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電磁場の量子化 (3)

ここまでを整理しておくと・・・
ハミルトニアンから量子論的な運動方程式を立てることによって、
マックスウェル方程式\[
\dot{\bf A} = c^2 {\bf P}
\tag{1}
\]\[
\dot{\bf P} = -\nabla \times \nabla \times {\bf A}
\tag{2}
\]が導かれる。
電磁場 E, B による表記に書き直すと、(1) は、\[
{\bf P} = -\frac{\bf E}{c}
\tag{3}
\]となり、E と P の関係式を表す(力学で言うところの ${\bf P} = m\dot{\bf x}$ みたいなものか)。
これを用いると、(2) は、\[
\nabla \times {\bf B} + \frac{1}{c} \dot{\bf E} = 0
\tag{4}
\]と表され、マックスウェルの一つ(変位電流)となっている。

マックスウェルの残りのうち2つ(単磁荷の不存在と電磁誘導)は、
電磁ポテンシャル表現によって、自動的に成立するから、
残りは一つ(クーロン則)。\[
\nabla \cdot {\bf P} = 0
\tag{5}
\](2) から、\[
\frac{\partial}{\partial t} \nabla\cdot{\bf P} = 0
\tag{6}
\]となるから、初期条件として (5) が満たされれば、常に満たされることになる。

以上が前回までのあらすじ。
ここからが少々めんどくさそうな話・・・汗

(1) より、\[
\frac{\partial}{\partial t} \nabla\cdot{\bf A} = c^2 \nabla\cdot{\bf P} = 0
\tag{7}
\]であるから、初期条件としてクーロンゲージ \[
\nabla \cdot {\bf A} = 0
\tag{8}
\] を選んでおくと、常にこの条件が満たされる。

ここで、以下の交換関係を考えると、条件 (5) より\[
[ A_x, \nabla' \cdot {\bf P}' ] = 0
\tag{9}
\]である。

ところが、正準交換関係\[
[A_x, P'_x ] = i\hbar \delta^3(r-r')
\tag{10}
\]からは、\[
[A_x, \nabla' \cdot {\bf P}'] = \partial'_x [A_x, P'_x] = i\hbar \partial'_x \delta^3(r-r')
\tag{11}
\]とならなければならない。

交換関係 $[ \nabla\cdot{\bf A}, P'_x]$ に (8) の条件を用いても、同様のことが生じる。

つまり、正準交換関係 (10) と補助条件 (5)、(8) は両立しえない。

これを回避するには、正準交換関係に以下のような修正を行えばよい。\[
[A_s, P'_{s'}] = i\hbar \delta_{ss'} \delta^3(r-r')
- \frac{i\hbar}{4\pi} \partial_{r_s} \partial_{r'_{s'}} \left( \frac{1}{|r-r'|} \right)
\tag{12}
\]ちょっと分かりにくいので、個別に例を書いておこうと思う。\[
[A_x, P'_x] = i\hbar \delta^3(r-r')
- \frac{i\hbar}{4\pi} \partial_{x} \partial'_{x} \left( \frac{1}{|r-r'|} \right)
\tag{13}
\]\[
[A_x, P'_y] = - \frac{i\hbar}{4\pi} \partial_{x} \partial'_{y} \left( \frac{1}{|r-r'|} \right)
\tag{14}
\]などのようになる。
この場合において、(11) の交換関係を再度計算すると、\[
[ A_x, \nabla'\cdot {\bf P}' ]
= \partial'_x [A_x, P'_x] + \partial'_y [A_x, P'_y] + \partial'_z [A_x, P'_z]
\tag{15}
\]これに、上記を代入すると、\[
[ A_x, \nabla'\cdot {\bf P}' ]
= i\hbar \partial'_x \delta^3(r-r') - \frac{i\hbar}{4\pi} \partial_x {\nabla'}^2 \left( \frac{1}{|r-r'|} \right)
\tag{16}
\]ここで、デルタ関数の公式\[
\nabla^2 \frac{1}{r} = -4\pi \delta^3 ({\bf r})
\tag{17}
\]を用いて、さらに、\[
\partial'_x f(r-r') = -\partial_x f(r-r')
\tag{18}
\]に注意すると、交換関係 (16) は、\[
[ A_x, \nabla'\cdot {\bf P}' ] = 0
\tag{19}
\]となる。
というわけで、今度は補助条件 (5) と整合性の取れた結果が得られる。
補助条件 (8) についても同様。

最後に気になることは、(12) の追加項によって、
同時刻に有限距離離れた地点間の相互作用が起きるように見えて、
相対論に矛盾するように見えること。

しかし、これはポテンシャルの間であって、
物理的に観測される電磁場の間で相互作用が起きなければよい。

それは、今後、電磁場の交換関係を導いて、確認することにします。

参考文献
[1] シッフ 「量子力学」(下)
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電磁場の量子化 | コメント(0) | 2015/02/05 12:28
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