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逆関数の微分

逆関数の微分

U, V を $R^n$ の開集合とする。
関数 f : U→V は以下の条件を満たすとする。
(i) f は U 上 C1級。
(ii) 任意の $x \in U$ において、${\rm det} f' (x) \neq 0$。
(iii) f は U→V の全単射であり、逆関数 $f^{-1} : V \rightarrow U$ が存在。

このとき、以下が成立。

(1) 逆関数 $f^{-1}$ はV 上微分可能であり、
$y = f(x)$ における導値 $(f^{-1})'(y)$ は行列 $f'(x)$の逆行列に等しい。\[
(f^{-1})'(y) = f'(x)^{-1}
\](2) $f^{-1}$ は V 上 C1級である。


(1) の証明概略
以下の2段階で示す。
(a) $f^{-1}$ が V 上連続であることを示す。
(b) $f^{-1}$ が V 上微分可能で導値が上記のように表されることを示す。

(a)
仮定 (i) より f は微分可能で、f ' は U 上連続であるから、
任意の点 $x_0 \in U$ 、任意の正数 $K$ に対して、
$x_0$ のあるε近傍に含まれる x に対しては、\[
|f'(x) - f'(x_0)| \leq K
\tag{1}
\]が成立する。\[
g(x) = f(x) - f'(x_0) x
\tag{2}
\]なる関数を導入すると、\[
g'(x) = f'(x) - f'(x_0)
\tag{3}
\]有限増分の定理より、\[
|g(x) - g(x_0)| \leq \sqrt{n} {\rm sup} |g'(x)||x-x_0|
\tag{4}
\](1)、(2)、(3)を用いると、\[
|f(x) - f(x_0) - f'(x_0)(x-x_0)| \leq \sqrt{n}K|x-x_0|
\tag{5}
\]となる。さらに、三角不等式を用いて、\[
|f'(x_0)(x-x_0)| - |f(x) - f(x_0)| \leq \sqrt{n}K|x-x_0|
\tag{6}
\]とできる。

仮定 (ii) より、$f'(x_0)^{-1}$ が存在するので、
シュワルツの不等式より、\[
|x-x_0| \leq |f'(x_0)^{-1}| |f'(x_0)(x-x_0)|
\tag{7}
\]となり、$\rho = |f'(x_0)^{-1}|^{-1} > 0$ とおくと、\[
|f'(x_0)(x-x_0)| \geq \rho|x-x_0|
\tag{8}
\]となる。これを用いると、(6) は、\[
(\rho - \sqrt{n}K)|x-x_0| \leq |f(x) - f(x_0)|
\tag{9}
\]と変形できる。

ここで、K は任意の正数だったから、$0 < K < \rho/\sqrt{n}$ となるように取ると、\[
0 \leq (\rho-\sqrt{n}K)|x-x_0| \leq |f(x)-f(x_0)|
\tag{10}
\]となる。
これを逆関数の言葉で書くと、$y_0 = f(x_0)$として、\[
0 \leq (\rho-\sqrt{n}K)|f^{-1}(y)-f^{-1}(y_0)| \leq |y-y_0|
\tag{11}
\]と書き表すことができる。

これより、$y \rightarrow y_0$ の時、$f^{-1}(y) \rightarrow f^{-1}(y_0)$ であり、
仮定(iii) から f は全単射であるから、$y_0$ は V の任意の元となりうるので、
$f^{-1}$ は V 全体で連続である。

(b)
f は微分可能であるから、\[
f(x_0+h) - f(x_0) = f'(x_0) h + \varepsilon(h)
\tag{12}
\]と書くとき、\[
\lim_{h\neq 0, h\rightarrow 0} \frac{\varepsilon(h)}{|h|} = 0
\tag{13}
\]が成立する。
f は全単射だから、$y_0$の近傍で、\[
f^{-1}(y_0+k) = x_0+h
\tag{14}
\]とおくと、k と h は一対一に対応し、
$f$ 、$f^{-1}$ ともに連続だから、k→0 と h→0 は同値である。

仮定 (ii) より、$f'(x_0)^{-1}$ が存在するから、(12) の両辺にかけて、\[
f'(x_0)^{-1} [ f(x_0+h) - f(x_0) ] = h + f'(x_0)^{-1}\varepsilon(h)
\tag{15}
\](14) を用いて、$f$ を $f^{-1}$ に直すと、\[
f^{-1}(y_0+k) - f^{-1}(y_0) = f'(x_0)^{-1} k + \delta(k)
\tag{16}
\]と書ける。ただし、\[
\delta(k) = - f'(x_0)^{-1} \varepsilon(h)
\tag{17}
\]とおいた。

ここで、\[
\lim_{k\neq0, k\rightarrow 0} \frac{\delta(k)}{|k|} = 0
\tag{18}
\]を示せば、$f^{-1}$ が $y_0$ で微分可能であり、
導値が$f'(x_0)^{-1}$ であることが証明される。
シュワルツの不等式から\[
\frac{|\delta(k)|}{|k|} \leq |f'(x_0)^{-1}| \frac{|\varepsilon(h)|}{|h|}
\frac{|h|}{|f(x_0+h)-f(x_0)|}
\tag{19}
\](10) より\[
\frac{|h|}{|f(x_0+h)-f(x_0)|} \leq (\rho-\sqrt{n}K)^{-1}
\tag{20}
\]であるから、(13) と合わせて、(18) が示される。
(証明終了)

(2) の証明概略
f ' は連続関数だから、逆行列 $f'(x)^{-1}$ の (i,j) 成分も x の連続関数である。
(1)(a) より $f^{-1}$ は連続だから、これらの成分は、y の連続関数でもある。
(証明終了)



証明は、参考文献[1] に従ってますが、
(1) の証明(とくに a の部分)はかなり複雑ですね!

逆関数の連続性の証明に微分可能性を使ってますが、
連続であるだけでは、逆関数も連続であるとは言えないのでしょうか?
R→R の場合だと、反例がイメージできません。
$R^n \rightarrow R^m$の場合は、そもそもイメージできないので何とも・・・^^;

それとも、(b)でも使うための (10) 式を導くために、
あえてこのような構成になってるんでしょうか。


ちなみに、これとは関係ない余談ですが、
僕の持っている [1] の本は20年前に買ったもので、
仮定にもう一つ、
「(iv) $f^{-1}$ が V 上で連続」
という条件が書かれています。
それでいて、証明過程で連続であることを証明しているので、
初め、頭の中が????状態でした。
最新版を書店で確認したら、削除されていたので、間違いだったようですね。


参考文献
[1] 杉浦光夫「解析入門I」(東大出版会)
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ジャンル:[学問・文化・芸術]  テーマ:[数学
数学>解析 | コメント(4) | 2015/09/24 19:45
コメント
No title
「連続であるだけでは、逆関数も連続であるとは言えないのでしょうか?」という問題。考えてみたのですが、1次元の場合は言えますが、2次元以上の場合は・・・ぼくの頭では無理でした(^^;)

要するに、f : X → Y が開写像であることを示すことができるか、なんですが、ふつう f や X に、いくつかの条件をつけるとそれが簡単に示せて、それはベールのカテゴリー定理というものを利用して証明します。開写像定理と総称されます。

いまの場合、X は通常の数空間の領域としてよいので、簡単にいきそうなんですが、f のほうが一般すぎて、どうもね・・・。反例も思いつかないです。修行不足。

いもむしさんへ
考えていただいて、ありがとうございます。

2次元以上では、自明なことではない
ということが分かっただけでも収穫です。

素人的イメージでは、連続ならば逆も連続になりそうな気が
してしまうのですが、逆関数は奥が深いのですね。

「開写像」の概念についてはさっぱり分かりませんが、
ちらっとググってみたら、面白そうですね。
またいつか勉強したいと思います。
定理がある
おひさです。
この問題の答えがありました。
ブラウワーの invariance of domain 定理と呼ばれています。

https://en.wikipedia.org/wiki/Invariance_of_domain

No title
お久しぶりです。
お返事が遅くなってしまい、すみません。

有用な情報をありがとうございました。
最近、この系統の勉強をしていないため、
すぐに頭に入りませんが、
時間をかけて勉強してみたいと思います。

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