スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 | --/--/-- --:--

誘電分極 (1)

「細かいことが気になってしまう・・・僕の悪い癖!」とは、
「相棒」の杉下右京さんの口癖ですが、
右京さんが物理やったら大変なことになりそうですね。
物理は細かいこと気にしてたら、いつまでたっても先に進みませんから(笑)

さて、昔から、誘電分極がちゃんと理解できずにいます。
問題は、微視的な描像と巨視的な描像のつながりなのですが、
まずは、巨視的観点で、よく行われる説明をフォローしてみます。

dielectric-polarization-01.png

ある誘電体中(水色の部分)に、正の電荷 +q があると仮定する。
電荷からは、赤の矢印ような電場が発生する。

その電場によって、誘電体中の分子が分極して、
電荷の周りに-、反対側に+の帯電が起きる。
微視的に見れば、無数の小さな分子が分極しているのであるが、
途中の分は正負キャンセルするので、結果的に、
表面にだけ現れているかのように見える。

この分極電荷によって、与えられた電場とは逆方向に電場(青矢印)が生成される。
その結果、合成電場は、下図の緑のように元の電場より少し弱められたものになる。
(矢印の長さの書き方が悪かったですが、
赤と青をベクトル的に足すと、緑になるという意味)

dielectric-polarization-02.png

ここで、仮想的に、赤い点線のような閉曲面 S を考える。
この閉曲面 S を横切って、外側に出た分の電荷を q' とする。
この図では、周りにいる+を全部集めたものが q' である。

さらにここで、Sを横切って外に出た単位面積あたりの電荷をベクトル P で表し、
分極ベクトルと呼ぶことにする。
つまり、\[
q' = \int_S {\bf P} \cdot d{\bf S}
\tag{1}
\]となるように、P を決める。
任意の閉曲面でこうなるように決めるというべきでしょうか・・・
(このあたりから怪しくなってきます・・・汗)

そうすると、S の内部にある分極電荷は、
外部と合わせてゼロにならなければならないから、
当然、-q' となる。

さて、S に対して、ガウスの法則を適用する。
S の内部にある電荷の総量は、q - q' であるから、\[
\int_S {\bf E} \cdot d{\bf S} = \frac{q-q'}{\varepsilon_0}
\tag{2}
\]
ここでいう、E は合成された最終的な実際の電場(緑)である。

(1) を用いて、(2) を変形すると、\[
\int_S (\varepsilon_0 {\bf E} + {\bf P}) \cdot d{\bf S} = q
\tag{3}
\]
電束密度なる量\[
{\bf D} \equiv \varepsilon_0 {\bf E} + {\bf P}
\tag{4}
\]を定義すると、ガウスの法則は\[
\int_S {\bf D} \cdot d{\bf S} = q
\tag{5}
\]と簡単に記述することができ、真空の場合の電束密度を\[
{\bf D} = \varepsilon_0 {\bf E}
\tag{6}
\]と決めれば、
誘電体の有無にかかわらず、誘電分極による分極電荷のことを一切考えずに、
実電荷のみでガウスの法則を扱うことが可能となる。


と、ここまでが巨視的描像による説明。

問題はここから。
いろいろな本によると、
この分極ベクトル P なるものが微視的には、双極子モーメント p の数密度 N を用いて、\[
{\bf P} = N {\bf p}
\tag{7}
\]と表されるようです。
ここでいう双極子モーメント p とは、
単純に点電荷のモデルで言うと、正負の点電荷 -q と q が距離 x を隔てて存在する場合、
-q から q へ向かうベクトルを x として、
\[
{\bf p} = q {\bf x}
\tag{8}
\]もっと一般には、電荷密度で表すことになるのですが、
今回は単純な点電荷モデルで考えます。

この微視的な表現と巨視的な表現が同じものを表している
ということがどうにも釈然としないのです。

疑問が解決したわけではないので、次回記事があるかどうか分かりませんが、
一応、タイトルは (1) にしておきます(笑)
スポンサーサイト
物理>電磁気学 | コメント(6) | 2015/07/22 07:52
コメント
No title
物質の電磁気学、量子力学はおもしろいですよね。
しかし分極は難解。ぼくもよく分からないところです。

微視的な双極子の集合と考えると、マクロな閉曲面を通って「滲み出た」分極電荷の面密度なるものが、その概念は分かるものの数学的には厳密に定式化しにくい。というか無理っぽい。ミクロレベルで「滑らかな閉曲面」はあまり意味がないからでしょうか。
やはり分極ベクトル P を最初から与えられた連続量として(カレントと呼ばれるある種の超関数でもよいが)考えたほうが数学的には楽。しかしそうすると物理としては無内容。物理的に理解するには分子の量子力学にまで降りていかないと駄目じゃないかな、などとぼくは絶望的です(笑)。
いもむしさんへ
お返事が大変遅くなり、申し訳ありません!
実は夏風邪で寝込んでおりました・・・汗
まだ本調子ではないのですが・・・

分極はミクロに見ると離散的で、数学的には扱いにくいですね!
古典的双極子の単純なモデルでは、
点電荷の間の距離xがいくら離れても、
表面にたまる電荷は変わらないので、
分極電荷により生じる電場は結局変わらない
という結果になる気がするんですよね。

でも、実際、ドルーデやローレンツのモデルでは、
電子を古典的振動子に見立てて、見事に
物質の分散を説明しているわけで、
古典論でも十分に説明できるはずなんですよね。

量子論的に考えるとどうなるか僕にも分からないのですが、
電荷分布として捉えて、なんとかうまく考えられないかなあ・・・
と試行錯誤中です。
\[
{\bf P} = Np = \int_V {\bf r} \rho(r) d{\bf r}
\]が出発点にして、\[
\nabla \cdot {\bf P} = \rho'
\]
ともっていければいいのですが、
V を全空間にしてしまうと、空間微分できないので、
V を局所的な微小空間に取るということなのでしょうか?

試行錯誤の過程でも記事にしていこうかと思います。
とりあえず、風邪を治してからですが・・・^^;
No title
Dyneさん、こんばんは。夏風邪をひかれたとのこと。お体にはお気をつけくださいね。


前のコメントで、量子論云々はあとで自分で考えてもよく分からないことを言っているな、と感じます(笑)。連続量が「物理としては無内容」も撤回すべきか。

ぼくが考えてることをもっと詳しく述べてみましょう。

分極を双極子のあつまりとかんがえると、分極ベクトル P は数学的にはデルタ関数成分のベクトル場で表されると思ってます。点電荷がデルタ関数ですからね。一般に超関数成分のベクトル場をカレントといったりします。

しかしそうすると P の表面積分は、双極子の中心がたまたま閉曲面上にあるという、稀な条件を満たさない限りいつでも 0 になってしまうわけで、これでは物理になってない。

よくなされるのが、P を微小体積 V にわたって平均化して連続量にしてしまうことで、これなら P の表面積分が 0 になることはないでしょう。しかしこのとき、表面積分の意味するものが、なぜ閉曲面を通って流れ出た(滲み出た)分極電荷の量ということになるのか、という疑問があって、いまだ分からずじまいです。物理的には分かるんですがね。

あと考えたのは、P を平均化しないでそのままに(平均化してもいいですが)、閉曲面 S の方に「ゆらぎ」を与えて、表面積分の平均をとる、ということです。すなわち S が方程式 f(x,y,z) = 0 で与えられてあるなら、それをパラメータ λ を含んだ方程式 f(λ,x,y,z) = 0 で置き換えて P の表面積分 F(λ) をとり、F(λ) の平均値をとる、というアイデアです。これなら S がゆらぐから、表面近くにある双極子の中心を S を横切る、したがって表面積分が 0 にならないようにすることが可能でしょう。

などなど。いろいろなアイデアは浮かぶんですが、厳密証明までは出来なくて(汗)。


しかし分極は数学的にかなり刺激になるところなんですよ。離散と連続、超関数、測度、統計・・・。このあたりが絡んでくると思ってます。
いもむしさんへ
体調のこと、お気遣いいただき、ありがとうございます^^
夏風邪は手ごわくて、なかなか本調子まで回復しませんね・・・

丁寧なご説明ありがとうございます。

デルタ関数的な部分をどのように処理するかというお話ですね。
ひょっとすると、いもむしさんは僕よりももっと高度なところで
お悩みのようですね(当然ですよね・・・^^;)

僕は数学的に厳密な定式化以前に、
物理数学レベルのいい加減さでも理解できてないんですよ。
逆に、数学的に厳密に定式化できなくても
(僕にはもともと無理ですが・・・汗)
ざっくりと理解できればそれでいいのですが、
そのざっくりとも理解できていないところが気持ち悪いんです。

僕の考察は、かなりいい加減レベルですが、
また記事にしてみたいと思います。
No title
こんばんは、またコメントしたくなってしまいました(笑)。

「物理数学レベルのいい加減さでも理解できてないんですよ。」とのことですが、ぼくもここは物理数学レベルで理解できてません(笑)。

ざっくりと理解できそうなんですが、たとえば分極が一様でない誘電体内部の「分極電荷密度」(体積密度の方)のイメージがなかなか浮かばないんです。そこで数学的アプローチで理解できるかなと思って、単純なモデル(一次元)で考えたことがあるんですが、やっぱり分からなかった。しかし今度「ゆらいだ」境界の方法で、なんとかこれは理解できそうです。

実はぼくの場合、数学は物理が理解できた上での「おまけ」でも格好つけでもなくて、物理が理解できない者の必死の足掻き(爆)みたいなものです!


ところで参考に読んでいるのは、

加藤正昭「電磁気学」(東大出版)
中山正敏「物質の電磁気学」(岩波)

などです。

Jackson, Panofsky-Phillips を持ってるんですが、読んでないです。スラスラ読めるようになるといいですね。
いもむしさんへ
>物理が理解できない者の必死の足掻き(爆)みたいなものです!

おっしゃってること、分かる気がします。

物理も直観的に理解できれば、それはそれでいいのですが、
直観的に理解できないことも多いですよね(汗)
その場合は、数学的にきちんと定式化して理解してやるしかなくて・・・

特に、場の量子論などは(まだ全然理解してませんが)、
ほとんど数学みたいな世界なので、直観的に理解しようがないですし、
結局、数学をきちんとやるしか道はない気がします(笑)

Jacksonは、さすがに初めから読もうという気はしないのですが^^;
なにかと困った時に参照すると、いつもよい答えを与えてくれます。

このブログでも、「単位系によらないマックスウェル方程式」シリーズは
ほとんどJacksonの受け売りです。
電磁誘導のガリレイ不変性の話も、Jacksonが非常に参考になりました。
なかなか骨太な良書なんだろうと思います。
というわけで、分極のところを今読んでいるところです(笑)

Panofsky-Phillipsも有名ですよね。

管理者のみに表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。