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束縛状態から連続状態への遷移

調和振動的な摂動による遷移で、

始状態 m が束縛状態
終状態 k が連続状態

の場合を考えます。
電磁波による電離(イオン化)に適用することを想定しています。

一般に、「連続状態のエネルギー > 束縛状態のエネルギー」だから、
$\omega_{km} > 0 $ とする。

前回得られた一次摂動の係数は、第2項だけが支配的となり、
\[
a_k^{(1)}(t\geq t_0) = \frac{\langle k| H'|m\rangle}{i\hbar}
\frac{e^{i(\omega_{km}-\omega)t_0}-1}{\omega_{km}-\omega}
\tag{1}
\]
状態 k に見出す確率は、
\[
|a_k^{(1)}(t\geq t_0)|^2
= \frac{4|\langle k| H'|m\rangle|^2 \sin^2(\omega_{km}-\omega)t_0/2}
{\hbar^2 (\omega_{km}-\omega)^2}
\tag{2}
\]
この式で、
\[
\frac{\sin^2(\omega_{km}-\omega)t_0/2}{(\omega_{km}-\omega)^2}
\]
の部分は、離調周波数 $\omega_{km}-\omega$ に対してデルタ関数的になっていて、
(図は面倒なので省略)
その幅は、t0 に反比例して狭くなっていく。
このことは、時間とエネルギーの不確定性関係に対応している。

もともと、一次摂動の係数は、遷移行列要素のフーリエ成分になっているという話だったから、
フーリエ変換の不確定性から出てくる結果だと思う。

終状態は連続と仮定しているから、
単位時間あたりの遷移確率 w は、
状態 k における状態密度 ρ(k) を入れて、終状態で積分して、時間で割ればよい。
\[
w = \frac{1}{t_0} \int |a_k^{(1)}(t)|^2 \rho(k) dE_k
\tag{3}
\]
十分な時間経過後を考えることにすると、
t0 とともにデルタ関数的な部分はシャープになっていくので、
ρ(k) と < k | H' | m > は、 k に対して一定と考えて、
積分の外に出すことができる。

積分変数を
\[
x = (\omega_{km} - \omega)t_0/2
\]
に変換し、積分限界を無限大にすると、
\[
w = \frac{2}{\hbar}|\langle k|H'|m \rangle|^2 \rho(k)
\int_{-\infty}^\infty \frac{\sin^2 x}{x^2} dx
\tag{4}
\]

積分公式
\[
\int_{-\infty}^\infty \frac{\sin^2 x}{x^2} dx = \pi
\tag{5}
\]
を利用すると、以下の遷移確率の式が得られる。
\[
w = \frac{2\pi}{\hbar}|\langle k|H'|m \rangle|^2 \rho(k)
\tag{6}
\]

積分公式については、以前証明したことありますが、
忘れちゃったので、またそのうちに・・・

参考文献
[1] シッフ「量子力学」(上)
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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
時間依存摂動論 | コメント(0) | 2014/02/20 12:21
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