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生成・消滅演算子

調和振動子の行列理論の復習を終えたので、
非相対論的シュレディンガー方程式の量子化の話に戻ります。

前回、粒子の総数を表す演算子
\[
N = \int \psi^\dagger \psi d^3r
\tag{1}
\]を定義して、これが保存することを確認しました。
これから、この粒子数の演算子を対角化するような表示について、考えていくようです。

まず、ψを空間的な正規直交関数系 $u_k(r)$ で展開する。
\[
\psi(r,t) = \sum_k a_k(t) u_k(r)
\tag{2}
\]ここで、$u_k(r)$ はただの関数で、展開係数 $a_k(t)$ は時間に依存した演算子となる。
エルミート共役な演算子は、
\[
\psi^\dagger(r,t) = \sum_k a_k^\dagger(t) u_k^*(r)
\tag{3}
\]となる。
逆に、$u_k$ の正規直交性から、$a_k$、$a_k^\dagger$ は、
\[
a_k(t) = \int u_k^*(r) \psi(r,t) d^3r
\]\[
a_k^\dagger(t) = \int u_k(r) \psi^\dagger(r,t) d^3r
\tag{4}
\] と表せる。
この新たに登場した演算子について交換関係を考えてみる。
\[
[a_k(t), a_l^\dagger(t)] = \iint u_k^*(r) u_l(r') [ \psi(r,t), \psi^\dagger(r',t) ] d^3rd^3r'
\]
ψに関する交換関係
\[
[ \psi(r,t), \psi^\dagger(r',t) ] = \delta(r-r')
\tag{5}
\]と $u_k$ の正規直交性
\[
\int u_k^*(r) u_l(r) d^3r = \delta_{kl}
\tag{6}
\]を用いて、
\[
[a_k(t), a_l^\dagger(t)] = \delta_{kl}
\tag{7}
\]という交換関係となることが分かる。また、ψの交換関係から明らかに、
\[
[a_k(t), a_l(t)] = [a_k^\dagger(t), a_l^\dagger(t)] = 0
\tag{8}
\]である。
さて、本題の粒子数演算子を計算してみる。(1) に (2)、(3) を代入すると、
\[
N = \sum_k \sum_l a_k^\dagger(t) a_l(t) \int u_k^*(r) u_l(r) d^3r
\tag{9}
\]再び、正規直交性 (6) を用いると、
\[
N = \sum_k a_k^\dagger a_k = \sum_k N_k
\tag{10}
\]となる。ただし、
\[
N_k = a_k^\dagger a_k
\tag{11}
\]
調和振動子の行列理論 (4) の内容と比較すると、
$N_k$ は状態 k にいる粒子の数を表すと解釈でき、
$a_k^\dagger$ と $a_k$ は、状態 k にいる粒子の生成・消滅を表すと考えることができる。

k の状態に $n_k$ 個の粒子がいるような粒子系の状態を $| n_1, \cdots, n_k, \cdots \rangle$ と書くことにすると、
調和振動子の行列理論 (5) の記事より、
\[
N_k | n_1, \cdots, n_k, \cdots \rangle = n_k | n_1, \cdots, n_k, \cdots \rangle
\tag{12}
\]\[
a_k | n_1, \cdots, n_k, \cdots \rangle = \sqrt{n_k} | n_1, \cdots, n_k-1, \cdots \rangle
\tag{13.1}
\]\[
a_k^\dagger | n_1, \cdots, n_k, \cdots \rangle = \sqrt{n_k+1} | n_1, \cdots, n_k+1, \cdots \rangle
\tag{13.2}
\]

同一の状態をいくつもの粒子が占有することができるので、
ボーズ粒子(ボゾン)を表していると考えられる。

参考文献
[1] シッフ「量子力学」(下)
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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[自然科学
物理>場の量子論 | コメント(0) | 2014/08/15 12:27
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