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自由電磁場のハミルトニアン (2)

前記事で、自由電磁場のハミルトニアン密度を得た。\[
\mathscr{H} = \frac{1}{2}c^2{\bf P}^2 + \frac{1}{2}(\nabla \times {\bf A})^2 - c{\bf P}\cdot \nabla \phi
\tag{1}
\]
一方で、Φは正準変数になりえないので、
ハミルトニアンから消去しなければならないという要請があった。

以下、ハミルトニアンにΦが現れないことを示す。\[
H = \int \mathscr{H} d^3r
\tag{2}
\]ここで、Φの項は、部分積分を用いて、\[
c \int {\bf P} \cdot \nabla \phi d^3r
= c \int_{S_\infty} {\bf P} \phi dS - c \int \phi \nabla \cdot {\bf P} d^3r
\tag{3}
\]となる。第1項の無限遠での表面積分は0となり、第2項は、\[
\nabla \cdot {\bf P} = -\frac{1}{c} \nabla \cdot {\bf E} = 0
\tag{4}
\]であるから、Φの項は消える。

うまくいくものですね・・・
今回は、たまたまうまくいったのか?
必ずうまくいくものなのか?
これがうまくいかない場合、どうすればよいのだろうか?
このあたりの一般論がよくわかりません。

結局、自由電磁場のハミルトニアンは、\[
H = \frac{1}{2} \int \left[ c^2 {\bf P}^2 + (\nabla \times {\bf A})^2 \right] d^3r
\tag{5}
\]となる。
電磁場 E、B で表すと、\[
H = \frac{1}{2} \left[ {\bf E}^2 + {\bf B}^2 \right]
\tag{6}
\]となり、予想通り、電磁場のエネルギーの表式と一致する。

ところで、電磁場の量子化について書かれているいろんな本を読みましたが、
ハミルトニアンに行き着くまでに、このように論理展開してくれる本は、
このシッフ[1] と サクライ[2] 以外にほとんどありませんでした。

まあ、読んだ本が場の量子論メインの本じゃないものが多かったのですが・・・
(ちゃんとした場の量子論の本だと、他でもきっとちゃんと書いてあるのでしょう)

ほとんどの本では、あっさり、エネルギーの表示 (6) からスタートして、
そのままハミルトニアンとみなしてしまうものばかり。
それだと、場の変数として何を選べばよいのかがわからないんですよね。

もちろん、ハミルトン形式は本来、ラグランジュ形式を経由する必要はないのですが、
それにしても、最低限、ハミルトンの運動方程式がちゃんとマックスウェル方程式に
なってることを確認する必要はありますよね。

いずれにせよ、このシッフ[1] は非常にとっつきにくいですが、
名著と言われるだけあって、噛めば噛むほど味が出るスルメのような教科書ですね(笑)


参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
[2] J. J. Sakurai "Advanced Quantum Mechanics"
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物理>電磁気学 | コメント(0) | 2015/01/05 22:56
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