オイラーの公式の証明
オイラーの公式の証明の話。
項を足す順番を入れ替えても大丈夫なんだろうか?
と以前から思っていたのですが、
今回スッキリ理解できたので、備忘録的に書き留めておきます。
ちなみに、オイラーの公式については、
過去記事で高校レベルでおよそ理解できるような証明を
いくつか紹介していますので、よろしければご覧ください。
(注:厳密な証明ではありません)



指数関数・三角関数の定義
\[
\exp z = \sum_{n=0}^\infty \frac{z^n}{n!}
\tag{1}
\]\[
\cos z = \sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n}{(2n)!} z^{2n}
\tag{2}
\]\[
\sin z = \sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n}{(2n+1)!} z^{2n+1}
\tag{3}
\]
どれも C 全体で絶対収束することは、前記事の式で収束半径を計算すると分かる。
たとえば、指数関数の場合、\[
R = \lim_{n\rightarrow\infty} \left| \frac{a_n}{a_{n+1}} \right|
= \lim_{n\rightarrow\infty} (n+1) = +\infty
\]
オイラーの公式
\[
\exp (iz) = \cos z + i\sin z
\tag{4}
\]
(証明)
左辺を定義 (1) を用いて書くと、\[
\exp(iz) = \sum_{n=0}^\infty \frac{(iz)^n}{n!}
\tag{5}
\]2個ずつ項をまとめると、\[
\exp(iz) = \sum_{n=0}^\infty \left[
\frac{(-1)^n}{(2n)!} z^{2n}
+ i \frac{(-1)^n}{(2n+1)!} z^{2n+1}
\right]
\tag{6}
\]
気になる点その1
有限個の項をまとめてもよいのか?
部分和の数列で考えると、有限個の項をまとめるということは、
部分和の数列の部分列を取り出すことに相当する。
もとの数列が収束するならば、部分列も同じ値に収束するから問題ない。
(逆はダメだから、有限個に分解することはできない)
次に、級数を2つに分ければ、\[
\exp(iz) = \sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n}{(2n)!} z^{2n}
+ i \sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n}{(2n+1)!} z^{2n+1}
\tag{7}
\]となり、(2)、(3) よりオイラーの公式 (4) を得る。
気になる点その2
級数を分けてもよいのか?(足す順番を変えてもよいのか?)
部分和を考えて、全体の級数の部分和を$S_n$、
それぞれの級数の部分和を$A_n$、$B_n$とおくと、\[
S_n = A_n + B_n
\]であり(有限項だから分けてよい)、
それぞれの級数の和を S, A, B とすると、
通常の数列の極限における\[
\lim S_n = \lim A_n + \lim B_n
\]が成立し、\[
S = A + B
\]が成立する。
(証明終了)
参考文献
[1] 杉浦光夫「解析入門I」(東大出版会)