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輻射の半古典論 (2)

輻射場のポテンシャルに、輻射ゲージ
\[
\nabla\cdot{\bf A} = \phi = 0
\tag{1}
\]
を用いることにする。
今、考えている電荷は、輻射場には影響を与えないものとして、
輻射場については、電荷も電流もない自由空間と仮定しておく。

すると、ハミルトニアンは以下のように少し簡単になる。
\[
i\hbar\frac{\partial \psi}{\partial t} = \left[
-\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2
+ \frac{ie\hbar}{mc}{\bf A}\cdot\nabla
+ \frac{e^2}{mc^2}{\bf A}^2 + V
\right] \psi
\tag{2}
\]

ここで、輻射電磁場 A は摂動論的に扱える程度に弱いとする。
すなわち、p << eA/c が成立しているようなケースを考える。

一次の摂動を考える上では、
A の二次の項は無視することができて、
A の一次の項のみを摂動と考えて、
\[
H_0 = -\frac{\hbar^2}{2m}\nabla^2 + V
\tag{3.1}
\]\[
H' = \frac{ie\hbar}{mc}{\bf A}\cdot\nabla
\tag{3.2}
\]
として、シュレディンガー方程式を
\[
i\hbar\frac{\partial \psi}{\partial t} = (H_0 + H')\psi
\tag{4}
\]
時間依存摂動論で近似的に解くことにする。

ベクトルポテンシャルとして、輻射ゲージにおける平面波の解
\[
{\bf A} = {\bf A}_0 \exp[i({\bf k}\cdot{\bf r} - \omega t)] + {\rm c.c.}
\tag{6}
\]
を仮定する。
ここで、$\omega = ck$。

一次の時間依存摂動論の結果を用いる。

t=0 に摂動がかけられるとして、初期状態を |n> とすると、
時刻 t において、状態 |k> に遷移する振幅は、
\[
a_k^{(1)}(t) = \frac{1}{i\hbar} \int_0^t e^{i\omega_{kn}t'} \langle k| H'(t') |n\rangle dt'
\tag{7}
\]

(6)を(3.2)に代入して、
\[
H' = H'_+e^{i\omega t} + H'_-e^{-i\omega t}
\tag{8}
\]
\[
H'_+ = \frac{ie\hbar}{mc}e^{-i{\bf k}\cdot{\bf r}} {\bf A}_0^* \cdot \nabla
\tag{9.1}
\]\[
H'_- = \frac{ie\hbar}{mc}e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} {\bf A}_0 \cdot \nabla
\tag{9.2}
\]

(8)を(7)に代入して、
\[
a_k^{(1)}(t)
= \frac{\langle k| H'_+ |n\rangle}{i\hbar} \int_0^t e^{i(\omega_{kn}+\omega)t'} dt'
+ \frac{\langle k| H'_- |n\rangle}{i\hbar} \int_0^t e^{i(\omega_{kn}-\omega)t'} dt'
\tag{10}
\]
積分して、
\[
a_k^{(1)}(t)
= -\frac{\langle k| H'_+ |n\rangle}{\hbar}
\frac{e^{i(\omega_{kn}+\omega)t}-1}{\omega_{kn}+\omega}
-\frac{\langle k| H'_- |n\rangle}{\hbar}
\frac{e^{i(\omega_{kn}-\omega)t}-1}{\omega_{kn}-\omega}
\tag{11}
\]

行列要素の部分は、
\[
\langle k|H'_+|n \rangle
= \frac{ie\hbar}{mc} \int u_k^* e^{-i{\bf k}\cdot{\bf r}} {\bf A}_0^* \cdot \nabla u_n d{\bf r}
\tag{12.1}
\]\[
\langle k|H'_-|n \rangle
= \frac{ie\hbar}{mc} \int u_k^* e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} {\bf A}_0 \cdot \nabla u_n d{\bf r}
\tag{12.2}
\]

以前の議論と同様に、
第1項は、$E_k - E_n = -\hbar\omega$ の時、
第2項は、$E_k - E_n = \hbar\omega$ の時のみ支配的となるから、
輻射場の量子(光子)の放出・吸収によって、状態が $\hbar\omega$だけ遷移している
と解釈することができる。
光子を厳密に扱えるようになるのは、輻射場の量子化をしてからですが・・・


参考文献
[1] シッフ「量子力学」(下)
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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
輻射場の半古典論 | コメント(0) | 2014/02/28 12:55
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