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電気双極子遷移

輻射による二準位間の遷移について、吸収および誘導放出の確率は、
\[
w_a = w_e = \frac{\pi e^2}{m^2c\omega_{kn}^2} I(\omega_{kn})
\left| \int u_k^* e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} \nabla_A u_n d{\bf r} \right|^2
\tag{1}
\]
と表せることが分かりました。
この積分の部分について考えます。

まず、系のサイズは、輻射の波長に比べて十分小さい
すなわち ${\bf k}\cdot{\bf r} \ll 1$ と仮定する。

たとえば、水素原子を考えると、
基底状態の波動関数のサイズは、ボーア半径 0.05 nm 程度。
これを励起するのに必要な紫外光の波長は、100 nm 程度。
ということで、仮定は成立している。

この仮定の下に、
\[
e^{i{\bf k}\cdot{\bf r}} = 1 + i{\bf k}\cdot{\bf r} + \cdots \sim 1
\tag{2}
\]
と近似できる。

そうすると積分は、
\[
\int u_k^* \nabla_A u_n d{\bf r}
\tag{3}
\]
となる。
簡単のために、A の方向を x 軸に取ると、
\[
\int u_k^* \frac{\partial u_n}{\partial x} d{\bf r}
= \frac{1}{i\hbar} \langle k | p_x | n \rangle
\tag{4}
\]

ここで、無摂動ハミルトニアン
\[
H_0 = \frac{{\bf p}^2}{2m} + V({\bf r})
\tag{5}
\]
に対して、x との交換関係を考えると、
\[
[x, H_0] = \frac{1}{2m}[x, p_x^2] = \frac{i\hbar}{m}p_x
\tag{6}
\]
これは、ハイゼンベルクの運動方程式
\[
\frac{dx}{dt} = \frac{1}{i\hbar}[x, H_0] = \frac{p_x}{m}
\tag{7}
\]
にも対応している。

関係(6)を用いると、
\[
\langle k|p_x|n \rangle = \frac{m}{i\hbar}\langle k|[x,H_0]|n\rangle
\tag{8}
\]
となる。右辺は、
\[
\begin{array}{lll}
\langle k|[x,H_0]|n\rangle
&=& \langle k|xH_0|n\rangle - \langle k|H_0x|n\rangle \\
&=& E_n \langle k|x|n\rangle - E_k \langle k|x|n\rangle \\
&=& -\hbar\omega_{kn} \langle k|x|n\rangle
\end{array}
\tag{9}
\]
となるから、
\[
\langle k|p_x|n \rangle = im\omega_{kn} \langle k|x|n \rangle
\tag{10}
\]
これを用いて、運動量演算子の行列要素から位置演算子の行列要素に変換することができる。
(なんか不思議なんですけどね・・・)

というわけで、これを適用すると、(1)は、
\[
w_a = w_e = \frac{\pi e^2}{\hbar^2c} I(\omega_{kn}) |\langle k|r_A|n \rangle|^2
\tag{11}
\]
と表せる。
( $r_A$ は A 方向の座標成分を表す )

ここで、
\[
e\langle k|r_A|n \rangle = \langle k|er_A|n \rangle
\tag{12}
\]
は電気双極子モーメントを表すから、(11)で表される遷移を電気双極子遷移と呼ぶ。


参考文献
[1] シッフ「量子力学」(下)



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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
輻射場の半古典論 | コメント(0) | 2014/03/07 11:56
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