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電磁場の量子化再論 (1)

これまで、シッフ [1] に基づいて、電磁場の量子化を見てきました。
実はまだ終わったわけではないのですが、
ここまでの道のりが長すぎて、頭の中を整理したくなったので、
サクライ [2] を参考にして、もう一度辿りたいと思います。

シッフ [1] は初めの前提から非常に丁寧に議論を進めてくれるので、
どういう手続きを行っているのかが分かりやすく、
すごく有用でした。
他にこういう本を僕は知りません。

しかし、その反面、長くなりすぎたため、
自分がどの段階にいるのかを見失いつつあります。

そこで、再度、サクライ [2] に基づいて、最短コースを歩んでみて、
見通しを深めたいと思っています。

まずは、前提として、電荷と電流のない自由電磁場($j_\mu = 0$)を考える。
適当なゲージ変換によって、横波条件を満たし、かつ
スカラーポテンシャルがゼロとなるようにできる。
 輻射ゲージ (1)輻射ゲージ(2)
\[
\nabla \cdot {\bf A} = 0
\tag{1}
\]\[
\phi = A_0 = 0
\tag{2}
\]満たすべきマックスウェル方程式は\[
\nabla^2 {\bf A} - \frac{1}{c^2} \frac{\partial^2 {\bf A}}{\partial t^2} = 0
\tag{3}
\]
電磁場を以下のようにフーリエ展開する。\[
{\bf A}({\bf x}, t) = V^{-1/2} \sum_{\bf k} \sum_{\alpha=1,2} \epsilon_{k\alpha}
\left[
c_{k\alpha}(t) e^{i{\bf k}\cdot{\bf x}}
+ c^*_{k\alpha}(t) e^{-i{\bf k}\cdot{\bf x}}
\right]
\tag{4}
\]
波数 k は、一辺 $L = V^{1/3}$ の箱において周期的境界条件を満たすとする
($k_x,k_y,k_z = 2n\pi/L$)
また、 A の実数性を考慮している。
$\epsilon_{k\alpha}$ はk ベクトルに対して、2種類の直交する偏光方向の単位ベクトルを表し、
$(\epsilon_{k,1}, \epsilon_{k,2}, {\bf k}/|{\bf k}|)$ はそれぞれ直交し、右手系をなすものとする。
これにより、横波条件 (1) も自動的に満たされている。

波動方程式 (3) を満たすことから、\[
c(t) = c(0) e^{-i\omega t}
\tag{5}
\]となる。ただし、$\omega = c|{\bf k}|$。

この表式を用いて、ハミルトニアン\[
H = \frac{1}{2} {\Large \int} ({\bf E}^2 + {\bf B}^2 ) d^3x
\tag{6}
\]を計算したい。

当初、サクライ [2] に基づき、(4) 式をそのまま代入して、
ベクトル解析の公式を駆使しながら、計算を進めていましたが、
あらかじめ、E と B を計算しておいてからやった方がやりやすいと思うので、
ここからしばらくは我流です。

電場 E と磁場 B を以下の式により計算する。\[
{\bf E} = -\frac{1}{c} \frac{\partial {\bf A}}{\partial t}
\tag{7.1}
\]\[
{\bf B} = \nabla \times {\bf A}
\tag{7.2}
\]
電場は、\[
{\bf E} = iV^{-1/2} \sum_{k\alpha} \epsilon |{\bf k}|
[c e^{i{\bf k \cdot x}} - c^* e^{-i{\bf k \cdot x}} ]
\tag{8}
\]となる。ここで、$\epsilon_{k\alpha}$ を $\epsilon$、$c_{k\alpha}(t)$ を c と略記した(光速の c ではないので、注意)

また、磁場は\[
{\bf B} = V^{-1/2} \sum_{k\alpha} \left[
c \nabla\times (\epsilon e^{i{\bf k\cdot x}}) + c^* \nabla\times (\epsilon e^{-i{\bf k\cdot x}})
\right]
\tag{9}
\]となり、\[
{\bf B} = iV^{-1/2} \sum_{k\alpha} \left[
c e^{i{\bf k\cdot x}} ({\bf k}\times \epsilon) - c^* e^{-i{\bf k\cdot x}} ({\bf k}\times\epsilon)
\right] \\
= iV^{-1/2} \sum_{k\alpha} ({\bf k}\times \epsilon) \left[
c e^{i{\bf k\cdot x}} - c^* e^{-i{\bf k\cdot x}}
\right]
\tag{10}
\]となる。

ここからの計算である考え違いをしていて、思いっきり長考してしまったのですが、
それについては後ほど述べることにして、とりあえず、修正後の流れで計算を続けます。

まず、電場の方の項 $\int {\bf E}^2 d^3x$ を計算していく。\[
{\bf E}^2 = -V^{-1} \sum_{k\alpha} \sum_{k'\alpha'} \epsilon \epsilon' |{\bf k}| |{\bf k}'|
[c e^{i{\bf k\cdot x}} - c^* e^{-i{\bf k\cdot x}} ][c' e^{i{\bf k' \cdot x}} - c'^* e^{-i{\bf k' \cdot x}} ]
\tag{11}
\]ここで、プライム記号がついているものは、$k' \alpha'$ における量を表すものとする。

2項式の積の部分のみを展開すると、\[
cc' e^{i{\bf (k+k')\cdot x}} + c^*c'^* e^{-i{\bf (k+k') \cdot x}} - cc'^* e^{i{\bf (k-k')\cdot x}} - c^*c' e^{-i{\bf (k-k')\cdot x}}
\tag{12}
\]となる。

フーリエ基底の部分は、周期的境界条件の仮定より\[
V^{-1} \int e^{i({\bf k}-{\bf k}')\cdot {\bf x}} d^3x = \delta_{\bf kk'}
\tag{13}
\]となることに注意して、(12)を空間積分(さらに、$V^{-1}$を乗じる)すると、\[
cc' \delta_{\bf k,-k'}
+ c^*c'^* \delta_{\bf k,-k'}
- cc'^* \delta_{\bf kk'}
- c^*c' \delta_{\bf kk'}
\tag{14}
\]となる。

この式がゼロにならないのは、${\bf k} = \pm {\bf k'}$ の時のみであり、
このとき、$\omega = \omega'$ であることに注意して、
(11)を空間積分すると、\[
\int {\bf E}^2 d^3x
= \sum_k \sum_{\alpha\alpha'} |{\bf k}|^2 \times \\
[
2 \epsilon_{k\alpha} \epsilon_{k\alpha'} c_{k\alpha}^* c_{k\alpha'}
- \epsilon_{k\alpha} \epsilon_{-k,\alpha'} c_{k\alpha} c_{-k,\alpha'}
- \epsilon_{k\alpha} \epsilon_{-k,\alpha'} c^*_{k\alpha} c^*_{-k,\alpha'}
]
\tag{15}
\]となる。

同様に、磁場の項を計算する。\[
{\bf B}^2 = -V^{-1} \sum_{k\alpha} \sum_{k'\alpha'} ({\bf k}\times \epsilon)({\bf k'}\times \epsilon')
[c e^{i{\bf k\cdot x}} - c^* e^{-i{\bf k\cdot x}} ][c' e^{i{\bf k' \cdot x}} - c'^* e^{-i{\bf k' \cdot x}} ]
\tag{16}
\]空間積分については、電場の場合と全く同じであるが、
偏光モードαに関する直交性が自明でないことに注意して、\[
\int {\bf B}^2 d^3x
= \sum_k \sum_{\alpha\alpha'} ({\bf k}\times \epsilon)({\bf k}\times \epsilon') [
c_k^* c'_k + c_k c'^*_k + c_k c'_{-k} + c^*_k c'^*_{-k}
]
\tag{17}
\]となる。プライム記号はα' に関するものであるという意味。

ここで、[] の中の符号が違っていることに注意。
これは、${\bf k'} = -{\bf k}$ の場合に、${\bf k'}\times\epsilon' = -{\bf k}\times\epsilon'$ から出てくる
マイナスによって、符号が反転したためである。

外積の部分については、公式を用いて、\[
({\bf k}\times\epsilon) ({\bf k}\times \epsilon')
= ({\bf k}\cdot{\bf k})(\epsilon\cdot\epsilon') - ({\bf k}\cdot\epsilon')(\epsilon\cdot{\bf k})
= |{\bf k}|^2 (\epsilon\cdot\epsilon')
\tag{18}
\]となり、偏光モードαに関して直交性を示すことが確かめられる。
ここで、$\epsilon\cdot{\bf k} = 0$ の直交性を用いた。

以上から、磁場の項は、\[
\int {\bf B}^2 d^3x
= \sum_k \sum_{\alpha\alpha'} |{\bf k}|^2 \times \\
[
2 \epsilon_{k\alpha} \epsilon_{k\alpha'} c_{k\alpha}^* c_{k\alpha'}
+ \epsilon_{k\alpha} \epsilon_{-k,\alpha'} c_{k\alpha} c_{-k,\alpha'}
+ \epsilon_{k\alpha} \epsilon_{-k,\alpha'} c^*_{k\alpha} c^*_{-k,\alpha'}
]
\tag{19}
\]となる。

最後に、(15) と (19) の結果を統合し、$\epsilon_{k\alpha}\cdot\epsilon_{k\alpha'} = \delta_{\alpha\alpha'}$ の直交性を用いると、
ハミルトニアンの最終形

\[
H = \sum_{k\alpha} 2|{\bf k}|^2 c^*_{k\alpha} c_{k\alpha}
\tag{20}
\]

が得られる。

というわけで、ようやく、計算がうまくいきました・・・(汗)
たいして難しい計算じゃないはずなのに、思いっきりハマってしまいましたね^^;

どこでハマったかについては、いったん記事を分けて、
次の記事で書こうと思います。

参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
[2] J. J. Sakurai "Advanced Quantum Mechanics"
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電磁場の量子化 | コメント(0) | 2016/01/11 22:13

ニュートリノ

遅くなりましたが、新年おめでとうございます。
今年もよろしくお願いします^^

昨年はどちらかといえば、物理より数学メインでしたが、
このところ、また、物理熱が盛り返してきています(笑)

昨年、梶田先生がノーベル賞を受賞されたのがきっかけで、
最近、ニュートリノがちょっとしたマイブームです。

以前に読みかけていたニュートリノに関するこの本を
年末年始にかけて読みました。

4062577992宇宙になぜ我々が存在するのか (ブルーバックス)
村山 斉
講談社 2013-01-18

by G-Tools


村山先生の本は、以前にも別の本を読みましたが、
今回はニュートリノとヒッグス粒子に主な視点が置かれていて、
宇宙がどのようにできたかについて推測していきます。

宇宙とニュートリノがどう関係しているの?
と思ってたのですが、意外にも深い関係があるようですね。

宇宙の始まりの時期には、物質と反物質が対生成・対消滅を
繰り返していたわけですが、このままでは原理的に
常に同数の物質と反物質が存在するわけなので、
宇宙が冷えてきた頃には、最終的に全部対消滅でなくなってしまい、
何も残らないはずです。

ところが、現実はそうはなっていなくて、
今我々が宇宙に存在できているということは、
どこかのタイミングで物質の方が反物質よりほんの少しだけ多いという
アンバランスが生じなければなりません。
そのからくりがニュートリノにあるのではないかということらしいです。

ニュートリノはとても風変わりな粒子で、
左巻きのものしか発見されていないのだそうです。
そして、反ニュートリノは必ず右巻きになるそうです。

そのことは質量がないと思われていた根拠の一つとされていたようなのですが、
実際には、梶田先生(当時のトップは戸塚先生)たちが
質量があることを実験で確認したために、話が変わってきたそうです。

質量があると、光速では飛べないので、追い越して見ることが可能です。
左巻きニュートリノを追い越して見ると、右巻きに見えるはずなので、
これまで左巻きのニュートリノしか観測されていないということは、
ひょっとしたら、追い越して見た右巻きのものは実は
反ニュートリノになのではないかという仮説が立てられるそうです。

他の素粒子ではこういうことは起こりえないようなのですが、
ニュートリノに限って、同じものが粒子になったり、
反粒子になったりするということがあるのではないかと。
そうなると、物質と反物質のアンバランスを生むしくみに
なりうるということのようです。

ちゃんとは理解できませんが、面白いですね!

それから、梶田先生たちが実際に観測したのは、
μニュートリノがτニュートリノに変化するニュートリノ振動ですが、
どうしてこれが質量がある証拠になるのだろうかと
以前から思ってました。

厳密には難しい数式が出てくるんでしょうが、
村山先生の説明によると、
ニュートリノの種類(フレーバー)が変化するということは
時間を感じているということになる。
相対論によると、光速で運動している粒子は時間を感じえないから、
光速よりも遅い速度で飛んでいることになる。
ということは、質量があるということになる。

ということでした。
なるほど、これなら理解できます。

もう少しこういった話を深く理解したいなあと思い、
以前から読みたいと思っていた大栗先生の本を買って、読み始めました。

4344982932強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く (幻冬舎新書)
大栗 博司
幻冬舎 2013-01-30

by G-Tools


とても定評がある本です。
大栗先生はごまかしなしで説明するのがとてもお上手だと聞いていたのですが、
実際に初めの方だけ読んでみて、既にかなり引き込まれています。
この先を読むのが楽しみですね!
ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>雑感 | コメント(0) | 2016/01/10 12:25
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