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有限増分の定理

ベクトル値関数の場合は、平均値の定理は成り立たない。
なぜなら、各成分 $f_i(x)$ ごとに平均値となる途中の $c_i$ の値が異なってしまうから。

その代わりに、以下の有限増分の定理が成り立つ。

有限増分の定理
U は $R^n$ の開集合で、関数 $f : U \rightarrow R^m$ は U 上微分可能とする。
U 上の2点 a, b を両端とする線分 $L = \{ g(t) = a + t(b-a) | t \in [0,1] \}$ が
U に含まれるとき、\[
|f(a) - f(b)| \leq \sqrt{m} \sup_{x\in L} |f'(x)| |b-a|
\tag{1}
\]

注:実は、$\sqrt{m}$ の因子はいらないことが証明できるらしいけど、複雑みたいです。
$C^1$ 級なら、積分で証明できるらしい。

証明概略
合成関数 $f(g(t))$ は、[0,1] で微分可能であり、\[
(f\circ g)'(t) = f'(g(t)) g'(t) = f'(g(t)) (b-a)
\tag{1}
\]そこで、f の第 i 成分に対して、平均値の定理を適用すると、\[
f_i(b) - f_i(a) = f'(g(\theta_i)) (b-a)
\tag{2}
\]なる $0 < \theta_i < 1$ が存在する。\[
M = \sup_{x\in L} |f'(x)|
\tag{3}
\]とすると、\[
|f_i(b) - f_i(a)| \leq M |b-a|
\tag{4}
\]ゆえに、\[
|f(b) - f(a)| = \sqrt{\sum_{i=1}^m |f_i(b) - f_i(a)|^2} \leq \sqrt{m} M |b-a|
\tag{5}
\]
(証明終了)


参考文献
[1] 杉浦光夫「解析入門I」(東大出版会)
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数学>解析 | コメント(4) | 2015/04/21 00:16
コメント
No title
√m の因子がいらない点ですが、証明はそんなに難しくないと思いますよ。

成分毎に平均値定理を適用すると、中点 c が成分毎に異なってしまって、問題が難しくなり、お手上げです。

こういうときは内積をとるといいです。ノルムが 1 の m次ベクトル θ と f の内積 θ・f を考えると、これはスカラー値なので平均値定理が適用できて、中点 c も決まります。
シュワルツの不等式を二回適用して、

| θ・(f(a) - f(b)) | ≦ |θ| M | a - b | = M | a - b |

が証明されます。M は f の微分のノルムの sup です。

ここで θ をうまく選ぶと、
θ・(f(a) - f(b)) = | f(a) - f(b) |
になります。

一般のノルム空間のばあいも同様で、内積の代わりにノルムが1の一次形式を考えます。すなわち θ をノルムが1の一次形式として合成関数
θ(f(x)) を考えるとスカラー値になるので、これに平均値定理を適用します。後は同様。

θ(f(x)) を考えるのはベクトル値関数の解析全般での常套手段です。


いもむしさんへ
お返事が遅くなり、すみませんでした。

√mの落とし方の証明をありがとうございます!
内積を取って、1次元にするというのは目から鱗でした。

>ここで θ をうまく選ぶと、
>θ・(f(a) - f(b)) = | f(a) - f(b) |
>になります。

この部分で、どう選んだらそうなるんだろう?
としばらく悩んでしまいましたが、
\[
\theta = \frac{f(a) - f(b)}{|f(a) - f(b)|}
\]
でいいんですね。

大変、勉強になりました!
No title
dyne さん、ありがとうございます。ぼくもこの問題、考えたことがなかったですから。


内積をとるというのは平均化ということですね。

例えて言うと、悪い喩えだが、n人のカノジョすべてに誠実であると、たいへんなことになってしまうので、それぞれ適当につきあって、n又をかける。そんなイメージです。
まあ、人間関係なら、八方美人ならぬ n方美人では誰からも相手にされなくなる可能性大ですがw。

それから内積から定義されるノルムの場合、θ のとり方はそれが正解です。一般のノルム空間では θ は一次形式で、具体的に与えるわけにはいかなくて、そういうθ が存在する、みたいな証明になると思います。



いもむしさんへ
なるほど、内積を取るのは、n又をかけるですか!
分かりやすいたとえですね(笑)

適当につきあってることで、
労力を1/√nに省いてるんでしょうか?(笑)

一般のノルムは難しそうですね!
またいずれ勉強してみたいと思います。

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