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特殊相対論の思考実験

以前、こちらの記事でご紹介した
「図解雑学シリーズ」の「時空図で理解する相対性理論」(和田純夫)
という本に特殊相対論を理解するのに、すごく分かりやすい思考実験が載ってました。

図書館で借りていた本なので、今、手元になく、
詳細の数字は違うかもしれません。

状況は以下の通りです。

Aさんは、気の毒なことに、背中に爆弾をしかけられて、3分後には爆発します。

助かるためには、光のスピードでも4分かかる距離(以下、「4光分」と呼ぶ)
にある池に飛び込んで、導火線についた火を消すしかありません。

relative-bomb01.png

相対論によれば、いかなるものも光速を超えられないので、
Aさんは、残念ながら助からない運命にあるのでしょうか?


答えは、Aさんは助かります(原理的には)。

光速の 4/5 (=80%) で猛ダッシュして池に飛び込めばギリギリ助かります。
もちろん、それより速く(90%とか)走れば、余裕で助かります。

まずは、地上の観測者の立場から考えてみます。

地上から見ると、Aさんは光速の4/5で走っているので、
池にたどりつくまでに、
\[
4 (光分) \div 4/5 = 5(分)
\]
かかることになります。

それでは一瞬、間に合わないんじゃないかと思うのですが、
地上から見ると、Aさんは、地上の時間の進み方に比べて
ゆっくりと時間が進んでることになります。
当然、爆弾の導火線の進み方もゆっくりになります。

どのぐらいゆっくり進むかというと、この記事で見たように、
\[
t' = t\sqrt{1-(v/c)^2}
\]
という式を用いて、
\[
5(分) \times \sqrt{1-\left(\frac{4}{5}\right)^2} = 5(分) \times \frac{3}{5} = 3(分)
\]
と計算できるので、ギリギリ間に合うことになります。


次に、Aさんの立場から見てみることにします。

Aさんから見ると、池までの距離がローレンツ収縮により短くなります。

どのぐらい短縮されるかは、やはりこの記事の式
\[
L = L_0 \sqrt{1-(v/c)^2}
\]
を用いて、
\[
4(光分) \times \sqrt{1-\left(\frac{4}{5}\right)^2}
= 4(光分) \times \frac{3}{5} = \frac{12}{5}(光分)
\]
と計算できます。
つまり、光のスピードで4分かかる距離が12/5分で行ける距離に短縮して見えます。

そして、池に到達するまでの時間は、
\[
\frac{12}{5}(光分) ÷ 4/5 = 3(分)
\]
となるので、ギリギリ間に合うことが分かります。

どちらの立場から見ても、ちゃんと矛盾なく説明できるんですね!
相対論は、ほんとにうまくできてるなあと感じます。

参考文献
[1] 「図解雑学シリーズ」の「時空図で理解する相対性理論」(和田純夫)
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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>特殊相対論 | コメント(0) | 2013/12/27 17:19
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