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非正方行列の逆行列 (1)

量子力学の行列形式のところを理解するのに、
ちょっと、線形代数を復習。
(忘却の彼方なので、一からやっているに等しいですが・・・)

正方行列(行数と列数が等しい) A に対して、
\[
AX = XA = E
\]
(Eは単位行列)を満たすような行列 X が存在するとき、X を A の逆行列 A-1 という。


というのが、逆行列の定義ですが、ここで、素朴な疑問が!

どの本を見ても、正方行列についてのみ定義されていて、
正方行列でない行列(行数と列数が異なる)には、
逆行列は存在しないの?


つまり、A を m x n 行列として、X を n x m 行列とすると、
AX は m x m、XA は n x n となるので、

\[
AX = E_m
\]\[
XA = E_n
\]
(Emは、m次の単位行列)

というような X が存在しても、よさそうな気がする。
・・・ってわけです。

というのも、量子力学では、
ユニタリ行列で基底を変換して、エルミート行列を対角化するのが基本になりますが、
このユニタリ行列は、行と列で別の基底に対する成分になっているので、
個数が非対称でもよいのでは?と、思ってしまったのです。
(実は、有限次元では変換の前後で基底の数は
等しくないといけないので、だめなんですが・・・)

というわけで、よくよく考えてみると、やはり、
このようなXは存在しないということが分かりました。

行列の階数(rank)を考えると、わかります。
階数とは、線形独立な列ベクトルの数のこと。
A を m x nとすると、
\[
{\rm rank}A \leq {\rm min}(m, n)
\]
今、m > n の場合を考えると、
\[
{\rm rank}A \leq n
\]

$AX = E_m$ となる X を考えると、
X は n x m だから、
\[
{\rm rank} X \leq n
\]
AX の階数は、
\[
{\rm rank} (AX) \leq {\rm min}( {\rm rank} A, {\rm rank} X ) \leq n
\]

一方、 Emは線形独立なm個の列ベクトルを含むので、
\[
{\rm rank} E_m = m
\]
となり、m > n だったので、
このようなXは存在しえないということになります。

もう少し簡単に説明するために、Aを3x2の行列、Xを2x3の行列として、
$AX = E_3$ となるXが存在するかどうかを考えます。

つまり、
\[
A \hspace{3cm} X \hspace{3cm} E_3
\]
\[
\left[
\begin{array}{cc}
\bigcirc & \bigcirc \\
\bigcirc & \bigcirc \\
\bigcirc & \bigcirc
\end{array}
\right]
\left[
\begin{array}{ccc}
\Box & \Box & \Box \\
\Box & \Box & \Box
\end{array}
\right]
=
\left[
\begin{array}{ccc}
1 & 0 & 0 \\
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 1
\end{array}
\right]
\]

このような感じのXが存在するかどうか。

A = ( a1 a2 ) というように、列ベクトルで考えると、
線形独立な列ベクトルは最大でも2個(そもそも、列ベクトルが2個しかないから)
つまり、a1a2が線形独立な場合を仮定して、Aの階数は2。

xの成分を 
\[
X = \left[
\begin{array}{ccc}
x_{11} & x_{12} & x_{13} \\
x_{21} & x_{22} & x_{23}
\end{array}
\right]
\]
と書くとすると、

\[
x_{11}{\bf a}_1 + x_{21}{\bf a_2} = {\bf e}_1 = ( 1, 0, 0)^T \\
x_{12}{\bf a}_1 + x_{22}{\bf a_2} = {\bf e}_2 = ( 0, 1, 0)^T \\
x_{13}{\bf a}_1 + x_{23}{\bf a_2} = {\bf e}_3 = ( 0, 0, 1)^T
\]
となる。

e1e2e3は明らかに線形独立だから、この式は、
2個しかない線形独立なベクトルを組み合わせて、
3個の線形独立なベクトルが生成できる

という結果を示しています。

このようなことはありえないので、このようなXは存在しないんですね。

・・・と、ここまで考えると、
もっと単純に考えられることに気づきました(先に言えって言われそうですが・・・)

わかりやすいように、AとXが逆の場合を考えます。
このとき、Aは 2x3なので、
\[
v = Au
\]
という操作によって、3次元ベクトルuを2次元ベクトルvに変換する線形写像を表します。

いわば、空間上の一点を平面上に射影してしまうようなものだから、
次元が一つ減ってしまって、情報量が減ってしまうわけで、
もはや逆には戻せるはずがありません。

つまり、逆変換
\[
u = A^{-1}v = A^{-1} Au
\]
つまり
\[
A^{-1}A = E
\]
をするような逆行列は存在しないということになります。
なるほど、納得かも!

でも、今までの議論だと、片側の式を満足するだけなら、存在してもよさそうですよね。
と思って、調べてみたら、右逆行列とか、左逆行列というのは実際にあるそうです。
長くなってきたので、それについては、次回に。
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数学>線形代数 | コメント(0) | 2011/04/12 15:54
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