閉集合・閉包
位相空間 S において、開集合の補集合を閉集合と呼ぶ。
閉集合の性質
(A1) S 自身と空集合 $\phi$ は閉集合である。
(A2) 有限個の閉集合の和集合は閉集合である。
(A3) 閉集合からなる集合族(無限個でもよい)の共通部分は閉集合である。
(証明概略)
すべて、開集合の定義からド・モルガンの法則を用いて得られる。(証明終)
逆に、閉集合を上記で定義すると、開集合の定義の3要件を導くことができるので、
閉集合を用いても、位相を導入することができる。
閉包 (触集合)(定義)
位相空間 S の任意の部分集合 M に対して、
M に含まれる閉集合全体の共通部分を M の閉包(触集合) と呼び、
$\bar{M}$ または $M^a$ と書く。
M を含む最小の閉集合とも表現できる。
すなわち、閉集合系を $\mathfrak{A}$ とすると、以下の条件を満たす集合である。
(1) $M \subset \bar{M}$
(2) $\bar{M} \in \mathfrak{A}$
(3) $M \subset A, A \in \mathfrak{A} \Rightarrow \bar{M} \subset A$
閉包と開核の関係
$\bar{M^c} = (M^\circ)^c$ または、 $M^{ca} = M^{ic}$
(証明概略)
$(M^\circ)^c$ が上記の閉包の3条件を満たすことを示す。
(1) $M^\circ \subset M$ より $(M^\circ)^c \supset M^c$。
(2) $M^\circ$ は開集合であるから、$(M^\circ)^c$ は閉集合。
(3) $M^c$ を含む任意の閉集合を A とすれば、
$A^c$ は M に含まれる開集合となるから、 $A^c \subset M^\circ$
よって、$A \supset (M^\circ)^c$。
(証明終)
(1) $M^{cac} = M^i$
(2) $M^a = M^{cic}$
(3) $M^{ac} = M^{ci}$
(証明概略)
(1) $M^{ca} = M^{ic}$ の補集合を取る。
(2) $M^{ca} = M^{ic}$ の M に $M^c$ を入れる。
(3) (2) の補集合を取る。
(証明終)
参考文献
[1] 松坂和夫 「集合・位相入門」(岩波書店)