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複素微分

テイラーの定理はそろそろ終わりにして、
初等関数の定義をしていくために、
複素関数の微分を考えていきます。

複素微分(定義)

複素数体 C の開集合 D で定義された複素数値関数 f は、
一点 $a \in D$ における導値\[
f'(a) = \lim_{h\neq 0, h\rightarrow 0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}
\tag{1}
\]が存在する時、複素微分可能であるという。
D の各点で複素微分可能である時、f は D で正則であるという。


基本的に、実関数を複素関数に拡張するには、
R2 を C と同一視して、R2 → R2 の関数と考えればよい。
R2 → R2 の場合の微分の定義は、\[
f(a+h) - f(a) = f'(a) h + o(|h|)
\tag{2}
\]であった。

しかし、R2 の場合は、f'(a) は 任意の 2x2 行列でよかったが、
複素の場合は、$f'(a) = \alpha + \beta i$ という形の2成分しか持ちえないため、
それによる制約を受けることになる。

複素数を $z = (x,y)^T$ として、$f'(a)z$ を R2 上の一次変換と考えると、\[
f'(a) z = (\alpha + \beta i)(x + yi) = (\alpha x - \beta y) + i(\beta x + \alpha y)
\tag{3}
\]より、一次変換の行列表現は\[
f'(a) = \left[
\begin{array}{cc}
\alpha & -\beta \\
\beta & \alpha
\end{array}
\right]
\tag{4}
\]という形で表される。
このような形で表される変換を複素一次変換と呼ぶ。

また、$r = \sqrt{\alpha^2 + \beta^2}$ と定義すると、行列は\[
f'(a) = r\left[
\begin{array}{cc}
\cos\theta & -\sin\theta \\
\sin\theta & \cos\theta
\end{array}
\right]
\tag{5}
\]と表せるから、複素一次変換は等角写像となる。

$f(z) = u(x,y) + iv(x,y)$ と書くことにすると、\[
f'(a) = \left[
\begin{array}{cc}
u_x & u_y \\
v_x & v_y
\end{array}
\right]
\tag{6}
\]となるから、\[
u_x = v_y \\
u_y = -v_x
\tag{7}
\]なる関係式として表現することもできる。
これをコーシー・リーマンの関係式と呼ぶ。

まとめると・・・
複素微分可能ならば、R2として微分可能であるだけでなく、
導値は、複素一次変換となり、コーシーリーマンの関係式を満たす。

逆に、R2として微分可能であり、かつ、
複素一次変換となっていれば、結局 (1) を満たすので、複素微分可能である。

同様に、R2として微分可能であり、かつ、
コーシー・リーマンの関係式を満たせば、複素微分可能である。

従って、以下が言える。

以下の3つの条件は同値である。
(a) 複素微分可能である。
(b) R2 として微分可能であり、コーシー・リーマンの関係式を満たす。
(c) R2 として微分可能であり、複素一次変換である。



和・差・積・商の微分公式はすべて R2 と同様に成立する。
(証明概略)
R2 と全く同じ。

合成関数の連鎖律も R2 と同様に成立する。
(証明概略)
それぞれの関数の微分において、コーシー・リーマンの関係式が成立すれば、
合成したものもコーシー・リーマンの関係式が成立することが
行列の積を用いて、簡単に示される。


参考文献
[1] 杉浦光夫「解析入門I」(東大出版会)
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数学>解析 | コメント(0) | 2015/10/13 18:33
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