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輻射の吸収・放出 (1)

始状態として束縛状態、終状態として連続状態を仮定すると、
以前の議論がそのまま使えて、
低エネルギーの束縛状態から高エネルギーの連続状態への遷移確率は、
\[
w = \frac{2\pi}{\hbar}|\langle k|H'_-|n \rangle|^2 \rho(k)
\tag{1}
\]
となる。

次に、束縛状態内部の離散準位間における遷移を考えたい。

まずは吸収の場合、すなわち
\[
E_k \sim E_n + \hbar\omega
\tag{2}
\]
の場合を考える。
この時、遷移振幅
\[
a_k^{(1)}(t) = -\frac{\langle k| H'_+ |n\rangle}{\hbar} \frac{e^{i(\omega_{kn}+\omega)t}-1}{\omega_{kn}+\omega} -\frac{\langle k| H'_- |n\rangle}{\hbar} \frac{e^{i(\omega_{kn}-\omega)t}-1}{\omega_{kn}-\omega}
\tag{3}
\]
において、第2項のみが支配的である。
\[
a_k^{(1)}(t) = -\frac{\langle k| H'_- |n\rangle}{\hbar} \frac{e^{i(\omega_{kn}-\omega)t}-1}{\omega_{kn}-\omega}
\tag{4}
\]\[
\langle k|H'_-|n \rangle = \frac{ie\hbar}{mc} \int u_k^* e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} {\bf A}_0 \cdot \nabla u_n d{\bf r}
\tag{5}
\]
時刻 t において、状態 k に見出す確率は、
\[
|a_k^{(1)}(t)|^2
= \frac{4 |\langle k| H'_- |n\rangle|^2 \sin^2(\omega_{kn}-\omega)t/2 }
{\hbar^2(\omega_{kn}-\omega)^2}
\tag{6}
\]

今回は、終状態として離散準位を仮定しているため、
単色の輻射場の場合は、遷移確率はsin関数によって振動することになる。

一般には輻射場はある程度のスペクトル幅を有しており、単色光ではない。
そこでスペクトルの広がりを持った輻射場を仮定し、
さらに、スペクトル成分間に特別な位相関係を持たないと仮定する。

dωのスペクトル幅に含まれる輻射強度を $I(\omega) d\omega$ とする。
電磁波強度の式より、
\[
I(\omega)d\omega = d\left[\frac{2\omega^2}{c}|A_0|^2\right]
\tag{7}
\]
である。
行列要素の部分は、
\[
|\langle k|H'_-|n \rangle|^2
= \frac{e^2\hbar^2}{m^2c^2} |A_0|^2
\left| \int u_k^* e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} \nabla_A u_n d{\bf r} \right|^2
\tag{8}
\]
であるから($\nabla_A$ は A 方向の勾配)、(7)を用いて、
\[
d|\langle k|H'_-|n \rangle|^2
= \frac{e^2\hbar^2}{2m^2c\omega^2} I(\omega)d\omega
\left| \int u_k^* e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} \nabla_A u_n d{\bf r} \right|^2
\tag{9}
\]
(6)に代入して、
\[
d|a^{(1)}(t)|^2
= \frac{2e^2}{m^2c\omega^2} I(\omega)d\omega
\left| \int u_k^* e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} \nabla_A u_n d{\bf r} \right|^2
\frac{\sin^2(\omega_{kn}-\omega)t/2 }
{(\omega_{kn}-\omega)^2}
\tag{10}
\]

これをスペクトルで積分すると、全輻射に対する遷移確率が計算できる。
\[
w = \frac{1}{t} \int \frac{2e^2}{m^2c\omega^2} I(\omega)
\left| \int u_k^* e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} \nabla_A u_n d{\bf r} \right|^2
\frac{\sin^2(\omega_{kn}-\omega)t/2 }
{(\omega_{kn}-\omega)^2}
d\omega
\tag{11}
\]
十分な時間が経過すると、sin関数の部分はωに対してデルタ関数的になっていくので、
その他の部分は積分の外に出してよい。
積分変数を
\[
x = (\omega_{kn} - \omega)t/2
\]
と変換し、積分境界を∞に拡張して、
\[
w = \frac{e^2}{m^2c\omega_{kn}^2} I(\omega_{kn})
\left| \int u_k^* e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} \nabla_A u_n d{\bf r} \right|^2
\int_{-\infty}^\infty
\frac{\sin^2 x}{x^2} dx
\tag{12}
\]
積分公式
\[
\int_{-\infty}^\infty \frac{\sin^2 x}{x^2} dx = \pi
\tag{13}
\]
を利用すると、最終的に離散準位間の吸収遷移の確率は、
\[
w_a = \frac{\pi e^2}{m^2c\omega_{kn}^2} I(\omega_{kn})
\left| \int u_k^* e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} \nabla_A u_n d{\bf r} \right|^2
\tag{14}
\]
と表される。

放出の場合、すなわち、
\[
E_k \sim E_n - \hbar\omega
\tag{15}
\]
の場合についても、今度は(3)において第1項のみを考えて同様の計算を行うと、
離散準位間の放出遷移の確率は、
\[
w_e = \frac{\pi e^2}{m^2c\omega_{nk}^2} I(\omega_{nk})
\left| \int u_k^* e^{-i{\bf k}\cdot{\bf r}} \nabla_A u_n d{\bf r} \right|^2
\tag{16}
\]
となる。


参考文献
[1] シッフ「量子力学」(上)(下)
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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
輻射場の半古典論 | コメント(0) | 2014/03/04 12:13
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