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多変数関数の微分

多変数関数 $R^n \rightarrow R$ の場合の微分について考える。

これまで、方向微分や偏微分については考えてきたが、
今回は特定の方向の話ではなく、あらゆる方向に適用できる一般化された微分。
たぶん、全微分と呼ばれているものだと思うけど、言葉の定義はよくわからない。

一変数 $R\rightarrow R$ の場合の微分の定義を思い出すと、\[
f'(a) = \lim_{h\rightarrow 0, h\neq 0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}
\tag{1}
\]

これを多変数 $R^n \rightarrow R$ の場合にそっくりそのまま適用すればよい気がするが、
その場合、h がベクトルであるため、h による除算が定義できない以上、困難が生じる。

そこで、(1) の定義式を以下のように変形してみる。\[
\lim_{h\rightarrow 0, h\neq 0} \frac{f(a+h) - f(a) - f'(a)h}{h} = 0
\tag{2}
\]
この式は、$f(a+h)-f(a)$ と $f'(a)h$ の差が h よりも速く 0 に収束することを示している。

このように、h との比をとった時に、h よりも速く 0 に収束してしまうもの、つまり、\[
\lim_{h\rightarrow 0, h\neq 0} \frac{g(h)}{h} = 0
\tag{3}
\]となるような $g(h)$ を h よりも高次の無限小と呼び、ランダウの記号で $o(h)$ と書く。

この記法を用いると、(2) は、\[
f(a+h) - f(a) = f'(a)h + o(h)
\tag{4}
\]とも書ける。
ここで、$f'(a)h$ の部分は一次の近似になっており、
誤差の項 $o(h)$ は一次よりも高次の無限小になっている
と考えると、分かりやすい。

この式を多変数の場合に適用してやればよい。

多変数関数の微分(定義)
$A \subset R^n \rightarrow R$ の関数 f に対して、内点 $a \in A$ において、\[
f(a+h) - f(a) = f'(a)h + o(|h|) \hspace{2cm} (h\rightarrow 0)
\tag{5}
\]なる $f'(a)$ が存在する時、f は a において微分可能であるといい、
$f'(a)$ を導値と呼ぶ。

注1: ここで、$h \in R^n$ は縦ベクトルであるから、 $f'(a)$ は横ベクトルとなる。

注2: h による除算が定義できないので、無限小部分は $o(h)$ ではなく、$o(|h|)$ となる。


次に、多変数ベクトル値関数 $R^n \rightarrow R^m$ の場合に適用する。

多変数ベクトル値関数の微分(定義)
$A \subset R^n \rightarrow R^m$ の関数 f に対して、内点 $a \in A$ において、\[
f(a+h) - f(a) = f'(a)h + o(|h|) \hspace{2cm} (h\rightarrow 0)
\tag{5}
\]なる $f'(a)$ が存在する時、f は a において微分可能であるといい、
$f'(a)$ を導値と呼ぶ。

この時は、$f'(a)$ は m x n の行列となる。


参考文献
[1] 杉浦光夫「解析入門I」(東大出版会)
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数学>解析 | コメント(4) | 2014/12/25 12:44
コメント
関数の微分とは
関数の微分あるいは全微分は、曲面に対する接平面ですね。その接平面に含まれる各々の直線が曲面の接線になっていて、これが方向微分を表す。

より高級な数学用語でいうと、関数の微分は一次形式あるいは共変ベクトルで、偏微分はそれの成分です。

それから多変数ベクトル値関数の微分ですが、抽象的にフレシェ微分というものを考えるとすっきりすると思います。抽象的考えが苦手な人にはかえって難しくなるかもしれませんが。ぼくは昔、Frechet微分入門という記事を書きました。
いもむしさんへ
杉浦さんの本にも「接超平面」とか「一次形式」という記述があります。
接超平面と考えると、分かりやすいですね。

たとえ、あらゆる方向に方向微分が存在しても、
微分可能とは限らないというのが驚きだったのですが、
それらの方向微分がバラバラで、接超平面を構成しなければ、
微分可能ではないと理解すればよろしいのでしょうか?

フレシェ微分・・・
杉浦さんの本にも、多変数関数については、
少し前までは偏導関数しか着目されていなかったが、
微分を一次変換で考え始めたのがフレシェだとありました。

いもむしさんのMy Math Physicsのページにありますね。
いつか是非、読ませていただきたいと思います。
(ちらっとは拝見しましたが、面白そうです^^)

いもむしさんのページは、実はどの記事も興味深いものばかりなんです。
いつか読ませていただきたいと思っていて、
今、頑張って、予備知識を習得しているところです^^;
一次形式
「それらの方向微分がバラバラで、接超平面を構成しなければ、
微分可能ではないと理解すればよろしいのでしょうか? 」

そうです。ぼくは

微分可能 = 局所的に線形写像で近似可能

という標語で理解してます。幾何的には

滑らかな曲面 = 局所的に平面で近似可能

ってことです。それゆえに線形代数が大事なんですよね。



「微分を一次変換で考え始めたのがフレシェ」

それ以前にも「一次形式」という言葉で理解されていたと思いますが、フレシェの世代の学者たちが「一次形式」を線形「写像」という集合論に基づいた概念で明確に意識しはじめたのではないかと思います。

拙著「Frechet微分入門」は Young図形の話もあって、手前味噌ですが、おもしろい読み物になりうると思います。
いもむしさんへ
「局所的に線形写像で近似可能」という表現、すごくわかりやすいですね。
イメージがつかめてきたような気がします。
解析と線形代数と幾何が結びついてきて、
なかなか面白いですね。

フレシェ微分入門もいずれ、読ませていただきます。

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