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行列の正則性の条件

n次正方行列 A が正則であるとは、

AX = E かつ XA = E を満たす X が存在する

というのが定義ですが、

有限次元の場合は、
このうちのどちらかの条件が成立するだけで、正則になります。


どうやって証明するんだろう?と前から気になりつつも、
フォローするのが面倒で、理解してませんでしたが、
この機会にフォローしてみました。

岩堀本[1]と斎藤本[2]、両方で同じ方法による証明が載ってました。
ちなみに、佐武本[3]ではどうなってるかなと見てみたら、あっさりと、
\[
{\rm det}A \cdot {\rm det}X = {\rm det}E = 1
\]
より 
\[
{\rm det}A \neq 0
\]
となってました(笑)

あ、そっか!って感じですが、行列式を導入するところまで、
正則性の条件を緩めずに説明していくのはちょっと大変じゃないのかな?
と思ったりもしました。


というわけで、岩堀[1]と斎藤[2]に載っている証明を追っていきます。

仮定として、AX = E だけが成立しているとして、XA = E は未知とする。

数学的帰納法を用いることにして、
n = 1 の時は、スカラーだから、成立は自明。
n-1次では、成立していると仮定する。

行列の基本変形を使う。
左右基本変形はすべて、正則行列で表せるというのがポイント。
(正則なのは、変形が可逆だから明らか)

基本変形を使って、第一行、第一列を掃き出して、
\[
PAQ = \left[
\begin{array}{cc}
1 & 0 \\
A_1 & 1
\end{array}
\right]
\equiv B
\]
とできる(P,Qは正則)。

\[
Y = Q^{-1}XP^{-1}
\]
という行列 Y を導入すると、

\[
BY = (PAQ)(Q^{-1}XP^{-1}) = PAXP^{-1} = PP^{-1} = E
\]

ここで、
\[
Y = \left[
\begin{array}{cc}
y & \Box \\
\Box & Y_1
\end{array}
\right]
\]
と分解すると、

\[
BY = \left[
\begin{array}{cc}
y & \Box \\
\Box & A_1Y_1
\end{array}
\right]
\]
となり、

\[
A_1Y_1 = E
\]
が成り立たなければならない。
この時、上式は、n-1 次の正方行列の式なので、
帰納法の仮定により、A1は正則である。

ゆえに、Bも正則である。なぜなら、
\[
B^{-1} = \left[
\begin{array}{cc}
1 & 0 \\
0 & A_1^{-1}
\end{array}
\right]
\]
が存在する。

\[
A = P^{-1}BQ^{-1}
\]
より、Aも正則である。
(証明終)


参考文献
[1] 岩堀 長慶 編 「線形代数学」(裳華房)
[2] 斉藤 正彦 「基礎数学1 線型代数入門」(東大出版会)
[3] 佐武 一郎 「数学選書(1) 線型代数学」(裳華房)
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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
数学>線形代数 | コメント(0) | 2013/05/21 23:49
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