 $[E_x, E'_y] = [B_x, B'_y] = 0$ など。

(2) 電場と磁場の同成分同士は可換。 $[E_x, B'_x] = 0$ など。

(3) 電場と磁場の異なる成分同士は以下の交換関係。 \[
[E_x, B'_y] = ci\hbar \partial'_z \delta^3(r−r')
\tag{1}
\]他の成分は、サイクリックに添え字を替える。


ハミルトニアンは、

\[
H = \frac{1}{2} \int \left[ {\bf E}^2 + {\bf B}^2 \right] d^3r
\tag{2}
\]


これらの式から、量子化された運動方程式を導く。
たとえば、\[
i\hbar \dot{E_x} = [ E_x, H ]
= \frac{1}{2} \int \{ [E_x, {B'_y}^2] + [E_x, {B'_z}^2] \} d^3r'
\tag{3}
\]を計算する。まず、(1) を用いて、\[
[ E_x, {B'_y}^2] = 2ci\hbar B'_y \partial'_z \delta^3(r-r')
\]\[
[ E_x, {B'_z}^2] = -2ci\hbar B'_z \partial'_y \delta^3(r-r')
\] $B'_y$ や $B'_z$ とデルタ関数は交換できることを利用した。
さらに、部分積分を用いて、表面積分はゼロとすると、\[
[ E_x, {B'_y}^2] = -2ci\hbar \delta^3(r-r') \partial'_z B'_y
\]\[
[ E_x, {B'_z}^2] = 2ci\hbar \delta^3(r-r') \partial'_y B'_z
\]とすることができて、(3) の積分を行った結果は、\[
\dot{E_x} = c (\partial_y B_z - \partial_z B_y)
\tag{4}
\]となり、他の成分も同様であるから、マックスウェル方程式の一つ\[
\nabla \times {\bf B} = \frac{\dot{\bf E}}{c}
\tag{5}
\]が得られる。

同じように、、\[
i\hbar \dot{B_x} = [ B_x, H ]
= \frac{1}{2} \int \{ [B_x, {E'_y}^2] + [B_x, {E'_z}^2] \} d^3r'
\tag{6}
\]を計算すると、(3) と (E, B) が逆転しているだけだから、
符号が変わるだけで、マックスウェル方程式のもう一つ\[
\nabla \times {\bf E} = -\frac{\dot{\bf B}}{c}
\tag{7}
\]が得られる。

参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
電磁場の量子化 | コメント(0) | 2015/10/14 12:16

複素微分

テイラーの定理はそろそろ終わりにして、
初等関数の定義をしていくために、
複素関数の微分を考えていきます。

複素微分(定義)

複素数体 C の開集合 D で定義された複素数値関数 f は、
一点 $a \in D$ における導値\[
f'(a) = \lim_{h\neq 0, h\rightarrow 0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}
\tag{1}
\]が存在する時、複素微分可能であるという。
D の各点で複素微分可能である時、f は D で正則であるという。


基本的に、実関数を複素関数に拡張するには、
R2 を C と同一視して、R2 → R2 の関数と考えればよい。
R2 → R2 の場合の微分の定義は、\[
f(a+h) - f(a) = f'(a) h + o(|h|)
\tag{2}
\]であった。

しかし、R2 の場合は、f'(a) は 任意の 2x2 行列でよかったが、
複素の場合は、$f'(a) = \alpha + \beta i$ という形の2成分しか持ちえないため、
それによる制約を受けることになる。

複素数を $z = (x,y)^T$ として、$f'(a)z$ を R2 上の一次変換と考えると、\[
f'(a) z = (\alpha + \beta i)(x + yi) = (\alpha x - \beta y) + i(\beta x + \alpha y)
\tag{3}
\]より、一次変換の行列表現は\[
f'(a) = \left[
\begin{array}{cc}
\alpha & -\beta \\
\beta & \alpha
\end{array}
\right]
\tag{4}
\]という形で表される。
このような形で表される変換を複素一次変換と呼ぶ。

また、$r = \sqrt{\alpha^2 + \beta^2}$ と定義すると、行列は\[
f'(a) = r\left[
\begin{array}{cc}
\cos\theta & -\sin\theta \\
\sin\theta & \cos\theta
\end{array}
\right]
\tag{5}
\]と表せるから、複素一次変換は等角写像となる。

$f(z) = u(x,y) + iv(x,y)$ と書くことにすると、\[
f'(a) = \left[
\begin{array}{cc}
u_x & u_y \\
v_x & v_y
\end{array}
\right]
\tag{6}
\]となるから、\[
u_x = v_y \\
u_y = -v_x
\tag{7}
\]なる関係式として表現することもできる。
これをコーシー・リーマンの関係式と呼ぶ。

まとめると・・・
複素微分可能ならば、R2として微分可能であるだけでなく、
導値は、複素一次変換となり、コーシーリーマンの関係式を満たす。

逆に、R2として微分可能であり、かつ、
複素一次変換となっていれば、結局 (1) を満たすので、複素微分可能である。

同様に、R2として微分可能であり、かつ、
コーシー・リーマンの関係式を満たせば、複素微分可能である。

従って、以下が言える。

以下の3つの条件は同値である。
(a) 複素微分可能である。
(b) R2 として微分可能であり、コーシー・リーマンの関係式を満たす。
(c) R2 として微分可能であり、複素一次変換である。



和・差・積・商の微分公式はすべて R2 と同様に成立する。
(証明概略)
R2 と全く同じ。

合成関数の連鎖律も R2 と同様に成立する。
(証明概略)
それぞれの関数の微分において、コーシー・リーマンの関係式が成立すれば、
合成したものもコーシー・リーマンの関係式が成立することが
行列の積を用いて、簡単に示される。


参考文献
[1] 杉浦光夫「解析入門I」(東大出版会)
数学>解析 | コメント(0) | 2015/10/13 18:33

2変数のテイラーの定理 (2)

実際に、テイラー展開を求める練習をしておきたいので、
[1] に掲載されている練習問題を解いてみます。

以下の実関数の $x=y=0$ の周りでのテイラー展開を求めよ。\[
f(x,y) = \frac{1}{1-x-y+xy}
\tag{1}
\]


続きを読む
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
数学>解析 | コメント(0) | 2015/10/13 00:24

2変数のテイラーの定理 (1)

多変数のテイラーの定理は表現が分かりにくかったので、
2変数の場合に限定して書き下した表式を求めておきます。

2変数関数を $f(x,y)$ と書くことにして、
$f(x+h, y+l)$ の式を求めることにする。
Ck 級を仮定すると、
k 階までの偏微分の順序が可換になるから、
たとえば、$f_{xxy} = f_{xyx} = f_{yxx}$ などとなる。

その結果、m 次微分 $d^m f$ を考えると、
x について r 回、 y について m-r 回偏微分する項は $_mC_r$ 個あり、
それらがすべて等しくなるから、\[
(d^m f)_{(x,y)}(h, l) = \sum_{r=0}^m \frac{m!}{r! (m-r)!} \frac{\partial^m f}{\partial x^r \partial y^{m-r}}(x,y) h^r l^{m-r}
\tag{1}
\]と書ける。

この表現を使うと、2変数のテイラーの定理は以下のように書ける。

2変数のテイラーの定理

f(x,y) を $R^2$ の開集合 U 上で Ck 級 (k≧1) の実数値関数とする。
二点 (x, y), (x+h, y+l) を結ぶ線分 L が U に含まれるとき、
0 < θ < 1 となる実数 θ が存在して、\[
f(x+h, y+l) = \sum_{m=0}^{k-1} \sum_{r=0}^m \frac{1}{r! (m-r)!} \frac{\partial^m f}{\partial x^r \partial y^{m-r}}(x,y) h^r l^{m-r} \\
+ \sum_{r=0}^k \frac{1}{r! (k-r)!} \frac{\partial^k f}{\partial x^r \partial y^{k-r}}(x+\theta h, y+\theta l) h^r l^{m-r}
\tag{2}
\]となる。


二項定理を使うと、もう少し簡単な以下の表現に改めることができる。

\[f(x+h, y+l)
= \sum_{m=0}^{k-1} \frac{1}{m!} \left( h \frac{\partial}{\partial x} + l \frac{\partial}{\partial y} \right)^m f(x,y) \\
+ \frac{1}{k!} \left( h \frac{\partial}{\partial x} + l \frac{\partial}{\partial y} \right)^k f(x + \theta h, y + \theta l)
\tag{3}
\]


と言っても、結局、具体的に計算する時は(2) で計算するしかないようにも思うのですが、
まあ、(3) の方が覚えやすいです(笑)
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
数学>解析 | コメント(0) | 2015/10/09 12:38
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