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線形写像の行列表現

量子力学で「演算子の行列表現」の記事を書く前に、
線形代数で出てくる「線形写像の行列表現」について、
軽く復習しておこうと思います。

ベクトルは基底を指定することによって、成分表示で表せる。

例えば、n次元ベクトル空間 V の基底を
\[
\langle {\bf e}_1, {\bf e}_2, \cdots, {\bf e}_n \rangle
\]
と指定してやると、任意のベクトルv ∈ V は、
\[
{\bf v} = v_1 {\bf e}_1 + \cdots + v_n {\bf e}_n
\]
というように、基底で展開した形で一意に表せるので、
\[
{\bf v} = (v_1, \cdots, v_n)
\]
というように、成分で表示することができる。

次に、このベクトルに作用する線形写像 T を考えて、
線形写像 T によって、ベクトル空間 V のベクトルは、別のベクトル空間 V' (次元 はn'とする)に移るとする。

V' の基底も
\[
\langle {\bf e}'_1, {\bf e}'_2, \cdots, {\bf e}'_n \rangle
\]
というように指定してやると、

ベクトルv に対して、写像Tを作用させたベクトル
\[
{\bf v}' = T{\bf v} \in V'
\]
も同様に、
\[
{\bf v}' = v'_1 {\bf e}'_1 + \cdots + v'_{n'} {\bf e}'_{n'}
\]
のように基底で展開することができ、
\[
{\bf v}' = (v'_1, \cdots, v'_{n'})
\]
のように成分表示することができる。

ここで知りたいことは、
この v の成分と、v' の成分との間にどのような変換則が成り立つか?
ということ。

ここで、基底は、線形独立でありさえすれば、なんでもよいのですが、
後に、量子力学と関連づけたいので、正規直交基底としておきます。
つまり、基底はすべて長さ1の単位ベクトルで、お互いに直交している。

もう少しきちんと言うと、ベクトル空間 V, V' においては、内積が定義されていて、
\[
({\bf e}_i, {\bf e}_j) = ({\bf e}'_i, {\bf e}'_j) = \delta_{ij}
\]
となっていると仮定する。

Vの各基底に線形写像Tを施したものを考えると、これらは V' の元だから、V'の基底で表すことができる。
\[
T{\bf e}_j = \sum_i a_{ij} {\bf e}'_i
\tag{1}
\]

基底の正規直交性を仮定したので、係数は、次のように書けることが分かる。
\[
a_{ij} = ({\bf e}'_i, T{\bf e}_j)
\]

v を基底で表して、
\[
{\bf v} = \sum_j v_j {\bf e}_j
\]

これに、Tを施すと、v'になるから、
\[
{\bf v}' = T{\bf v} = T \sum_j v_j {\bf e}_j = \sum_j v_j T{\bf e}_j
\]
(1) を代入して、
\[
{\bf v}' = \sum_j v_j \sum_i a_{ij} {\bf e}'_i
= \sum_i \left[ \sum_j a_{ij} v_j \right] {\bf e}'_i
\]

一方、v' を基底で表現した式
\[
{\bf v}' = \sum_i v'_i {\bf e}'_i
\]
と見比べると、
\[
v'_i = \sum_j a_{ij} v_j
\]
となることが分かる。

ここで、(i,j)成分が aij となる行列
\[
A = [ a_{ij} ]
\]
を考えると、行列とベクトルの積の演算則から、
\[
{\bf v}' = A{\bf v}
\]
と書けることになる。

つまり、写像を施す前後のベクトルの成分の関係は、行列で表現できる
ということが分かりました。
この行列 A が線形写像 T の表現行列 となります。

量子力学に応用するために、もう一度、要点だけを書いておくと・・・

基底として正規直交基底を選んでおけば、線形写像は、
\[
a_{ij} = ({\bf e}'_i, T{\bf e}_j)
\]
で定義される行列で表現できる!


ということです。
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数学>線形代数 | コメント(0) | 2012/06/27 23:54
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