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水素原子の電離 (3)

今度は、遷移行列要素 $\langle k|H'|m \rangle$ の方を計算していきます。

\[
\langle k|H'|m \rangle = \int u_k^*({\bf r}) H'({\bf r}) u_m({\bf r}) d{\bf r}
\tag{1}
\]
ここで、前に見たように、
\[
H' = eE_0 r\cos\theta
\tag{2}
\]\[
u_k = L^{-3/2} e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}}
\tag{3}
\]\[
u_m = (\pi a_0^3)^{-1/2} e^{-r/a_0}
\tag{4}
\]

ああ、めんどくさそうだな・・・^^;

ま、でも、水素原子の電離の最も単純なモデルぐらい
計算しておきたいので、頑張ります(笑)

これまで、電場方向を極軸に選んで、
飛び出す電子の方向kを(θ,φ)と設定してきたが・・・

hydrogen-ionization-01.png

計算の都合上、電子の方向 k を極軸に選ぶことにする。

hydrogen-ionization-02.png

電場方向を(θ,φ)、積分変数 r' の方向を(θ', φ')とする。

対称性から、電離確率は電場とkのなす角θのみに依存して、
φには依存しないはずであるから、φ=0 としても一般性を失わない。
(上の図では、φ=0 としている)

以上を仮定すると、電場とk方向の単位ベクトルは、デカルト座標表示で
\[
\hat{\bf E} = {\bf E}/E
= (\sin\theta, 0, \cos\theta)
\tag{5.1}
\]\[
\hat{{\bf r}}' = {\bf r}'/r'
= (\sin\theta'\cos\phi', \sin\theta'\sin\phi', \cos\theta')
\tag{5.2}
\]
と表せる。
E と r' のなす角をθ" とすると、
\[
\cos\theta'' = \hat{\bf E}\cdot \hat{\bf r}'
= \sin\theta\sin\theta'\cos\phi' + \cos\theta\cos\theta'
\tag{6}
\]

求めたい遷移行列要素は、(2)~(4)を代入して、
\[
\langle k|H'|m \rangle = L^{-3/2}(\pi a_0^3)^{-1/2} eE_0 \\
\times
\int_0^\infty dr' \int_0^\pi d\theta' \int_0^{2\pi} d\phi'
r'^2\sin\theta' e^{-ikr'\cos\theta'} r' \cos\theta'' e^{-r'/a_0}
\tag{7}
\]
cosθ" の部分に(6)を代入すると、
cosφ' の一周積分は0になるから、この項は消えて、
(7)式の積分の部分(定数因子を除く)は、
\[
2\pi\cos\theta \int_0^\infty dr' \int_0^\pi d\theta'
r'^3 \sin\theta'\cos\theta' \exp \left[ -(a_0^{-1} + ik\cos\theta') r' \right]
\tag{8}
\]
次に、積分公式(証明は後日、別記事で・・・)
\[
\int_0^\infty x^n e^{-ax} dx = \frac{n!}{a^{n+1}}
\tag{9}
\]
を用いて、(8)を r' で積分すると、
\[
12\pi\cos\theta \int_0^\pi
\sin\theta'\cos\theta' (a_0^{-1} + ik\cos\theta')^{-4} d\theta'
\tag{10}
\]
ここで、
\[
\xi = a_0^{-1} + ik\cos\theta'
\tag{11}
\]
と変数変換すると、積分部分は、
\[
k^{-2} \int_{a_0^{-1}+ik}^{a_0^{-1}-ik}
(\xi-a_0^{-1}) \xi^{-4} d\xi
\tag{12}
\]
これを地道に計算していくと
(これ、なかなか計算が合わず難航しました^^;)
\[
-\frac{8ia_0^5k}{(1+k^2a_0^2)^3}
\]
という値になり、最初の(7)式に戻ると、行列要素は、
\[
\langle k|H'|m \rangle
= -\frac{32\pi ie E_0 k a_0^5 \cos\theta}{(\pi a_0^3 L^3)^{1/2}(1+k^2a_0^2)^3}
\tag{13}
\]
となる。

次回は、これまで得られた結果をまとめて、
最終的な電離確率を求めます。

参考文献
[1] シッフ「量子力学」(上)
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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
時間依存摂動論 | コメント(0) | 2014/02/21 18:57
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